CIIDの定義する”ポリシーデザイン”とは?
慶応SFC学部4年の菰田です。SFCではデザイン・リサーチの勉強をしており、引越し業者に模した路上展示を行うプロジェクトタクティカルアーバニズムや、月へ人類が移住したあとのシナリオを模索するトランジションデザインのプロジェクトを実験的に行ってきた中で、今回CIID(Copenhagen Institute of Interaction Design)と呼ばれるデンマークのインタラクションデザインに特化した研究機関を中心に開催されたサマースクールで初の開講となったDesign for Policy makingのコースに参加してきました。そこでの講義記録と頭の中での整理のためにそこで学んだことのまとめを書ければと思いました。
Design for Policy Makingの講義テーマと概要
In this course, you will learn about how policies are being made in different contexts and cultures and how design can play several key roles in it.
この講義ではいかに多様な文脈、文化からいかにしてポリシーが形成されているかを学び、またデザインがどのような重要な役割をを果たしうるのかを学ぶ。
対象の読者:
・デザインコンサルティングファームにてポリシーメイキングの仕事を引き受ける方。
・大学やシンクタンクでポリシーメイキングを研究、リサーチをしている/これから時始める方。
Index
・CIIDの定義する”ポリシーデザイン”とは?
・ポリシーデザインの5原則
・ポリシーデザイナーと呼ばれる人は?
・ポリシーデザインはどのように進行していくのか?
・ポリシーデザインの思考ツール
・ポリシーデザインの導入例
身近にあるけど意外と気づかないポリシー
ポリシーデザインとはなにか?この正確な定義はなく、どちらも使いやすいワードなのでUXデザインのように、簡単に曖昧な使いやすいビジネスワードとして用いられることが多くなあると思う。事実、SFCの授業のなかにも「政策デザインワークショップ」というタイトルの授業が存在する。
この答えを考えるにあたって"This is service design thinking"を参考にした。なぜならば、講師の方の専攻がサービスデザインであったからだ。実際に学んでみてサービスデザインの過程と類似している部分が多い。例えば、市民が使いやすいサービスを作るためにユーザーリサーチを行ったり、プロトタイピングを通じてアウトプットのブラッシュアップも行ったりする。では一体何処が違うのだろうか。
都市設計に関して新世代の熱心な市民、都市デザイナー、土地利用計画立案者、建築家、および政策立案者を鼓舞し、巻き込んで低コストで想像的な課題解決を戦略的にを行うプロジェクトの例にTactical urbanism(mike lydon, Anthony Garcia, 2015)という運動がある。具体的には歩行者の安全のため自転車専用車線を提案し、実際に作成したものや、道路空間に常設テラスを設置し、それを助長するクラウドファンディングのシステムを作成している。
デザイナー(ビジネスデザイナー、WSの設計者)がある課題に対して必要なステークホルダーを集めて、ボトムアップ式にアイデアを醸成していく姿勢は等しい。ただ法制度が解決案を狭めている。この点で後述するポリシーデザインの進行の部分において現実的、短期的目線で見ると最初に法的制約による解決策の絞り込みのフェーズが存在し、その点がサービスデザインとの最も違う部分に成りうると理解した。
そもそも「ポリシーとは?」「デザインとは?」に分けて考えてみると、講師のShu Linさんの言葉を借りるならばポリシーには3種類存在する。
Law | 法律・・・The system of rules which a particular country or community recognizes as regulating the actions of its members and which it may enforce by the imposition of penalties.
Regulation | 規制・・・A rule or directive made and maintained by an authority.
Direction | 方向性・・・The management or guidance of someone or something.
日本でいうと法律、政策、ルール、決め事、条約、社則、ヴィジョン、ガイドライン、マニュアル、プロトコルなどのものがここで言うポリシーである。
(Policyの概念整理図、自作)
これらの共通の目的として、「組織を安定化、効率化する」という意味がある。
Designとは?ここではCIIDでの主に扱うインタラクションデザインでの考え方を用いて議論を進めてみる。インタラクションデザインの4次元要素(Moggride Bill, 2007)、5次元要素(Silver Kevin, 2011)をもとに考えてみると1次元から5次元に広がるデザインの対象物があり、5次元の組織をデザインするのが今回最も近い概念となる。People Managementなどコミュニティの質の向上や、コミュニケーションを通じたマインドの展開がインタラクションデザインのバックグラウンドから見たときのポリシーデザインが主に焦点を当てる部分は人々の行動である。
(5次元のデザイン、自作)
この未来のコミュニティを対象とした長期的なデザインの例では、学問の中野概念としての紹介をすると2044年に訪れると呼ばれている一筋縄で解決できない厄介な問題に対し、問題そのものではなくその課題について戦えるプラットフォームを形成するという時代”Design by People”の話や(Liz sandars, 2014)、社会や、生態系レベルで文化移行を設計するトランジションデザイン(Terry Irwin, 2015)の話は共通している時代の流れとしても共通部分が多い。
ここでは
”問題のある組織の内外の人が
多様なコミュニティ内でその組織を安定化、効率化するために
デザインの考え方や手法を用いて上手に
ある決まりごとを制作すること。”
と定義させていただきます。
至らないところが多いとは思いますがここまで読んでくださってありがとうございます。さらなる理解のためにも疑問点やおかしいと思う点など教えていただけますと助かります。
その2へ続く。
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