自分なりの改善施策の考え方とアプローチ
こんにちは、クックパッドのクリエイション開発部の村山(@kenta_murayama)です。UXエンジニアとして働いていて、チームではiOSアプリの実装とDWHを用いた分析/調査系の仕事をしながら、つくれぽ投稿領域の改善を行っています。「つくれぽ」は、クックパッドに投稿されているレシピをユーザーさんが実際に作り、その感想を写真付きで投稿するというしくみのことです。
今回は、自分自身の過去の経験を紹介しながら、改善施策の考え方やアプローチについて書いてみます。
ユーザに寄り添え
専門学生の時にサービスデザインの講義を受けていました。実際に仮想のユーザさんにインタビューしたり、それらのインタビュー結果を元に課題を解決するためのプロトタイピングを作る内容でした。
毎回講義の最後にプレゼンテーションと講評の時間があったのですが、その中でよく先生から言われていた言葉がありました。
「それは誰が良いと思っているのか?ユーザが言ってるのか、君が言ってるのか」
「ユーザに寄り添いなさい」
自分たちの「思い込み」で作るプロダクトと、ユーザを観察し気づいていないような本質的な課題を見つけ、その結果から「仮説」を立てることが必要だと感じました。
あのときは自分たちが良いように解釈して機能を追加してみたり、ユーザさんがインタビューの中で深い意味もないのに言った発言を真に受けて機能に取り入れたりしていました。
山の中のそば屋
新卒で入った会社で9ヶ月ほど経った頃に新規事業の責任者をやることになりました。やったサービスは女子中高生向けのフォトブログで、一言でいうとデコデコしたinstagramのようなものです。
結果的に大失敗したのですが、当時は「ユーザをちゃんと知る」ことが大事だと考えていました。
- 投稿してくれる写真、記事やコメントをたくさん読もう
- 実際にインタビューして話を聴こう
その結果、コアなファンは喜んでくれる施策ばかりに取り組んでおり、ユーザ獲得など事業に必要なことは二の次になっていました。
サービスクローズ時に社長とご飯に行った時に言われたことを強く覚えています。
「めちゃくちゃうまいそば作っても、山の中にあったら誰にも知られないな」
自分がこれからやることが、どのくらいの人に影響があるのかをちゃんと意識すること。事業の戦略としてユーザ獲得とか外のユーザに向けた取り組みをすること。これらができていなかったなと感じます。
買ってくれそうなお客さんにだけ商品を売る
転職して入った会社は予約/販売系のサービスでした。そこでユーザに予約促進するチームと近い位置で仕事をしました。
当たり前のことですが、「商品を見に来ただけ」、「商品を悩んで買わない」、「商品を買う」といったユーザを分けてアプローチを変えていました。
自分も学生時代のアルバイトで以下のようなことをやっているのを思い出しました。
- 店内でホットコーヒーだけの人にサイドメニューオススメする
- 運動部っぽい学生さんにはポテトの大きいサイズをオススメする
対面でユーザさんの顔が見えるとなんとなくできていたことなのかもしれません。
今までやってきた取り組みを振り返ると、ABテストと称して「50% / 50%でトップページでコンテンツの出し分けテストする」みたいなことを深く考えずにやっていました。実世界と同じように見えないユーザでも、コンテキストに合う人にだけ向き合って改善することが大事だと感じました。
自分なりの改善施策の考え方
- 現状を正しく観察する
- 事業の戦略に沿った目的を定める
- 課題を最短距離で解決できる方法を考える
直近Issue drivenのチームで働いていたので、その考え方に近いかもしれません。
現状を正しく観察する
自分が改善施策を考える上で一番大事なことだと考えています。正しく現状を理解するためにいくつかのやり方で情報を集めます。
- 観察
- コンテンツを見る/読む
- ユーザビリティテスト
- 競合サービス
- データ分析
- 行動ログ
- ユーザ属性
- サービスやコンテンツへの重度/頻度
- ヒアリング
- ユーザインタビュー
- アンケート
この時に、できる限り多くの視点からサービスやユーザを観察して主観が入らないようにしています。
データ分析では基礎集計のようなものから行動解析まで行います。
- つくれぽ投稿をどんな頻度で、どのくらいやってくれているのか
- どんなViewを経由してつくれぽ投稿画面にきてくれているか
- 料理アルバムの利用ユーザの継続率はいくつくらいか
- どういったレシピが多くつくれぽ投稿されているのか
事業の戦略に沿った目的を定める
到達したい目的地は自分で考えることもありますが、だいたい部門目標やKPIを達成することになります。
観察した現状からユーザのコンテキストやニーズを踏まえて、あるべき/向かうべき目的地を決めます。
現状把握と目的地を間違えたり、片方しか考慮しないと、良い結果に終わることが少ないなと感じます。何が課題なのか、一番の問題だと思っているのかを明らかにしておくことは大事なことです。
課題を最短距離で解決できる方法を考える
課題と達成したいことが見えたら、それらを解決できるアイデアを出します。引くべき線が明確なので、ブレストして出てくるアイデアも実現可能で具体的なものになることが多いです。
アイデアの中から実行に移すときには以下の点を気にします。
- できる限り最短で達成できるようにする
- 線の太さ/リーチ数の多さを意識して影響の大きなことに取り組めるようにする
- 誰のどんな課題を解決するか明確にしておく
工数が大きくなく、多くのユーザの課題が解決できそうなアイデアから優先的に取り組みます。
また、対象ユーザを明らかにしておくことでテスト箇所や施策の露出度をコントロールするようにしておきます。効く人にだけテストができると、効果検証もノイズが入らないので判断に困ることが少なくなります。
おわりに
以上が自分で改善施策を考えるときのプロセスになります。今まで色々チャレンジして失敗して、初めて気付いた点も多々あったりします。その時の先輩方には感謝します。また、色々な方の取り組みを見ながらアプローチの仕方もアップデートして行こうと思います。
自分で書いておきながらできていないことも多々ありますが、UXエンジニアとしてアプリ実装するだけじゃなくプロダクト改善に引き続き取り組んでいきます。
前回書いた記事はこちら
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