第3期スポーツ基本計画(中間報告)のパブリックコメントが始まったよ

 どうも、ふじみスポーツクラブの上杉健太(@kenta_u2)です。埼玉県富士見市で、誰もがいつまでも、自分に合ったスポーツを続けられる地域社会の実現を目指して、総合型地域スポーツクラブの運営をしています。

 今日は、『第3期スポーツ基本計画(中間報告)のパブリックコメントが始まったよ』というテーマでお話ししたいと思います。令和4年度から始まる第3期のスポーツ基本計画の中間報告について、スポーツ庁が国民に広く意見を求めているということですね。
 この時点で私は1文字も中身を見ていないわけですが、どうやら総合型地域スポーツクラブのことについても触れられているようなので、総合型地域スポーツクラブ研究所としては扱わないわけにはいきませんよね。
 ということでざっと見ていきたいと思います。そして意見を書き込んでみましょう!


はじめに

 ここはあいさつ文みたいな感じでしたが、これから5年間の計画を立てるにあたって特に注目すべき点みたいなものも記載されている気がします。それが、

  • デジタル化

  • 少子高齢化

  • 働き方改革

  • 生活環境の変化

として挙げられています。少し言葉としては古臭い感じもしますが、まぁそりゃそうだよなという感じです。これらの社会情勢を考慮して、スポーツ基本計画を立てていくよ、ということですね。

 また、観点として、

  • スポーツ実施率

  • 多様な主体におけるスポーツ実施の促進

  • 地域スポーツ環境の整備

などが挙げられていて、特に総合型地域スポーツクラブ研究所としては地域スポーツ環境の整備の部分に注目すべきでしょう。

第1章 社会変化の中で改めて捉える「スポーツの価値」

1.第2期計画の総括的な評価

 令和3年度までの5年間の評価について書かれています。第2期では、①「スポーツで「人生」が変わる!」、②「スポーツで「社会」を変え
る!」、③「スポーツで「世界」とつながる!」、④「スポーツで「未来」を創る!」という4つの基本方針のもと、政策目標が設定されていましたが、それぞれの評価は以下の通りです。

(1) スポーツを「する」「みる」「ささえる」スポーツ参画人口の拡大と、そのための人材育成・場の充実

【第2期計画で掲げた政策目標】
成人のスポーツ実施率を週1回以上が 65%程度(障害者は 40%程度)、週3回以上が 30%程度(障害者は 20%程度)となることを目指す。

→成人の週1回以上のスポーツ実施率は 59.9%
→障害者の週1回以上のスポーツ実施率は 24.9%
→成人の週3回以上のスポーツ実施率は 30.9%
→障害者の週3回以上のスポーツ実施率は 12.3%。

 このあたりを富士見市と比較してみると、週1回以上スポーツをする人の割合は、富士見市は令和2年度で42.9%で、次のスポーツ推進計画ではR8年度に50%にしようとしています。全国の目標よりもだいぶ低い現状と目標なんですね(;^_^A
 富士見市はベッドタウンで、東京まで通勤に往復2~3時間かけている人も多い。自然と余暇時間は少なくなり、成人のスポーツ実施率は低くなるのかもしれませんね。

(2) スポーツを通じた活力があり絆の強い社会の実現

【第2期計画で掲げた政策目標】
スポーツを通じた共生社会等の実現、経済・地域の活性化、国際貢献に積極的に取り組む。

障害者のスポーツ実施率は増加傾向にあるものの依然目標達成には至っていない
女性については男性よりもスポーツ実施率が低い状況であるなど、誰でも等しくスポーツが実施できる環境の構築に向け、引き続いての取組が求められる
スポーツを通じた健康長寿社会の実現については、更なるエビデンスの蓄積や活用するための体制整備が求められている
経済・地域の活性化については、スタジアム・アリーナ改革やスポーツツーリズム等の取組等の施策が図られてきた。各地域等での担い手の確保や質の向上にも引き続き取り組む必要がある。

 このあたりは「ふーん・・・」という感じですかね(;^_^A

2.スポーツ基本計画における「スポーツ」の捉え方

平成 23 年に公布された基本法の前文冒頭において「スポーツは、世界共通の人類の文化である」と記されている。

 この『スポーツ』には競技スポーツに加え、散歩やダンス・健康体操、ハイキング・サイクリング、野外活動やスポーツ・レクリエーション活動も含まれているようです。これらのスポーツを「する」「みる」「ささえる」という様々な参画を通じて、より多くの人がスポーツの楽しさや感動を分かち合い、互いに支え合う「スポーツ文化」の確立を目指して、様々なスポーツ施策が展開されています。

 そんな中、第3期のスポーツ基本計画では『スポーツ』をどう捉え直すのか、です。

第3期計画では、「スポーツ」は「する」「みる」「ささえる」という様々な形での「自発的な」参画を通して、人々が感じる「楽しさ」や「喜び」に根源を持つものとして捉えることとしている。

 わざわざ「自発的な」や「楽しさ」や「喜び」を強調してきていますね。このあたりは意図を感じますよね。総合型地域スポーツクラブとしては、追い風になりそうな文言ですし、部活動の地域移行なんかも視野に入れた言い方に見えてきますね。スポーツをより『遊び』として捉えていこうとする動きに見えます。

 さらに、生涯スポーツについても触れられています。

こうした「スポーツの価値」を原点として大切にし、更に高め、生涯を通じてスポーツを「好き」でいられる環境を整えていくことが不可欠である。

このあたりはまったく異論はありません。その通り!という感じ。

 さらにここでは、そのスポーツの価値を他の分野や社会課題にも波及させようということが書かれています。

このような「スポーツそのものが有する価値」を基本としつつ、スポーツを通じて他の分野にも貢献し、優れた効果を波及したり、様々な社会課題を解決したりすることができるという側面を持つ「スポーツが社会活性化等に寄与する価値」という観点もあると考える。

具体的に挙げられているのは、

  • 地域社会の再生

  • 健康で活力に満ちた長寿社会の実現

  • 国民経済の発展

  • 国際相互理解の促進

  • 社会的孤立の解消

です。総合型地域スポーツクラブが主に貢献できるのは、『地域社会の再生』『健康で活力に満ちた長寿社会の実現』『社会的孤立の解消』でしょうね。

第2章 中長期的なスポーツ政策の基本方針と第3期計画における「新たな視点」

 第2章では、第2期にあった4つの視点

①「スポーツで「人生」が変わる!」
②「スポーツで「社会」を変える!」
③「スポーツで「世界」とつながる!」
④「スポーツで「未来」を創る!」

に加えて、3つの視点を持つべきだと書かれています。それが、

① 社会の変化や状況に応じて、既存の仕組みにとらわれずに柔軟に対応するというスポーツを「つくる/はぐくむ」という視点
② 様々な立場・背景・特性を有した人・組織が「あつまり」、「ともに」活動し、「つながり」を感じながらスポーツに取り組める社会の実現を目指すという視点
③ 性別、年齢、障害の有無、経済的事情、地域事情等にかかわらず、全ての人がスポーツにアクセスできるような社会の実現・機運の醸成を目指すという視

です。私の立場のせいか、全て総合型地域スポーツクラブのことを言っているように見えてきてしまいます(笑) それくらい、今のところ日本のスポーツの方向性は、総合型地域スポーツクラブの方向性と一致している。まだまだ総合型地域スポーツクラブの普及・発展は求められているような気がしますね。

第3期計画の新たな視点①-スポーツを「つくる/はぐくむ」-

 ここでは、既存の形にとらわれず、色々な人のニーズに応じてルールを変えたり、新しい種目をつくったりしていこうということが書かれています。これまでニュースポーツとして普及してきたスポーツのように、ですね。大事なのはスポーツを楽しみ、喜びを感じられるようにすることだよと言っています。超大賛成です。

第3期計画の新たな視点② - 「あつまり」、スポーツを「ともに」行い、「つながり」を感じる-

 追加する2つ目の視点は、この言葉だけを見れば、『クラブ』を想像するのですが、どうやらそういうことではないような感じがします。要するに、障がい者も一緒にスポーツができるようにしよう、ということなのかもしれません。

既存の区別や整理の仕方を所与の前提として固定的に捉えるのではなく、一人一人が置かれた状況や事情、特性等も踏 まえ、様々な立場にある人々誰もが「ともに」活動し、「つながり」を感じながらスポーツ を楽しめる社会の実現を目指し、機運を醸成することが、今後より重要になると考える。

 ちょっと分かりにくい部分です(;^_^A

第3期計画の新たな視点③ -スポーツに「誰もがアクセス」できる-

スポーツに参画し、スポーツの価値を体感できるような社会を実現するためには、その前提として、性別、年齢、障害の有無、経済的事情、地域事情等、それぞれが置かれた状況によって、スポーツに取り組むことを諦めたり、望まずに途中で離れたりすることがないよう、全ての人がスポーツにアクセスできる社会の実現や機運の醸成を目指すことも重要である。

 これは本当に本質的な部分ですよね。スポーツはあくまで遊びで、言ってしまえば生きていく上で最低限必要なものではありません。だから、生活に困っている人がスポーツをすることを選ぶかというと、どうしてもその優先順位は低くならざるを得ない。そのような状況を回避するには、どうしてもスポーツ側からのアプローチだけでは不十分で、社会として取り組まなければなりません。それこそ今世界的に議論されているベーシックインカムのような取り組みが。

 もちろん、スポーツ側としても、誰もがアクセスできるように情報発信やコンテンツづくりに努めたり、できることはたくさんあります。

第3章 東京大会のスポーツ・レガシーの継承・発展に向けて、特に重点的に取り組むべき施策

 この章は総合型地域スポーツクラブには直接的にはあまり関係がなさそうなので、駆け足でいきますね(笑)

(1)東京大会の成果を一過性のものとしない持続可能な国際競技力の向上

 ここでは引き続き国際競技力の向上に努めようぜ、と言っています。

(2)安全・安心に大規模大会を開催できる運営ノウハウの継承

 大会運営のノウハウだけでなく、作った施設の活用、ボランティアスタッフマネジメントなどのノウハウなど、残った財産をこれからも使っていこうぜということ。特に、オリンピック会場となった施設がある地域では、そこを中心とした『まちづくり』も期待しているようです。それは確かにそうですが、ほとんどの地域にとって関係のない話で、あまりに大会主催者目線過ぎるなという印象も受けます。ほとんどの人は、「は?」という感じだと思います(;^_^A

(5)東京大会に向けて培われた官民ネットワーク等を活用したスポーツを通じた国際交流・国際貢献

 これからも世界に貢献していこうぜ!特にSDGsは大事だぜ!ということを言っています(笑)

(6)東京大会の開催時に生じたスポーツに関わる者の心身の安全・安心確保に関する課題 を踏まえた取組の実施

 ここでは、暑さ対策やアスリートへのSNS等での誹謗中傷について言及されています。これは地域スポーツにも大いに関係するところですね。夏の暑さはこれからも酷くなっていくでしょうし、スポーツ実施の在り方を変えていくことでしょう。また、クラス内でのいじめ問題のように、身近な人を誹謗中傷する文化はずっと存在し続けてしまっていて、スポーツ界は特に無視できない立場にあると思います。勝敗という形で優劣を判断しがちなスポーツ界では、ちょっと”バカにする”みたいなことを含めれば、誹謗中傷が横行していると言ってもいい。
 主に子ども達への教育など、取り組むべきことは多いかなと。そもそも、技術的に優れている人の価値が高いという誤解も解いていかないといけない。

第4章 「新たな三つの視点」を支える具体的な施策

1.スポーツを「つくる/はぐくむ」(新たな視点①)

(1)多様な主体が参画できるスポーツの機会創出

 ここでは、性別や年齢・障害の有無等に関係なく、色々な人がスポーツを楽しむことができるように、こうしていこうよ、ということを言っています。多様な主体というのは、”誰もが”という意味だったんですね。
 具体的には、

  • アーバンスポーツなどの新しいスポーツへの参画

  • 誰もが等しく参加できるスポーツの導入

  • 日常生活の中で気軽にできる運動・レクリエーションの実施

  • 状況や環境の変化に応じた柔軟な実施方法や大会等参加資格の設定、ルールの変更・工夫など

が挙げられています。ちなみに、『アーバンスポーツ』とはBMX、スケートボード、パルクール、インラインスケート、ブレイクダンスなどの、いわゆる都市型スポーツのこと。
 とにかく、既存のスポーツとは違った形をどんどん取り入れて、誰もがスポーツを楽しめるようにしようということですね。

 また、体育の在り方についても言及されています。子供の内に、スポーツの多様な楽しみ方を学べるように、と。大賛成です。ぜひ体育の評価を廃止して欲しい!

(2)自主性・自律性を養う指導ができるスポーツ指導者の育成

 ここでは、スポーツ選手自らがキャリアをデザインできるように、という文脈で、自主性・自律性を養える指導者の育成が必要と語られていました。特に反対というわけではありませんが、自主性・自律性が必要なのはアスリートだけではなく、全人類にとって大事なものです。”言うことを聞かせる指導者”が減り、スポーツ実施者に寄り添えるコーチングを実践できる指導者が増えていくといいですね。

(3)スポーツ界におけるDXの導入

 『DX』とは、「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」なのだそうです。具体的には、

  • データ等を活用することでトレーニング等の様々なスポーツ活動の効率性向上や最適化を図る

  • これまで「空間」や「時間」等の壁によって特定の人や組織、地域に偏在していた様々なスポーツに関する知見や機会を国民や社会に広く提供することを可能にする

  • VRやAR等を活用したリモートでも楽しめるようなプログラムやデジタル技術を活用した新たなスポーツ実施機会の創出

  • 選手強化活動におけるデータ分析

2.「あつまり」、スポーツを「ともに」行い、「つながり」を感じる(新たな視点②)

(1)スポーツを通じた共生社会の実現

 様々な立場・状況の人が「あつまり」、「ともに」スポーツを楽しめる環境を構築することを通じ、スポーツを通じた共生社会の実現を図っていく、ということが書かれているのですが、具体的なことは何も書かれていません(;^_^A

(2)スポーツ団体のガバナンス・経営力強化、関係団体等の連携・協力を通じた我が国のスポーツ体制の強化

 この項目は少し力が入っているように感じました。

スポーツ活動の重要な担い手であるスポーツ団体が、自主的・自律的にガバナンスを強化し、収益拡大等の経営力の強化を図る

持続可能な団体運営や団体間の連携・協力が自発的に行われるよう、各団体における外部人材の雇用も含めた戦略的な経営を行う人材確保等の支援やネットワークの構築を行う。

 特に地域スポーツのことを名指しているわけではないのですが、私には、総合型地域スポーツクラブへのメッセージのようにも感じられました。助成金や行政支援に依存した体制から脱却し、しっかり経営体として自立しろよ、という。もちろん、その姿勢には大賛成です。これまで総合型地域スポーツクラブは、国や自治体の支援に甘えすぎていた部分は否めないでしょうから・・・。
 これからどんどん民間企業が地域スポーツに参入してくる状況が生まれていくのかもしれません。

(3)スポーツを通じた国際交流

 政府間国際協力の推進や、人材交流の支援、国際交流を担う人材育成、日本のスポーツの魅力発信などをしていこうね、と書かれています。

3.スポーツに「誰もがアクセス」できる(新たな視点③)

(1)地域において、住民の誰もが気軽にスポーツに親しめる「場づくり」等の機会の提供

 ここでやっと総合型地域スポーツクラブの名前が登場しました!やっと(笑)

国は、総合型地域スポーツクラブ等の体制強化・役割の拡大等を通じて、住民の幅広いニーズに応え、地域社会が抱える課題の解決に資する地域スポーツ環境の構築や、スポーツクラブ等の民間事業者も含めた地域の関係団体等の連携の促進、既存施設の有効活用やオープンスペース等のスポーツ施設以外のスポーツができる場の創出、性別、年齢、障害や疾病の有無等にかかわらず誰もがスポーツを行いやすくするためのユニバーサルデザイン化の推進等により、安全で持続可能な地域スポーツ環境の量的・質的充実を図る。

 ここでも民間事業者のお話が出てきましたね。やはり国としては、総合型地域スポーツクラブ単体に期待するというよりは、民間をそこにどんどん介入させていきたい意図を持っていそうですね。利益を追求する民間の良さと、地域住民の主体性を大事にする総合型地域スポーツクラブの良さが上手く嚙み合えば、面白いことになる可能性は十分にあると思うので、私としては前向きに捉えたいなと思いますし、競う部分は競って、お互い高め合えればいいなと思います。

 また、施設については新しい施設を作るという方向性ではなく、既に地域にあるものを活用したり、これまでスポーツをやる場所ではなかったような場所を使うような示唆がありますね。これは確かに、人口が減っていく日本全体の方向性としては、当然なのかなと思います。ただ、学校開放については促進していかないといけないのではないかなと思います。それこそ、部活動を地域活動に移行していこうとするなら尚更。

(2) アスリート育成パスウェイの構築及びスポーツ医・科学、情報等による支援の充実

 アスリートの発掘・育成・強化までを一貫して行うパスウェイの構築を進める、ということが書かれています。

(3)本人が望まない理由でスポーツを途中で諦めることがないような継続的なアクセスの確保

スポーツに取り組む者が、本人が継続を希望するにもかかわらず、けが・障害や不適切な指導など本人が望まない理由でスポーツを親しむ機会を失ったり、制限されたりすることがないよう、継続的なスポーツの実施に向けて、スポーツを実施する者の心身の安全・安心の確保を図る。

 ここは本当に大事ですよね。自分に合ったスポーツを続けられる社会に、と私は言い続けていますが、同じことですね。続けたいと思った人が続けられる環境が用意されていること。そういう社会にしていかねば。具体的な方法については一切触れられていませんでしたが、総合型地域スポーツクラブが果たせる役割は大きいと思っています。頑張ります!

第5章 今後5年間に総合的かつ計画的に取り組む施策

 さて、やっと5章です(;^_^A ここでは、スポーツ庁が今後5年間で計画に取り組む施策について書かれています。総合型地域スポーツクラブや地域スポーツに関係が深そうなところだけ、順番に見ていきましょう。

(1)多様な主体におけるスポーツの機会創出

① 広く国民一般に向けたスポーツを実施する機会の創出

ア 国や地方公共団体、スポーツ団体、企業、保険者等の関係機関・団体等の連携と、一体感をもった国民のスポーツ実施促進に係る取組を推進する

イ 地方公共団体は、スポーツ主管課と教育・福祉主管課等で連携し、地域のスポーツ団体やスポーツ施設、総合型クラブ等及び、医療機関・福祉施設等の関係者の連携体制を構築して住民のスポーツ実施を促進する

ウ 国は、「楽しさ」や「喜び」といったスポーツの価値を認識する人を増やすことを目指すとともに、関係省庁と連携して、厚生労働省の「健康づくりのための身体活動基準・身体活動指針」等の健康・体力の保持増進に資するスポーツの普及啓発を行う

オ 国は、多様な主体がスポーツを楽しむために、アーバンスポーツなどの新しいスポーツへの参画や誰もが等しく参加できるスポーツの導入、日常生活の中で気軽にできる運動・レクリエーションの実施、状況や環境の変化に応じた柔軟な実施方法やルールの変更・工夫など、スポーツに関わる人がそれぞれの状況・事情等にあわせ最も適切な手法・態様を取り入れてスポーツを「つくる/はぐくむ」ことができるように、必要な啓発活動や支援を行う。

 このあたりを読んで感じるのは、やたらと色々な組織を連携させようとしていること。総合型地域スポーツクラブの視点から考えると、もう総合型地域スポーツクラブ単体で支援するというよりは、行政や民間企業などと一緒に活動して欲しいという思惑が感じ取れます。これは時々漏れ聞こえてくる声ですが、「総合型地域スポーツクラブは期待外れだった」みたいな総括があるのだと思います。たぶん、目指している方向性として、総合型地域スポーツクラブという施策は正しい。でもプレーヤーが力不足だった。というより、ちゃんと産業として育てないと優秀なプレーヤーは入ってこない。でもすぐに産業としては育たない。だからまずは既に人財がいるところと一緒にやらせて、徐々に産業として育てていこう。そういうことなのかもしれません。

 私は、仮にそのような思惑があるのだとしても、優秀な人財が地域スポーツに入ってくるのであれば大歓迎です。下手な連携は足を引っ張り合うだけになるので勘弁ですが、長所を活かし合うか、短所を補い合える連携ができるならそれも大歓迎。ただ、『連携』という言葉は耳障りがいいのか、色々と使われ過ぎている。実際にはほぼ何も連携していないような”連携”はたくさんあるし、ただ無駄にお金やパワーを使っている連携もあると思っています。連携において重要なのは、キープレーヤーでしょう。行政が中心になるのか、スポーツ協会なのか、総合型地域スポーツクラブなのか、競技団体なのか。誰が連携を取り仕切るのか。そのキーマンとなる人の能力が極めて重要になるのかなと思います。

 あと、やたらとアーバンスポーツを推してきていますよね。もし公共事業でアーバンスポーツに対応できる施設が増えてくるのだとしたら、今後確実に愛好家は増えるでしょうから、総合型地域スポーツクラブとしても活動を作っていくチャンスはあるでしょう。私も考えてみたいと思います。

② 学校や地域における子供・若者のスポーツ機会の充実と体力の向上

[現状]
地域における子供のスポーツ実施の場について、総合型クラブの地方公共団体における設置率は 80.9%となっているが、総合型クラブについては運営体制の強化や行政との連携が課題となっており、スポーツ少年団は年々減少するなど、地域で様々な住民が一人一人のニーズに合わせたスポーツをするための場、プログラム、指導者等の環境の充実が必要である。

[具体的施策]
ア 国は、地方公共団体及びスポーツ団体等と連携し、部活動の運営主体の学校から地域への移行について、まずは、令和5年度以降の休日の部活動の段階的な地域移行に向けて、各地域の実態に応じた様々な課題に対応するための実践研究を行うとともに、得られた事例を効果検証し、情報発信することで取組の全国展開を図る。また、運動が苦手な生徒や障害のある生徒も含めて、どの生徒も地域においてスポーツに親しむ機会が確保されるよう、地域におけるスポーツ環境の整備充実を推進する。

イ 国は、地方公共団体及びスポーツ団体等と連携し、総合型クラブやスポーツ少年団、競技団体、地域スポーツクラブ等の地域における子供のスポーツ実施の場を担う関係団体において、運動・スポーツ指導者の資質向上や相互派遣、活動の場の調整等について連携・協力を促進する。また、幼児期や運動を得意としない子供、障害のある子供等を含めた多様な子供が参加しやすい環境を整備し、地域における子供のスポーツ実施を促進する。

ウ 国は、地方公共団体及びスポーツ団体等と連携し、子供のニーズに対応できるよう、アーバンスポーツや誰もが等しく参加できるスポーツ、レクリエーション志向などの活動も含めて、多種多様なスポーツの機会の提供を促進する。

オ 国は、地方公共団体及びスポーツ団体等と連携し、地域スポーツに参加する子供たちの成果発表の機会を確保・充実する観点から、大会の在り方の見直しを図る。

キ 国は、基本法、学校教育法、社会教育法の趣旨を踏まえて学校体育施設の有効活用を促進するため、地方公共団体内での十分な連携や、総合型クラブや民間事業者を含む多様な主体の参画による効率的・効果的な活用、一般開放を前提とした施設整備(社会体育施設との複合化、耐震化、バリアフリー化等)、デジタル技術を活用した施設の情報管理等を先進事例の情報提供等により推進する。

 ここでは部活動の地域移行の話や、学校施設の開放の話が出てきていますね。そこに総合型地域スポーツクラブも、色々なところと連携しながら入ってきてね~という感じですよね。特に民間企業に介入させたい意思を感じますから、総合型地域スポーツクラブは結構頑張らないといけないでしょうね。これまで、行政から何かをしてもらうのが当たり前だったクラブは、自ら仕掛けていく姿勢がないと、きっと衰退していってしまうでしょう。

(10)スポーツの推進に不可欠な「ハード」「ソフト」「人材」

② 地域のスポーツ環境の構築

[今後の施策目標]
✔ スポーツに係る地域の団体や人材の連携促進により、地域の資源を最大限活用し、スポーツの場、プログラム、指導者等の充実を図る。
✔ 総合型クラブやスポーツ少年団の体制強化や役割の拡大により、より幅広いニーズに応えられる地域スポーツ環境を構築する。
✔ 地域のスポーツ環境に係る施設の活用促進や情報の見える化により、住民と各自のニーズに合ったスポーツの場とのマッチングを促進する。

[具体的施策]
ウ 国、JSPO及び地方公共団体は、中間支援組織が取り組む総合型クラブの自立的な運営を含む質的充実や地域課題の解決に向けた取組を支援する。

エ 国及びJSPOは、総合型クラブの登録・認証制度を 47 都道府県で運用開始し、当該制度を通じて、総合型クラブの質的な向上を図るとともに、総合型クラブと地方公共団体等との連携による地域課題の解決に向けた取組を促進する。

オ JSPOは、国、地方公共団体及び都道府県体育・スポーツ協会と連携し、スポーツ少年団への幼児や中学生等の受入れ拡大のための指導者の確保や多種目型のスポーツ少年団の増加を図る。また、スポーツ少年団を新たなジュニア・ユーススポーツ統括組織として体制を強化すること等により、スポーツの楽しさを基盤としたスポーツ機会の多様化を図ることを通じ、スポーツ少年団の団員数を拡大させる。

カ JSPOは、地域スポーツクラブ(仮称)の枠組みの下に総合型クラブとスポーツ少年団を位置づけるとともに、国、地方公共団体及び都道府県体育・スポーツ協会と連携し、地域で活動するその他のスポーツ団体を含めた地域スポーツ団体の活動充実を図り、地域のスポーツ環境整備を支援する。

キ 国は、地方公共団体等と連携し、学校体育施設の活用を促進するとともに、利用者とスポーツ施設のマッチング体制や予約システムの整備・利便性の向上を図る。

 何だか大事なことが連発されていますね(笑)
 登録・認証制度のことは今更ここでは触れないにしても、日本スポーツ協会の組織の中で、総合型地域スポーツクラブとスポーツ少年団を『地域スポーツクラブ(仮称)』の下に位置づけるとあります。また、多種目型の少年団も育成していくと。つまりこれは、少年団と総合型地域スポーツクラブを一体化させていこうという狙いのように見えます。私はこれは大賛成です。ていうか私は、なるべく地域スポーツは、大きな1つのクラブになっていくといいと思っているので。その為の総合型地域スポーツクラブという一面も確実にあると思っています。1つの組織にまとめたうえで、細かいニーズに応えていけるようにコンテンツを細分化させていく。抜け漏れやダブりがないように、効果的にスポーツコンテンツを提供できる。そこを目指すべきかなと。

 そして学校開放の件は本当に大事。とにかく学校資源を地域に開放しないことには地域スポーツの限界は目に見えている。

第6章 施策の総合的かつ計画的な推進のために必要な事項

※ここはもう割愛します


 いやー、長かった!長かったうえに、最後の方はもう完全に私が飽きてしまった(笑) でも、何となく、国が見ている方向性は感じ取れた気もします。総合型地域スポーツクラブは、まだその理念としては期待されているけど、我々プレーヤーへの期待は低い。そのメッセージを強く受け取ったと思っています。ここは何とか見返していきたいところですね。
 一方で、連携によって様々な資源が地域スポーツに入ってくることは歓迎すべきことでしょう。それによって地域スポーツコンテンツが充実すれば、様々なスポーツニーズに応えられる地域も増えてくるはず。その際、連携のど真ん中に誰が立つのかが極めて重要になってくると思うので、富士見市ではそこに私が立てるように、ふじみスポーツクラブが中心になれるように、もっと実績を作っていかなければいけないなと思いました。

今回もお読みいただきありがとうございました!
ではまた!


ここから先は

25字
総合型地域スポーツクラブや筆者の挑戦のリアルな実態を曝け出しています。自ら体を張って行ってきた挑戦のプロセスや結果です! 総合型地域スポーツクラブをはじめ、地域スポーツクラブの運営や指導をしているかた、これからクラブを設立しようとしているかた、特に、スポーツをより多くの人に楽しんでもらいたいと思っているかたにぜひお読みいただきたいです!

総合型地域スポーツクラブのマネジメントをしている著者が、東京から長野県喬木村(人口6000人)へ移住して悪戦苦闘した軌跡や、総合型地域スポ…

総合型地域スポーツのマネジメントを仕事としています。定期購読マガジンでは、総合型地域スポーツのマネジメントに関して突っ込んだ内容を毎日配信しています。ぜひご覧ください!https://note.com/kenta_manager/m/mf43d909efdb5