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“運動音痴”を“治す”のではなく、“認める”社会に

こんにちは!長野県の喬木村(人口6100)で総合型地域スポーツクラブ『たかぎスポーツクラブ』(会員550)のマネジメントをやってます、上杉健太です。

突然ですが、『総合型地域スポーツクラブ』と聞いて、どんなイメージを持たれるでしょうか?

「そんなもん初めて聞くわ!」というかたの為にざっくりご説明すると、「色々な世代の人たちが、色々な種目に、色々な目的で取り組んでいる地域スポーツクラブ」を総合型地域スポーツクラブといいます。

この、「3つの色々」の内、「色々な目的」の中には、

楽しむため

上手くなる/勝つため

健康のため

仲間づくりのため

etc

などがあります。

ジュニア世代のことでいうと、総合型地域スポーツクラブはスポーツ少年団や部活動よりも遅れて登場してきた後発組なので、それらとの差別化を図るケースが多くあります。

また、総合型地域スポーツクラブの基本思想には『生涯スポーツ』があるので、楽しみ目的でスポーツをする『エンジョイ志向』の活動があるクラブが多いように思います。

総合型地域スポーツクラブというワードを既にご存知のかたは、そういうイメージをお持ちの場合も多いのではないかと思います。

「あのクラブは遊びでしょ?」と悪口っぽくおっしゃるかたもいらっしゃいますが、『スポーツは遊び』だと思っているのでそれは褒め言葉です。

とはいえたかぎスポーツクラブの場合、技術・体力の向上を主な目的とした競技志向のジュニアのクラスは『育成クラス』、エンジョイ志向のクラスは『のびのびクラス』と表現して志向を分けて存在させています。

認められてこなかったエンジョイ志向

人口が少ない地域では特にそうだと思いますが、これまで日本の社会は、ジュニア世代の『エンジョイ志向』のニーズに応えられて来なかったのだろうなと、総合型地域スポーツクラブのマネジメントを始めて思いました。

エンジョイ志向が認められるのは、教育課程を終えた人達だけ。

地域に存在するチームも限られているのが現状で、野球をするならこのチーム、サッカーをするならこのチーム、バスケをするならこのチームと、それぞれ一択。

種目は選べても、志向は選べない

もちろん、どんなチームでもメンバーのニーズは微妙に異なっているものです。しかし、同じ現場で、指導者が色々なニーズに同時に応えるのはかなり高度なこと。すると、メンバーの志向は無理矢理にでも統一されていきます。

うちのやり方はこうだから」と。

そうしてこれまで損をしてきたのは、運動が苦手な人達だったことは、簡単に想像できます。

運動が得意な人がチームにいて、例えば全国大会出場を狙えるチームになりそうな場合、運動が苦手な人は置き去りにされ、ほぼ参加できない状態になるか、あるいはチームのレベルに追いつくよう求められます。その人本来の志向やニーズは無視されることになります。

それもこれも、社会にスポーツのバリエーションを用意できていないことが原因だと思います。

地域で多志向を実現したい

エンジョイ志向のクラブやクラスがあれば、そっちが向いている子はそっちにちゃんと入ります。

そうすると、無理に競技志向のクラブに行って、お互いにミスマッチを生み出すということがなくなります。

みんながハッピーです。

一つのクラブで多志向を実現するのは簡単ではありません。

それなりにメンバーがいなければなりませんし、マネジャーのようにある程度クラブ全体を取りまとめる人材も必要です。

ほとんどのクラブがボランティアで運営されている現状を考えると、そういったクラブ全てが多志向型になるのは難しいでしょう。

だったら地域全体で解決しにいくべきだというのが私の考え方です。

同じ種目のクラブが地域にいくつかあるのなら、競技志向とエンジョイ志向で住み分ける。

また、既に地域にクラブやチームがあるからといって、2つ目のクラブやチーム設立をあきらめない。2つ目のクラブを作って、地域に選択肢を作る。

「そんなことをすると、どちらのクラブも人数が足りずに試合に出られなくなる!」という声が聞こえてきそうです。

それは重大な課題ではありますが、最優先事項ではないと私は思います。

野球チームが5人しか集まらなければ、5人でできるルールに変えればいいし、世代を越えたチーム編成をするなどして、これまでの固定化されたものを捨て去れば何とかなることもあるのではないでしょうか。

まずはスポーツ本来の楽しみを全ての人が実感できる社会にすることの方が優先。

ただ、そういう変なバトルというかイザコザを生み出さないためにも、総合型クラブのように1つのクラブの中に多志向を実現させた方が何かといいとは思います。

上手いから優位という考え方はさっさと捨て去り、エンジョイ志向も健康志向も全部対等!という考え方にアップデートしていきたいと強く思います。

運動音痴でいい。

運動能力の低下を社会が嘆き続ける限り、運動音痴はいつまでもスポーツを心から楽しめない。

まずは認めることから。


総合型地域スポーツのマネジメントを仕事としています。定期購読マガジンでは、総合型地域スポーツのマネジメントに関して突っ込んだ内容を毎日配信しています。ぜひご覧ください!https://note.com/kenta_manager/m/mf43d909efdb5