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実証事業って何だっけ?

 どうも!上杉健太です。
 埼玉県富士見市の総合型地域スポーツクラブの代表をやったり、スポーツ推進審議会委員をやったりしながら、生涯スポーツ社会の実現を目指して活動しています。

 さて今日は、『実証事業』というテーマで勉強をする回にしてみたいと思います。


 昨日、埼玉県が主催する『埼玉県新たな地域クラブ活動実証事業』の地域ミーティングというものに参加をしました。参加といっても、クラブの活動があったり、業務が立て込んでいるので、開始時間を過ぎてからオンラインで繋がせていただき、所々実証事業団体の発表を拝聴するという”耳だけ参加”となりました。(※ずっとPCに貼り付けなかったので、状況が分からなくなることもあったのですが、どうやら最後の方はグループに分かれて情報交換をしていたらしく、もしかしたら僕もどこかのグループに入っていたかもしれなく、この参加の形でご迷惑をおかけしたかもしれません・・・汗)

 さて、今回の地域ミーティングの発表団体(実証事業団体)は3つありました。1つはお隣の川越市の総合型地域スポーツクラブ。もう1つは民間の営利企業。もう1つはこれまたお隣のふじみ野市文化・スポーツ振興課でした。

 これ以外にも地域ミーティングは多数の日程が用意されていて、それぞれ発表資料がアップされていますので、興味のあるかたはご覧ください。


 さて、僕の参加の仕方が悪かったことは間違いがないわけですが、僕は発表者の話を聞きながら思ったことがあります。それは、僕がこの”実証事業”が一体何の実証をするものなのかが分かっていないということでした。なので正直、全く話が入ってこない時間帯もありました。(※繰り返しますが、僕の参加の仕方が悪いというのが一番の原因であることは間違いありません)

 ちなみに、ふじみ野市さんの発表はもの凄く丁寧で、「この実証事業はそもそも何?」が分かっていない僕にもめちゃくちゃ理解しやすかったです。富士見市にいると、特にスポーツ環境では度々ふじみ野市との差を実感するのですが、ここでも改めてその”差”を感じました・・・。僕たち富士見市はふじみ野市を色々な面で見習って、もっと分かりやすく言うと、もっと”パクッて”いかないといけないでしょうね。

 というわけで今さら勉強していきます。『埼玉県新たな地域クラブ活動実証事業』とは何なのか。


そもそも実証事業とは?

 まず、そもそもの部分からいきましょう。実証事業という言葉自体は、これまでも何度か聞いたことがあります。何か新しいことを制度化したり、補助金を付けたりする時に、その最適な方法論を探るようなことをしたい時に、官公庁がやるようなイメージを僕は持っています。まずはこの認識が正しいかどうか、調べてみます。

じっしょう‐じぎょう〔‐ジゲフ〕【実証事業】 の解説
実地に適用可能な段階にある技術・システム・制度などを試験し、その有効性や経済性などを確認すること。「環境技術—」

goo辞書より

 簡単に言うと「試験」ですね。もしかしたら「実験」と言った方が一般的なニュアンスとしては近いかもしれません。机上で色々と考えて作り上げた方法論を、実際に試してみて、上手くいくかどうかを試すということです。これが実証事業ですね。別に官公庁オリジナルの言葉ではないようです。

埼玉県新たな地域クラブ活動実証事業とは?

 では今回埼玉県が行った『埼玉県新たな地域クラブ活動実証事業』はどのようなものだったのでしょうか?ここを勉強していきましょう。

新たな地域クラブ活動実証事業は、総合型地域スポーツクラブ、スポーツ少年団、クラブチーム、プロチーム、フィットネスジム、民間事業者、大学や地域の体育・スポーツ協会、競技団体など多様な団体に事業を委託して、生徒が地域でスポーツに継続して親しめる環境整備を進める際の課題解決に取り組むための実証を行います。その成果を効率的・効果的に普及することで、地域の実情に応じた生徒の多様な活動の場と機会を提供できる環境整備を通して、持続可能で誰もがスポーツに親しめる地域づくりを図ることを目的としています。

埼玉県ホームページより

 ひとまずこの一文だけを読み解いて、箇条書きで整理してみます。

  • 目的

    • 生徒が地域でスポーツを継続できる環境を整備するための課題解決

    • 持続可能で誰もがスポーツに親しめる地域づくり

  • 実行項目

    • 総合型地域スポーツクラブやスポーツ少年団、クラブチーム、プロチーム、フィットネスジム、民間事業者、大学、地域の体育・スポーツ協会、競技団体などに事業を委託

  • 実証したい事項

    • 地域の実情に応じた生徒の多様な活動の場と機会を提供できる環境整備の効果

    • 成果を効率的・効果的に普及する方法

・・・とまとめてみましたが、こうして見るといくつか疑問が浮かび上がってきます。まず、委託する事業って何?ってことですね。一体何を委託団体にやらせるの?ということ。そしてもう一つが、実証したい事項が全く明確ではないということですね。ここの文章が『埼玉県新たな地域クラブ活動実証事業』の全てではないので、ここからさらに深く勉強していきますが、今の段階では、”仮説を持たずに実験をした”のような状況に見えます。さらに調べてみましょう。

 僕が持った疑問の1つ目については、実証事業団体の公募ページに答えが書いてありました。

1 委託について
新たな地域クラブ活動実証事業として以下の業務を委託します。
(1)休日の部活動の段階的な地域移行等の推進に関するモデル実証事業の実施(2)県が開催する地域ミーティングにおけるモデル実証事業の成果・課題等の報告
(3)県が作成する国への報告書作成協力

埼玉県ホームページより

 委託する事業って何?の答えとしては、「休日の部活動の段階的な地域移行等の推進に関するモデル実証事業」ということですね。これについて、成果や課題の報告までがセットで委託されているようです。
 さて、ここでまた勉強しないといけない言葉が出てきましたね(;^_^A 「『休日の部活動の段階的な地域移行等の推進に関するモデル実証事業』って何?」です。もちろん、中学校の部活動を徐々に地域移行していく為の事業ということは分かりますが、「モデル」という言葉が使われているからには、「モデル」となる形(仮説)がありそうです。ここが理解できていないと、この実証事業を理解したことにはならないでしょう。さらに調べましょう!

・・・と思っていたら、同じく公募ページに以下のような一文がありました。

2 採択について
中学生が地域でスポーツに親しめる環境の構築を進める際の様々な課題に取り組み、地域における運動・スポーツ機会の確保・充実に寄与することが期待される事業を採択します。
※各地域でスポーツ環境が異なることから、タイプの異なる20モデル程度を採択予定(広域的なもの、多団体と連携して行うものなど)

埼玉県ホームページより

 注目すべきは、「タイプの異なる20モデル程度を採択予定(広域的なもの、多団体と連携して行うものなど)」の部分です。つまり、まだモデルなんてものはなく、モデルの提案から実証事業団体にさせるという企画だったということですね。つまりつまり、地域ミーティングにおける報告回では、僕たちは各団体ごとに「このモデルはどういうモデルだ?」から理解しなければいけなかったということですね。これは僕の大きな誤解でした(;^_^A

 これはただの感想ですが、仮に本当にバラバラ20タイプくらいの実証事業団体を採択したとして、それをそれぞれの地域で実証したとして、一体どのような結果が得られるのでしょうか?そこから出てくるのは、ただただ「この地域ではこうでした。他の地域では知りません」という結果だけのような気が・・・。一般的に実験というのは、できるだけ条件を揃えた上で、検証したいことだけ条件を変えてやるから分かりやすい結果が出るものだと思います。例えば今回の実証事業の僕のイメージは、実証したいモデル(やり方)を固定し、それをいくつかの地域で全く同じようにやってみて、結果を比べるというものでした。でも実態は違ったようです。これが僕の大きな誤解です(;^_^A だから地域ミーティングで上手く理解できなかったのかもしれません。(※本当に何度も繰り返しますが、僕の参加の仕方が最大の原因)

 ちなみに、採択団体が決まった後に県でタイプ分けをしているかと思って調べてみたのですが、それもしていないようなので、本当に基本的には事業者が自由に事業を行って、自由に検証を行うというものだったようです。これは検証の難易度が恐ろしく高いでしょうね(;^_^A

各団体から見る実証結果

 ここからちょっとだけ各団体の結果報告から勉強していきたいと思います。ここまで勉強した限りでは、各団体の報告書から少なくとも「どういうモデルか(=何を実証しようとしたか)」と、「実施地域はどのような状況・環境だったか」と、「結果はどうだったか」の3点を整理できないと検証は難しいでしょう。この観点で各報告書を見てみます。全部で13団体あるようなので、ちょっと時間かかりそう・・・。(※調べてみると、どうやら13団体というのは民間団体であって、自治体は別でカウントされているみたい)

 まずは昨日参加させていただいた地域ミーティングで報告をされた3団体について勉強しようと思ったのですが、報告の様式も揃っていなくて、団体によってはスライドにアニメーションがあることを前提にした資料しかアップされていなくて、ちょっと読み解くのが今からだと難しいので、あくまでもその前提で僕なりに3団体全体から感じたことを感想レベルでまとめてみたいと思います。

・民間団体が実質的にほぼ単独でやろうとしても人は集まらない。(※民間単体モデルとでもしましょうか汗)
・ある地域によっては、体験型種目へのニーズよりは、現在やっている部活動種目のスキルアップに対するニーズが高かった=スキルアップの方向性に道筋。(※ただしこれは、現在の”部活動がある状況”が前提になっている結果だとは思う・・・)
・部活動コーディネーターの役割を明確にすると、整備が進みやすい。

あまり深読みし過ぎるとよくないので、これくらいにしておきたいと思います。やっぱりこれは検証が難しいです(;^_^A

 ちなみに気になって来たので、「実証」という言葉の意味も調べてみると、

じっ‐しょう【実証】 の解説
[名](スル)
1 確実な証拠。確証。「—のない仮説」
2 確かな証拠をもって証明すること。事実によって明らかにすること。「推理の正しさを—する」
3 漢方で、病状の一。邪気の亢進 (こうしん) した状態。水毒・食毒・血毒などが体内に停滞することにより引き起こされる。→虚証

goo辞書より

 言葉の意味を大切にするなら、実証事業というのはもうちょっと明確な検証があるべきだよな~と、思います。あ、とはいえ、そういえばまだ年度の途中ですね。これはあくまでも途中経過の報告であって、正式な検証はこれから県として行われるのかもしれません。であれば、僕がここで頑張って勉強するよりも、それを待った方がいいかな思います。そこで実証されたことが現場に活かされることが社会の為になるはずなので、総合型地域スポーツクラブとしては注視して取り入れていきたいなと思います。


 というわけで今日は、『実証事業』というテーマで勉強してみました。

今回もお読みいただきありがとうございました!
ではまた!

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総合型地域スポーツクラブや筆者の挑戦のリアルな実態を曝け出しています。自ら体を張って行ってきた挑戦のプロセスや結果です! 総合型地域スポーツクラブをはじめ、地域スポーツクラブの運営や指導をしているかた、これからクラブを設立しようとしているかた、特に、スポーツをより多くの人に楽しんでもらいたいと思っているかたにぜひお読みいただきたいです!

総合型地域スポーツクラブのマネジメントをしている著者が、東京から長野県喬木村(人口6000人)へ移住して悪戦苦闘した軌跡や、総合型地域スポ…

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