はじめてのウクレレの選び方
これからウクレレを始めたい、という人へ。
最初のウクレレ選びのコツを教えます!
以前、ニコルズのオフィシャルブログで「最初のウクレレ選び」と題して、これからウクレレを始めるという人向けのブログを書いたけれど、改めてここに加筆修正して書きます。ウクレレを始めたいなと思っている人の手助けになれば嬉しいです。
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ニコルズをきっかけに、ウクレレを始めようという人が結構たくさんいるみたいでとても嬉しい。
しかし、楽器を始めるには当然ながらその楽器が必要なわけで。でもいざ楽器を買おうと思っても、どれを、どれくらいの予算で買ったらいいなんてわからないという人がほとんどだと思う。
でも最初の楽器というのはとても大事だ。
そこで、僕なりの主観的意見にはなるけれど、アドバイスをしたい。
楽器屋さんに行くと、本当に色んな種類のウクレレが売っている。メーカー、色や形、大きさも様々。もちろん値段も高いものから安いものまで。
楽器に初めて触れるという人からしたら、本当に何が何だかわからないよね。
ウクレレという楽器について、簡単に順を追って説明したいと思う。
これを読み終えてから楽器屋に行けばずいぶんマシなはずだ。
まず、ウクレレと一言で言っても、サイズが色々ある。主なもので3種類と言っていい。
小さい方から、「ソプラノ」「コンサート」「テナー」。
最も一般的と言えるのが、一番小さなソプラノか、一回り大きなコンサート。日本でコンサートサイズ
が一般的になったのは比較的最近なんじゃないかなと僕は思っていて、そういう意味ではウクレレと言ったらソプラノなのかもしれない。でもウクレレとはとても小さな楽器なので、手の大きな人にはコンサートの方が弾きやすいだろうし、細かなフレーズを弾くのにはコンサートや、テナーが向いていると言える。
テナーはコンサートよりさらに大きいサイズ。それ故に複雑なことも弾きやすいので、ウクレレでソロをやる人とか、いわゆる「ウクレレプレイヤー」にはこのサイズを使っている人が多い。
大事なのはサイズによって音色が違うということ。ボディが大きくなればなるほど、音は太く、ふくよかに、低く(感じるように)なっていく。
リコーダーのアルトやソプラノを思い浮かべてみて欲しい。あるいはチェロやコントラバスなどの弦楽器。もしくはソプラノ/アルト/テナーサックス。みんな大きい方が音が太くて低くなる。ウクレレもそうなのだ。
僕のオススメはやっぱりソプラノかコンサートだ。
ウクレレは、形がギターに似ているし、弦もクラシックギターと同じくナイロン弦なので、サイズが大きくなればなるほどクラシックギターに音色が似てきて、ウクレレらしさは失われていくように思う。
普通に「ウクレレをやりたい」というのなら、まずはやっぱりソプラノかコンサートをオススメする。
そのどちらを選ぶかは、もう好みと言って良いくらいだ。
体や手の大きさについて言うならば、さっきも述べた通り、手の大きな人はコンサートにした方が良いかもしれない。手の大きな人にとってはソプラノだとあまりにも窮屈になる場合もある。
ただ、手が小さいからと言ってソプラノ、というものでもない。いくら手が小さくても、コンサートサイズくらいの大きさなら問題なく対応できるはずだ。ウクレレはそもそも小さい楽器なのだ。
最もウクレレらしい、と言えばソプラノかもしれない。コロコロと転がるような軽快さ可愛らしさはソプラノが一番だと思う。
僕は、ライブではコンサートサイズを使っている。ソロやフレーズを弾いたりもするからそういう意味では弾きやすいし、他の楽器もある中ではソプラノより存在感を出しやすいからだ。
でも、レコーディングでチャカチャカ弾くときはだいたいソプラノだ。よりウクレレらしさが際立つからだ。家でポロポロと弾くときもソプラノを手に取ることが多い。なんてったって音色も見た目も可愛いのだ。
値段は、コンサートの方が大きいぶん、高い。同じグレードのものを買おうとしたらコンサートの方がどうしても値が張ってしまう。
だからチョイスには予算との兼ね合いもあるかもしれない。
さて、予算の話になったけれど、みんなどれくらいの予算で考えているんだろうか。
僕は、最初のウクレレには「最低1〜2万円台のギアペグのついたウクレレ」をオススメしている。
みんなはそれを聞いて高いと思うのか、安いと思うのか?
でもこれはソプラノサイズの話。コンサートになるとさっきも書いた通りちょっと高くなる。プラス1万円くらいだろうか。
「ギアペグ」というのは、ペグ(弦を巻き、音程を調整するツマミ)のところにギアが組み込まれているもの。ウクレレは元来、フリクションペグという、穴に棒を差し込んだだけで摩擦で止めるような構造のペグだったけれど、近年では、音程を合わせやすいようにギアが組み込まれたペグを使っているものが多くある。ギアペグと一言で言ってもこれまたいくつか形状があるけれど、ギアペグの方がチューニングがしやすく安定感もあるので、まずはギアペグをオススメしている。
因みに、数千円のおもちゃ的なウクレレにも、一応形状的にはギアペグと言えるものが付いていたりもするが、さすがに作りがかなり甘い。なので「これギアペグだし安いしいいじゃん!」と安易に思ってしまわないよう気をつけて欲しい。
演奏する上でのストレスは少ない方がいいに決まっている。だから、演奏の前段階のチューニングという部分におけるストレスをなるべく排除すべく、ギアペグをオススメしているわけだけれど、そういったストレスの少なさというのは予算の話にも深く繋がっている。
楽器というものは、入門編くらいのそれほど高くないモデルでは、おしなべて高いものの方が弾きやすいと言っていいと思う。
ウクレレもそうで、あまり安いウクレレになるとどうしても作りの粗さが目立つ。そしてその作りの粗さというのは、弾きにくさや扱いにくさに直結していて、初心者にとっては特に、つまづきを助長してしまう場合がある。
あまりに安いものには、厳しい言い方をすれば「楽器」と呼べるのだろうかという程度のものも多く見かける。だから最低限、楽器としてちゃんと作られているウクレレを選んでほしい。
そのラインが、ソプラノで言えば1万5千円くらいなのかなあと言うのが実感としてある。
この値段を高いと思うか安いと思うかは全くひとによると思う。
ウクレレをおもちゃのような感覚で捉えていると高く感じるかもしれないけれど、ウクレレをちゃんとした弦楽器と考えれば、安いものでは?とも思うのである。
僕がオススメするくらいの価格帯のものであれば、大概「楽器」としてじゅうぶん成立している。そしてそこには正しく鳴らせたときの喜びがある。
ウクレレはちゃんと鳴らすととても良い音色だ。ウクレレに対する見方が変わるくらいの綺麗な音色で、ウクレレっていうのはちゃんとした楽器なのだなと実感できるはずだ。
「続くかどうかわからないから…」という声も聞こえてきそうだけれど、続かなくたっていいじゃないか、と思う。
例えば2万円とか3万円とか。
決して安くはないかもしれない。でも、もしいま続かなくても、それくらいのものを買っておけば、何年か先に「またやってみようかな」という気になるかもしれないし、よっぽど雑に放っておかなければ、そのときにはちゃんとまた使えるはずだ。
せっかくウクレレをやってみようと思うのなら、それくらいの投資はきっと安いものだと思う。
なんなら友達が結婚したと思えばいい。ご祝儀くらいの金額じゃないか。
2〜3万円の服を奮発して買ったとして、数年して流行や自分の好みが変わってしまったらもう無用の長物になってしまうけれど、2〜3万円のウクレレを買えば、一生ものだ。
ウクレレは一生、身近に付き合えるものなのだ。
参考までに僕が最初に買ったウクレレの話をしよう。
僕がウクレレをやってみようと思って最初に買ったのは、FS-1という、Famousという国産老舗ブランドの一番安いウクレレだ。サイズはソプラノ。
どうしてウクレレをやろうと思ったかというと、敬愛するジョージ・ハリスン(ビートルズの人)の影響だ。ジョージはウクレレを愛していて、いつも手の届くところに置いていたらしい。実際にソロ作ではたくさんウクレレを使っていて、それがまたとても心地よく、ポップミュージックにウクレレがとてもよく合うことを教えてくれた。そして僕はニコルズの音楽にウクレレはとても合うはずで、取り入れてみたいと思った。
それがきっかけ。
話を戻そう。
そのときは確か、2万円以下で予算を考えていて、何本か触ってみたり店員に弾いてもらったりして、音のバランスが良く、何となく作りも良さそうなものを選んだ。
それがFamousのFS-1だった。1万5千円くらいだった記憶だけれど、僕にとっては、楽器としてはかなり安く感じて、おもちゃのような感覚だった。とりあえず練習できればいいか、というようなつもりだった。でもいざ使い始めてみると、思った以上に作りがちゃんとしていた。さすが日本製。
しばらくそれを使っていて、ニコルズで初めてレコーディングにウクレレを使った「太陽のこども」(2008)も、「haleiwa」(2010)(『ONELBUM』収録)も、このウクレレでレコーディングした。
僕がこのウクレレを買った頃はまだ今ほど楽器店でのウクレレの取り扱いが多くなくて、ギアペグの機種もこのFamousの一番安いウクレレには無かった気がする(たまたまその楽器店になかっただけかもしれないけれど)。
ライブやレコーディングで使うようになるとやっぱりチューニングが大変で、その問題を解消すべくペグをギアペグに交換した。
因みに今ではFS-1Gというギアペグ仕様のものも出ているようだ。
次第にライブでちょくちょく使うようになり、ピックアップ(マイク)を載せようということになったとき、2本目のウクレレを買った。ピックアップが確か2万円弱くらいだったから、本体の方がピックアップより安いのもなあ...ということで、もうちょっといいウクレレをそろそろ買ってもいいかなと思ったのだ。
そのときに買ったのが、今もライブで使っているMartinのコンサートサイズのウクレレ、C1K Uke。
ライブではこのMartinのウクレレがメインになっているけれど、実はレコーディングでは最初のウクレレもちょくちょく使っていたりするのだ。最初に買ったFS-1は弾き込むことで味も出て、鳴りも良くなって、ちゃんと育つウクレレだった。つまり、2万円弱くらい出せば、それくらいちゃんと使えるものが買えるということ。
その後、やっぱりソプラノサイズのいいウクレレが一本欲しいということで、ハワイの老舗ブランドKAMAKAのソプラノサイズのウクレレHF-1を買った。素晴らしい音色だ。
ここで一旦、話をまとめてみよう。
色々書いたけれど、つまりは
・1〜2万円くらい
・ソプラノかコンサート
・ギアペグ
がオススメというところだ。
でも、やっぱりとにかく、実際に手で触ってみて決めることをオススメする。わからなくてもいいから。わからないことは恥ずかしいことじゃない。とにかく一度、何本か持ってみるといいと思う。
全く弾けなくて構わない。もしネットで買うにしても、一度楽器屋へ行って実物を見たり触ってみたりした方がいい。
楽器屋に行くことにビビってしまう気持ちもあるかもしれないけれど、ビビる必要は全くない。イオンモールにだって楽器屋が入っている時代。試しにどれだけ触っても、そこで買わなくて全然OK。楽器屋とはそういう場所であるはずだ。本当に気にすることはない。それは保証する。
どんなものか触ってみたいんですけど…と最初に前置きするのも良いだろう。
店員のオススメなんて聞き流してもいい。残念ながら、わかっている店員ばかりではないのだ。ちょっと予算オーバーなら値切ってみるのもいい(値切れるかどうかはわからないけど)。
もしかしたら同じ価格帯で2〜3本あるかもしれない。そのときも触ってみて決めよう。決め手なんて何でもいいのだ。見た目でもいい。木目の感じとか。これはとても大事なことだ。木でできている楽器は、世界に同じ木目のものはない。
何より、どんな点でも構わないから、気に入って買うこと。気に入って買った楽器は、きっとずっと可愛がれる。
長くなったけれど、ここからは、一歩進んだ話。
休憩でも入れながら読んでみてほしい。
ウクレレの材質について。
いろんな木材が使われるけれど、昔からずっとポピュラーなのは、ハワイアン・コアとマホガニーだ。ハワイアン・コアは独特な木目で、カラッと乾いた明るい音色。ただしちょっと値が張る材なので、入門編のウクレレにはまず無い。
マホガニーはどちらかと言えば素朴で、温かみのある音色。マホガニーと一言で言っても様々なグレードがあるので、安価なものから高価なものまで幅広く使われている。
最近では様々な材が使われていて、材によって音色が違う。
コア材と言ってもハワイアンではない安価なコア材や、木目がハワイアンコアに似ている安価なアカシアなどもよく見かける。硬い木材が故に音も硬めのメイプルも見かけたりする。
さらに、それぞれの材において、単板と合板のボディがある。
合板は、文字どおり薄い板を貼り合わせて一枚の板にしてある材で、ベニヤみたいなもの。高価な木材は薄い表面だけに使い、他の木材や樹脂と貼り合わせて作ってある。安価で強度もあるために、安い価格帯の楽器に使われる。合板材のことはラミネイテッド〜なんて呼び方もされて、スペックのところにラミネイテッド・マホガニーとか書かれていたら、マホガニー合板材ということだ。
単板は、一枚の板だ。
ボディの材が単板なのか合板なのかで、同じ名前の材でも大きく価格が違ってくる。例えば同じメーカーの同じサイズのウクレレでも、同じ材で合板と単板のモデルがあったりして、当然単板の方がだいぶ高い。少し高めのモデルになると単板を使っていることが多く、安めのモデルでも単板を使ってそれを売り文句にしているものもある。
もちろん質の面でも単板の方が基本的には上。鳴りがやっぱり違う。単板の方が良く鳴る。貼り合わせの板よりも一枚板の方がよく振動するというわけだ。
また、楽器は「育つ」とよく言う。「育つ」というのは、たくさん弾き込んでいくことで楽器が良く鳴るようになることを言う。木材やジョイント部が振動に慣れてくるからだと言われている。
単板の方が合板よりもずっとよく育つと言われている。確かにその通りだと実感として僕も思うけれど、合板だから育たないというわけでは全くない。単板の方が伸びしろがずっと大きいというようなものだ。僕の最初のウクレレFS-1はマホガニー合板だけと、前述の通りだいぶ育って、買った時よりもずいぶん鳴るようになった。これが単板のものだったら、きっとさらによく鳴ってくれるはずだ。そしてその鳴りの質も、単板のものの方が鳴りに「深み」があるという感じだ。
ちなみにMartinC1K Ukeは、ボディのみハワイアンコア単板。ネックは別の材で、メキシコ製のウクレレだ。
KAMAKAのHF-1は、ネックもボディも全てハワイアン・コアで、単板。ハワイ製。ソプラノだけれど高価だ。
こんな風に、値段相応で材質やらなんやらが色々と違ってくる。
もしウクレレを続けていって、もっと良いものが欲しい、となったら考えてみたら良いと思う。選択肢は色々ある。高い楽器というのは目の保養にもなる。
もちろんお金に余裕のある人は、高いものから始めてもいいけどね。
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何となくわかってもらえただろうか。
このブログが何か参考になったら、ウクレレを始めるひと押しになったら、嬉しい。
ライブやイベントで僕に会ったら、ぜひ直接聞いてください。何かアドバイスができるかもしれないし、できないかもしれません。
ではみなさん、楽しいウクレレライフを!
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