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総合型地域スポーツクラブの登録・認証制度

 制度は使う側がどう利用するかが重要。あるだけでは意味がない。

 どうも、ふじみスポーツクラブの上杉健太(@kenta_u2)です。埼玉県富士見市で、誰もがいつまでも、自分に合ったスポーツを続けられる地域社会の実現を目指して、総合型地域スポーツクラブの運営をしています。

 今日は、『総合型地域スポーツクラブの登録・認証制度』というテーマでお話します。

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 昨日、クラブ宛てにこんなメールが届きました。

Subject: 総合型地域スポーツクラブ登録・認証制度に関するホームページの公開について

 ここ数年、総合型地域スポーツクラブ界隈を賑わせていた登録・認証制度がいよいよ始まろうとしています。今回のこのメールは、日本スポーツ協会がその説明のホームページを公開したお知らせというわけです。手続きに必要な書類なんかも公開されましたが、まだ手続きのスケジュールなどの詳細は未発表となっています。

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そもそも登録・認証制度って?

 私のおさらいも含めて、登録・認証制度とはそもそも何だったかを、公開されたホームページをベースに勉強していきます。

 まずはホームページからダウンロードできるリーフレットに載っている説明をそのまま抜粋します。

【登録・認証制度ってなに?】
 総合型クラブが、より公益性の高い「社会的な仕組み」として、永続的に充実した活動を行えるよう、第2期スポーツ基本計画に基づき、日本スポーツ協会と都道府県体育・スポーツ協会が関係団体と連携し、整備しました。
 この制度は、総合型クラブが地方自治体とパートナーシップを構築し、公益的な事業体としての役割を果たしていくために、活動実態や運営実態、ガバナンス等についての要件を基準としています。

 よく分かるような分からないような文面なので、私なりの言葉に変えて解釈してみると、

「総合型地域スポーツクラブが地域スポーツになくてはならないものとしてずっと続いていくためには、自治体とのパートナーシップが不可欠だから、そこを構築できるクラブになれる基準を作ったよ~」

ということでしょうか。この制度に乗っかって総合型地域スポーツクラブとして登録・認証されることで、自治体からの信用が得られやすくなるということを狙っていることですね。

 さらにリーフレットでは、『登録』と『認証』についてもそれぞれ説明してくれています。

【登録とは?】
総合型地域スポーツクラブ全国協議会が定める登録基準を具備していると認められる総合型クラブを、登録クラブとして認定することです。
【認証とは?】
総合型地域スポーツクラブ全国協議会が定めるタイプ別の認証基準を具備していると認められる登録クラブを認証することです。(例:「介護予防」、「子育て支援」等)登録クラブが自らの希望により申請するもので、1クラブが複数の認証を受けることもできます。

 『登録』の部分に関して言えば、これまでもありましたね。ここでもご報告したかもしれませんが、埼玉県では総合型地域スポーツクラブの”認知”というものを行っていて、申請があった総合型地域スポーツクラブについて基準を満たしているか審査し、パスしたクラブを総合型地域スポーツクラブとして認知しています。それを、総合型地域スポーツクラブ全国協議会などと共有しているはずです。全国の総合型地域スポーツクラブ数などがよく出てきますが、この数字を基にしていると思われます。

 新しいのは『認証』の部分ですね。これまでざっくりと”総合型地域スポーツクラブ”としていたところを、タイプ別に認証しようという試みです。もうここまで来ると、『登録』なのか『認証』なのかという言葉遊びはどうでもいいですね。要するにそれぞれの総合型地域スポーツクラブにタグを付けることで、よりそれぞれの総合型地域スポーツクラブの社会的な価値をアピールできるようにするということだと思います。面白いですよね。私はすごくいいと思います。

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 例えば、リーフレットの例にもあるように、『介護予防』というタイプに認証された総合型地域スポーツクラブは、行政の行う介護予防事業との連携や事業提案、補助金申請などがしやすくなるでしょう。「うちは『介護予防』の総合型地域スポーツクラブとして認証されています」と言えるわけですから。
 ただし、行政担当者から、「は?何すか、その『認証』って?」と言われることが十分に予想されるので、総合型地域スポーツクラブ側は毎回この登録・認証制度の信頼性について説明しなければならないでしょう。

 これまで、総合型地域スポーツクラブと言っても、その中身は実に様々で、それが原因で、「総合型地域スポーツクラブってよく分からん!」みたいになっていた部分はあると思います。そこにこの”タグ付け”とも言える認証制度ができます。恐らくこれは、総合型地域スポーツクラブを理解してもらうに大いに役立つのではないでしょうか。もちろんその為には、それぞれのクラブがちゃんとこのタグをアピールしていくことが必須条件です。どのような制度についても言えますが、使ってナンボです。登録・認証されただけでは何も生み出されないことは間違いないので、いつでも課題は総合型地域スポーツクラブ側にあります。

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自分のクラブにどんなタグを付ける?

 そうなってくると大事なのは、自分のクラブにどんなタグをつけるか、です。この制度の言い方に揃えると、どのタイプで申請をするか、ということですね。説明によると「登録クラブが自らの希望により申請するもの」とあります。実際に例示されているのは、『介護予防タイプ』と『子育て支援タイプ』の2つだけ。もしクラブ側が完全に自由にタイプを申請できるのだとしたら、恐らくこのタグ付けの施策は失敗するでしょう。ある程度、日本スポーツ協会なり総合型地域スポーツクラブ全国協議会なりがタグの種類をコントロールしなければ、タグが乱立してよく分からない状態になるのは目に見えています。

 では総合型地域スポーツクラブが身に付けるタグにはどのようなものがあるでしょう。それを今から考えておきます。

①子育て支援タイプ・・・主に未就学児とその保護者を対象にしたプログラムや居場所を作っているクラブ

②青少年育成タイプ・・・主に小学生~高校生を対象にしたプログラムや居場所を作っているクラブ

③成人コミュニティタイプ・・・主に大人のサークルなどが中心のクラブ

④介護予防タイプ・・・主に高齢者の運動プログラムを提供しているクラブ


 世代で切っていくとこの4タイプくらいでしょうか。定義はもっと詰めた方がいいにしても、ざっくり言えばこんな感じかなと思います。あとは『志向』という観点でもタグがあるといいのかなと思います。

⑤エンジョイスポーツタイプ・・・主に楽しみを目的としたスポーツ活動を行っているクラブ

⑥競技スポーツタイプ・・・主に競技を目的としたスポーツ活動を行っているクラブ

⑦健康スポーツタイプ・・・主に健康を目的としたスポーツ・運動活動を行っているクラブ

 本当はコミュニティ志向とかも入れたいところですが、そうするとほぼ全部のクラブにタグが付くことになってしまって意味がないので、そういうタグは排除しなければなりませんね。「いや、それ、総合型地域スポーツクラブなら全部そうでしょ」というタグですね。

 あるいは、文化的活動のタグも本当なら入れたいところなのですが、総合型地域スポーツクラブが社会価値を発揮すべき本領域はやっぱりスポーツ・運動の部分なので、タグには入れなくていいかなという妥協です。

 これで7つか・・・。うん、7つのタグ、何となく見た目も数も良さそうですね。この7つでいきましょう!

(※私が決められるわけがない)

 でもこれは総合型地域スポーツクラブとしても分かりやすくなるかもしれません。この7つのタグを全て身に付けられるようになったら、生涯スポーツを実現しようとする総合型地域スポーツクラブとしてかなり精度が高いということになります。ちょっと分かりやすくなりますし、もしかしたら運営者の目標になり、モチベーションも上がるかもしれませんね!

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 ということで今回は、『総合型地域スポーツクラブの登録・認証制度』というテーマでお話しました。ちょっと書き切れていない部分もあるので、明日も同じテーマで、今度はその『効果』の部分をお話したいと思います。ズバリ、”お墨付き”の効果についてです。お楽しみに!

今回もお読みいただきありがとうございました!
ではまた!

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総合型地域スポーツクラブや筆者の挑戦のリアルな実態を曝け出しています。自ら体を張って行ってきた挑戦のプロセスや結果です! 総合型地域スポーツクラブをはじめ、地域スポーツクラブの運営や指導をしているかた、これからクラブを設立しようとしているかた、特に、スポーツをより多くの人に楽しんでもらいたいと思っているかたにぜひお読みいただきたいです!

総合型地域スポーツクラブのマネジメントをしている著者が、東京から長野県喬木村(人口6000人)へ移住して悪戦苦闘した軌跡や、総合型地域スポ…

総合型地域スポーツのマネジメントを仕事としています。定期購読マガジンでは、総合型地域スポーツのマネジメントに関して突っ込んだ内容を毎日配信しています。ぜひご覧ください!https://note.com/kenta_manager/m/mf43d909efdb5