テクノロジーで誰もがハイクオリティのものが作れるようになった時代に、スポーツは?

 当日雨が降っていなくても、前日に雨が降ると使えなくなるクレーコートがもどかしい・・・。

 どうも!総合型地域スポーツクラブをやっています、上杉健太です!

 今日は、『テクノロジーで誰もがハイクオリティのものが作れるようになった時代に、スポーツは?』というテーマでお話したいと思います。静止画、動画、絵画、音楽・・・、主に芸術分野において、どんどんテクノロジーによって普通の一般人がクオリティの高い作品を作れるようになっているようなのですが、この流れが続くとスポーツが置いて行かれるかもな、という危機感のお話です。


 今日の話の前提は、スポーツは余暇(=遊び)の領域にあるものだということです。趣味で音楽を聴いたりプレーするように、趣味で写真を撮るように、趣味で絵を描くように、趣味でするスポーツを想定しておいてください。

 今、AIアートが話題になっています。下の絵は、僕が『midjourney』でAIに描いてもらったものです。

 僕は絵心なんて全くありません。絵は本当に昔から苦手。真似して描くのは何とかできたくらいの感じです。それが、ちょっとキーワードを入れるだけで、こんな絵を描いてくれるんです。これは、キーワードの入れ方がとても重要なので、「このキーワードを思いついたのは俺だ!」という感じがして、あたかも自分が描いたような気分になれます。

 他には、静止画や動画はスマホ一つでかなりきれいなものが撮れるようになりましたし、アプリで加工もお手軽です。

 さらにこれらのものについては、作ったものを発表する場があります。そう、SNSですよね。InstagrumやTikTokに手軽にアップして、人に見てもらうことができます。手軽に作れて誰かに見てもらえる。これが今の芸術分野の趣味の世界です。一昔前とは大きく変わっています。

 音楽の分野は、絵画や写真ほどではないにしても、手軽に作曲ができるアプリなども続々と登場していて、”一部の専門家にしかできないもの”ではなくなっていくのかもしれません。


 これらのものが普及しているのは、『誰でも上手くできる』というのがポイントだと思います。写真も動画も絵画も音楽も、自分でも下手だと思うものを発表しようとは思いませんし、続けたいとは思わないでしょう。こんな自分でもこんなにいいものができた!と思うからこそ、誰かに見せたいと思い、それを続けたいと思うのだと思います。

 一方でスポーツについてはどうでしょう?スポーツはテクノロジーの発達によって、誰もが上手くスポーツができるようになっているでしょうか?今のところの答えは「NO」な気がします。道具の進化はあるにしても、ほとんどの場合はマイナーチェンジというか、改善レベルで、運動が不得意な人が劇的に上手くプレーできるようにあるアイテムなんかはまだ開発されていないように思います。結局は、運動が不得意な人はスポーツを上手くプレーすることができず、多くの場合、それで「つまらない」と感じてしまう。そういう状態がずっと続いていると思います。

 これをテクノロジーで解決する時代がいつかは来るのかもしれません。走力を増強する靴が開発されるかもしれませんし、遠くまで飛んでくれるボールが開発されるかもしれません。でも、今はまだありません。
 すると、どんどん簡単に誰でもできるようになっている芸術分野に、スポーツは趣味の世界では負けていくのではないかと危惧しています。「スポーツ?あぁあれね、難しいよね。俺は簡単にできる写真を選ぶよ」みたいに、訓練によって上手になることを求められるスポーツは、趣味としては敬遠されるようになってしまう可能性がなくはないのではないでしょうか。

 これに対応する為には、テクノロジーを待っていてはダメで、「上手くなくても楽しい」を確立させる必要があるのだと思います。人との比較が起こらず、自分の成長に目を向けられるとか、体を動かすこと自体が楽しいと思えるとか、自然と生まれる人とのコミュニケーションが楽しいとか、そういう価値に目が向くようにしなければならない。勝ち負けとか優劣が常に付いて回ると、どうしても「上手にプレーしなきゃ」「もっと上手にならなきゃ」と思ってしまい、誰でも楽しめる大衆のものとしてのスポーツには、いつまでもなれない。


 上手な方が楽しい。それは否定しません。だからこそ、静止画も動画も、誰でも上手に撮れるようにメーカーは工夫してきています。スポーツも、そっち方面の努力はしているように思えますが、でもそれは指導者一人一人の取り組みだったり、一部の熱心な種目の協会が取り組んでいるレベルで、本当に運動が苦手な人のパフォーマンスが劇的に上がるアイテムの開発をスポーツ界全体でやっているということはないでしょう。(※たぶん) そっちの方向性も必要だと思います。テクノロジーによって、誰もがスポーツを上手にプレーできるようになる方向性。
 一方で、やっぱりそこに期待し過ぎるのは怖すぎるから、「上手じゃなくても楽しい」という価値観の形成は絶対に取り組まなければならないと思います。僕個人としては、勝負とか競争がもの凄く好きな人だから、クラブの会員にそこを求め過ぎないように気を付けたいと思います。「上手じゃなくていいじゃない。昨日のあなたよりもちょっとだけ上手くなっていれば、それでいいじゃない」そういうことです。


 というわけで今回は、『テクノロジーで誰もがハイクオリティのものが作れるようになった時代に、スポーツは?』というテーマでお話しました。スポーツが本当に僕たち大衆のものとなりますように。

今回もお読みいただきありがとうございました!
ではまた!

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総合型地域スポーツクラブや筆者の挑戦のリアルな実態を曝け出しています。自ら体を張って行ってきた挑戦のプロセスや結果です! 総合型地域スポーツクラブをはじめ、地域スポーツクラブの運営や指導をしているかた、これからクラブを設立しようとしているかた、特に、スポーツをより多くの人に楽しんでもらいたいと思っているかたにぜひお読みいただきたいです!

総合型地域スポーツクラブのマネジメントをしている著者が、東京から長野県喬木村(人口6000人)へ移住して悪戦苦闘した軌跡や、総合型地域スポ…

総合型地域スポーツのマネジメントを仕事としています。定期購読マガジンでは、総合型地域スポーツのマネジメントに関して突っ込んだ内容を毎日配信しています。ぜひご覧ください!https://note.com/kenta_manager/m/mf43d909efdb5