見出し画像

おいしいから必ず売れるわけではないかもしれないが、おいしいものは笑顔になる。だから、売れて(知って)ほしい

世の中には、本当に多くのおいしいものがある。
味覚は人それぞれなので、人それぞれおいしいと感じるものは違う。
でも、それで良いんだと思う。

ちば食べる通信の1月号は「いちご」だった。
いちごの品種は300種類以上あるとも言われていて、今回取材していた梶いちご園も13種類のいちごを育てている。

その中で、発送の日に一番良い状態のいちごを梶さんが選んで発送をした。
さちのか、とちおとめ、千葉県の品種のチーバベリー、そして最近人気で希少な黒いちご、真紅の美鈴などなど。どれが届くかはある意味お楽しみだ。
それぞれ、やはり色も味も形も違う。

いちご狩りに行くとよりわかるが、本当に品種が違うと、全然違う。
品種でも味は違うが、栽培の方法でも違うし、生産者が違えば、また味は違う。つまり、味は無限大に広がる。
同じ生産者でも、去年と今年で味は違う。それは色々と工夫していることもあるし、天候などの違いもある。

残念ながら、毎年同じ味を出すというのは実は難しい。
逆にそこを楽しめると良いなとも思うし、そこで、「去年の方が甘かった」と終わるのではなく、なんでそうなんだろうと考えてみてほしい。

話が逸れたが、おいしいものは本当に沢山ある。
ただ、いくらおいしくても、知らなければ購入できない。
ここが難しいところで、創刊号の多古米は食べた時に千葉でも(失礼な話ですが)こんなにおいしいお米ができるのかと驚いた。

そう、知らないのだ、同じ県にいながらも。
車で1時間ぐらいの距離のところで作っているのにだ。

先日、ある生産者さんと話をした。
元々、農家をやりたいとは思ってなく、仕方がなくやっていた。
が、ある時にお客さんからの「おいしい」という声で変わることができたという話をしてくれた。

「それまで、苦手だったけど、○○さんが作ったものは食べることができたよ」とか
「私は、この品種が好きだけど、息子はこっちが好きだって言ってた」とか
もちろん時には厳しい声もいただくこともありながら、お客さんの声が確実にその生産者さんに影響を与えていて、それが育てる時に生かされている。

何を想って作っているかと聞くと、お客さんが食べた時の笑顔を想い浮かべているそうだ。

そう、おいしいものは自然と笑顔になる。
それが自分が育てたものでそうなるのであれば、こんなに良い仕事はない。
生産者さんに限らず、どんな仕事でもそうだと思う。

僕らは、そのおいしいを体験できるきっかけを作ることがやるべきことであり、また、よりおいしいと感じるために取材をした情報誌でさらに味付けをするのだ。

だから、いつも本当に悩む。

悩みながらも、読者の方からの感想をいただくと、頑張ろうと思える。
僕の文章は、カッコよくないかもしれない(いや、多分そうだと思う)伝えたいことの何割を表現できているのかと言われれば、、、悩むところだが、気持ちとしては、本当に伝えたいことが多い、そういう生産者さんに取材をお願いしている。

だから、取材が終わったら、そこで関係が終わるのではなく、そこから先もと思っているし、そこから先、読者さんと生産者さんがつながることが本当に実現したいこと。今のコロナの状況でやりづらいなどあるかもしれないが、工夫しながら、食べる人も作る人も笑顔になれるそんな関係をつくるコミュニティにしていく。

理解をすると人は優しくなれる。
理解をしていないと、相手のことを想像することはできない。
相手のことを想像して、思いやれる関係性を作っていけると、世の中の色々な課題は解決できる方向にいくと思う。

何か難しい課題を解決しようではなく、つながりを持つ中で、何かに気づき、一人一人が少しずつ考えて行動していく、そんなきっかけにこのちば食べる通信がなれば、こんなに嬉しいことはない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?