「あいつは付いてこれなかったからやめた」に見えるスポーツの現状

 どうも、ふじみスポーツクラブの上杉健太(@kenta_u2)です。埼玉県富士見市で、誰もがいつまでも、自分に合ったスポーツを続けられる地域社会の実現を目指して、総合型地域スポーツクラブの運営をしています。

 今日は、『「あいつは付いてこれなかったからやめた」に見えるスポーツの現状』というテーマでお話したいと思います。


 スポーツの現場で運営したり、指導をしたりしていると、そこをやめていく会員などの参加者も当然します。その時に、指導者や定着しているメンバーは、「あの人は付いてこれなかった」と言うことがあります。つまり、既存メンバーのレベルや練習強度に対して、やめていった人のそれが足りていなかったという発想ですね。

 このセリフを、コーチが言ってしまうこともあります。確かにコーチは、こう思っておくと楽です。誰かがやめていった時に、コーチは何らかの責任を感じたりするので、「俺のせいじゃない。あいつがうちのレベルに達していなかったんだ」と思うことで、幾分か気が楽になるんです。もう十分なメンバーの数がいる団体こそ、この傾向があると思います。新しいメンバーを歓迎したり、現メンバーを継続させる必然性が比較的低いので。分かりやすく言ってしまえば、「別に無理に入らなくてもいいよ?」「やめたければやめれば?」という態度をとれるということです。

 合わないチームやクラブに入る必要がないのは完全に正しいと思うのですが、同時に、ビギナーや新規入会者にとって「排他的」と思われるクラブになってしまってはいけないと思うんですね。また、既存のやり方を尊重し過ぎて、新しく入ってきた人に、「お前が合わせろ」という姿勢を出し過ぎるのも問題。そこはやっぱり歩み寄りができるクラブにしたいなと思うんですよね。

 そう思うと、「付いてこれなかったからやめた」という言葉には、団体側やコーチからの歩み寄りがなく、やめていった人にだけ歩み寄りの努力を求めた結果になってしまっている気がして、それではスポーツ人口の広がりは小さくなるなぁと思います。


 さて、この問題の原因を『人の心』に置いてしまうと、よく分からない問題になってしまいます。スポーツをやっている人が、新規会員などを歓迎できないのは、決して心が醜いからではなく、真っ当な理由がある場合がほとんどです。

  • プレー時間や機会が減る。(練習の時に待つ時間が増える/試合に出るチャンスが減る)

  • 仲間との関係に悪影響が出るかもしれない。(仲の良かった〇〇さんを“とられる”/新しい人が“嫌な奴”かもしれない)

  • 自分の立場を脅かされるかもしれない。(自分よりも上手い人が入ってくる/自分よりも人気者が入ってくる)

 これらの理由を見てみると、どうやら人を歓迎できない時の人の心は、『不安』な状態にあるように思えてきます。
 つまり、新しく入ってくる人に優しいクラブを作るには、既存メンバーが何の不安も抱えずに安心して活動をしていることが大事になってくるというわけです。

 つまり常にあるべき状態は、

  • 十分な練習機会(時間とチャンス)があること。

  • 柔軟で依存的でない人間関係が築けていること。(特定の人とだけ仲がいいという状態は、極めて不安定な状態)

  • 守ってくれる人がいる。(リーダー的な会員やコーチ・マネジャーなどのスタッフ)

  • 相対的評価を行わない(上手い/下手、いい人/悪い人)

ということなのかなと思います。つまり、新しい人を歓迎する姿勢は、マネジメントの力で作れるということなのだと思います。

 現場で、「あの人はここに付いてこれなかった」みたいな発言が聞かれたら、クラブのどこかに不安な要素が潜んでいると考え、決してやめていった人に問題があったという風に考えない方がいいのだろうと思います。特に、スポーツをするのに“資格”が必要みたいに考えていると、こういう発言が出がちなのかなと思うので、注意。
(※この場合の資格は、一定の運動能力とか体力とかの意味)


 というわけで今回は、『「付いてこれなかったからやめた」に見えるスポーツの現状』というテーマでお話しました。どこか排他的になってしまうクラブもあると思うのですが、せめて総合型地域スポーツクラブは誰のことも喜んで受け入れる姿勢でいたいなと思います。その為の基盤・仕組みづくりを進めていきます。

今回もお読みいただきありがとうございました!
ではまた!

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総合型地域スポーツクラブや筆者の挑戦のリアルな実態を曝け出しています。自ら体を張って行ってきた挑戦のプロセスや結果です! 総合型地域スポーツクラブをはじめ、地域スポーツクラブの運営や指導をしているかた、これからクラブを設立しようとしているかた、特に、スポーツをより多くの人に楽しんでもらいたいと思っているかたにぜひお読みいただきたいです!

総合型地域スポーツクラブのマネジメントをしている著者が、東京から長野県喬木村(人口6000人)へ移住して悪戦苦闘した軌跡や、総合型地域スポ…

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