これからの子ども達にとってのスポーツについて考える
どうも!上杉健太です。
埼玉県富士見市の総合型地域スポーツクラブの代表をやったり、スポーツ推進審議会委員をやったりしながら、生涯スポーツ社会の実現を目指して活動しています。なかなかティアキン(ゼルダの伝説)が終わりません。
さて今日は、『これからの子ども達にとってのスポーツ』というテーマでお話したいと思います。今日のテーマ設定をしたきっかけとなったXのポストがありますので、先にご紹介します。長文投稿ですので、コメント欄までできるだけ見ていただけると、内容が分かるかと思います。
Xのリンクに飛ぶのが面倒だったかたの為に、簡単にポストの内容をまとめると、「マイクラのガチ勢が凄すぎて、大人が怯えている」というお話です。僕がガチ勢と言ったのは、要するにゲームとしてマインクラフトをプレイしている子ども達とは一線を画す人たちのことで、彼らはマイクラ内で様々なシステムを構築し、もっと分かりやすく言うと、ゲーム内で色々な環境やルールを作り上げて遊んでいたりします。
たぶん僕も全然ガチ勢が何をしているのかは分かっていないのですが、恐らくうちの小3の長男もガチ勢に属する人間だと思われ、彼と話すとこんな感じの理解になります。サーバーがどうのこうの、こんな回路を作っただの、荒らしを防ぐチームを作らなきゃだの、僕が何となく理解できるだけでこんな言葉がどんどん出てきてて、もっともっと僕が知らない言葉で、凄いことをゲーム内でやっていることは容易に想像できるような状況です。先ほど紹介したポストの中で出てくる、「むしろすぐ上行くでしょ俺らの」に僕は激しく同意するのです。これからの時代を彼らのような人間が作っていくとすると、もう僕らは必死こいてついていくという構造になると本気で思っています。せめてお荷物にならないように。自分の子ども達に、「お前達のせいでせっかくのテクノロジーやシステムが活用できない。社会が前に進まない。」とか言われないように(;^_^A
ここまでの話だけだと、ただただマインクラフトという”ゲーム”をやりまくっているだけのオタクの話に聞こえてしまう人もいるのかもしれません。特に、”ゲーム”というものに拒絶反応を示してしまう人だとなおさらかもしれません。でも、そんな次元の話ではないんです、これは。身近な事例が自分の子どもしかいないのであまり納得度は出ないかもしれませんが、うちの子はマインクラフトだけでなく、プログラミングも独学でかなり勉強していて、『プロ倹』という高校生までを対象としたプログラミング検定のテキスト言語(Python)レベル6を受験し、いきなり合格していました。ちなみにレベル6が最高レベルです。親の僕たちは、子どもが受験したいと言ってきた時には「いきなりレベル6?君は小3だぞ?レベル1からにしたら?」という極めて普通のことを言ってしまったのですが、彼は既にWEB上で見ることができる範囲で問題レベルについて調べてみて、「いや、たぶんレベル6で合格できる」と平然と言っていて、実際に合格してみせたのです。
息子自慢がしたいわけではありません。要するに、こういう子がどんどん出てきているのだろうと僕は思っているんです。インターネットを駆使し、自分が知りたい情報をどんどん獲得し、実際にゲームやインターネットにどんどん表現していく。うちの子が学校へ行きたがらないのは、学校が嫌いなのではなく、学校に行かなければ勉強ができないという感覚が皆無だからなのだと思います。本当に純粋にそう思っているのだと思いますし、実際に、彼が学びたい内容は学校ではほとんど取り扱わないので、彼にとってはインターネットの中こそが最高の学習環境で、だからネットが自由に使える家にいたいとなっています。
さて、ここからが本題です。
プログラミングをしている子ども達も様々だという前提には立つべきですが、恐らく彼らには強くプログラミング思考が身についていると思います。僕なりのプログラミング思考は、「こうすればこうなる」と考える思考習慣のことで、論理的思考ともかなり似ていると思います。僕が今のところ仮説として持っているのは、プログラミング思考の彼らは、従来のスポーツに興味を持ちにくいということです。
スポーツというのは、「こうすればこうなる」が極めて薄い世界だと思います。まず、「こうすれば」と思ってやっても、思うように身体が動かない。また、周囲の自然環境や一緒にプレーする人間の行動という変数が無数に存在するので、思ったような結果が出ません。プログラミング思考の彼らは、「こんなはずじゃない!」と思ってしまうのです。少なくともうちの子は、プログラミング思考が強くなっていくほどに、スポーツから離れていっています。1年生の時には50メートル走が学年で一番だったのに、今では「僕はスポーツは苦手だ」と口に出すほどにまでなってしまいました(笑)
そんな彼にトレーニングの必要性を説明したことはありますが、どうもピンと来ないようです。やりたい動きがあり、それが出来ない現状があるから、それができるようにトレーニングをするのだ、と言っても、キョトンなのです。やり方さえ分かれば思ったことをかなりの確度で実現できるコンピューターの中とは違って、自らの肉体でさえ思うように動かせないスポーツの世界。彼らがここに没頭することは、もしかしたらないのかもしれないなと思うのです。
だからとって彼らからスポーツという選択肢をなくしてしまうわけにはいきません。僕が既に息子にはじめているアプローチは、健康志向のスポーツです。将来システムエンジニアになるにせよ、プログラマーになるにせよ、体力ゼロの奴にいい仕事ができるわけがないだろ。同じ能力だとしたら、体力がある奴が勝つ。太陽に当たらないとビタミンDが作られない。健康が損なわれたら生活コストは跳ね上がるぞ。そんなことを言って、半ば無理矢理週に1,2回の運動(クラブでの活動)は続けさせていて、一度も外へ出なかった日には夜でも散歩に連れ出すようにしています(笑) ここは正直、親の強権を発動させています。スポーツを仕事にしている親の言うことですから、息子もある程度の理解を示して付き合ってくれています。今のところは・・・。いやでも本当に、何をするにも健康・体力は絶対に必要ですから、どれだけすごいプログラマーに彼がなろうとも、スポーツはある程度続けて欲しいなと思います。
要するに、うちの子のような子がこれからどんどん増えていった時に、彼らがスポーツの競技性に没頭することはあまりないと仮定すると、重要になって来るのが子どもの健康志向のスポーツなのだと思うのです。もちろんこれは仮定の域を出ません。しかし実際にこれは我が家で起きているリアルです。しかも、スポーツを仕事とするほどにスポーツが好きな親の元に生まれ、1年生くらいまでは週5くらいでスポーツをやっていた子どもに起きていることなのです。それくらいに、プログラミング思考というのは人間の行動を大きく変えるパワーを持っている可能性があります。僕たちはそんな子ども達を無理に昔の子どものように戻すことを考えるのではなく、彼らにとって必要なスポーツの在り方を考え、環境を提供することこそが重要だと僕は思っています。スポーツによって彼らの健康を支え、彼らには新しいテクノロジーやシステム、自由な発想でこれからの日本を作っていってもらおうじゃありませんか。
というわけで今日は、『これからの子ども達にとってのスポーツ』というテーマでお話しました。どうしても僕たち大人は自分がだった頃を思い返し、それに対して今の子どもに不足しているものを思い浮かべがちだと思いますが、それでは今の子ども達が絶対に負ける勝負になってしまいます。今の子ども達が得意なこと、かつての僕たちにはできなかったことにもちゃんと目を向けていくことは極めて重要な大人の姿勢だと僕は思います。50年前の人たちと体力勝負をする意味は全くないでしょう。
今回もお読みいただきありがとうございました!
ではまた!
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総合型地域スポーツクラブ研究所
総合型地域スポーツクラブのマネジメントをしている著者が、東京から長野県喬木村(人口6000人)へ移住して悪戦苦闘した軌跡や、総合型地域スポ…
総合型地域スポーツのマネジメントを仕事としています。定期購読マガジンでは、総合型地域スポーツのマネジメントに関して突っ込んだ内容を毎日配信しています。ぜひご覧ください!https://note.com/kenta_manager/m/mf43d909efdb5