『Dr.STONE』に学ぶ総合型地域スポーツクラブ運営のマインド

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 どうも!2つの総合型地域スポーツクラブの運営に携わっています、上杉健太です。

 今日は、『Dr.STONEに学ぶ総合型地域スポーツクラブ運営のマインド』というテーマでお話したいと思います。僕的に、子どもに読ませたい漫画・アニメ圧倒的第一位の『Dr.STONE』。人類全員が一瞬にして石化し、数千年後に石化が解けた主人公が科学を使って一から世界を作り上げていくというような話なのですが、エンタメとして面白いだけでなく、非常に学びが多い漫画だと思っています。そして総合型地域スポーツクラブの運営においても大事にしたいマインドもたくさんあると思っていて、今日はその内の2~3個を紹介したいと思います。


どんなに長い道のりも、やり続ければ必ずゴールにたどり着く

 科学というと、どこか”インテリ”みたいなイメージとセットになっている人も多いかと思います。確かに理屈・理論を大事にするので、頭脳はめちゃくちゃ大事だし、知識も大事です。でも、科学の歴史はとにかくトライ&エラーの歴史で、どちらかというと”根性”みたいなものの方が大事なのではないかなと思います。
 漫画でもそのあたりは描かれていて、科学的な知識を豊富に持つ主人公が、その世界に必要になったものを作ろうと、それを作成するロードマップ(工程表)を毎回作るんですね。要するに仲間たちに、「こうすればこれが作れるぜ!」というのを示すわけです。そこでみんなは完成形を想像することができ、「おー!すげー!やべー!」と大興奮するわけですが、実際にそのロードマップを辿る作業は鬼のように肉体労働だったり、めちゃくちゃ今期のいる細かい作業を延々とやったりするわけなんですよね。でも主人公は言うわけですよ、「これをやれば100億%できる」と。やれば絶対にできるんだからやろうぜ、ということですね。

 これ、総合型地域スポーツクラブの運営も同じだと思うんです。僕たちはめちゃくちゃ立派な理念を持っています。生涯スポーツ社会の実現とか、誰もがいつまでもスポーツを好きな時にできる、とか。特定のターゲットに絞らず、特定の種目にも絞らず、とにかく全員をスポーツやクラブ(コミュニティ)で幸せにするという凄い高い理想を掲げて、僕たちは活動を続けていくわけです。その為の、多種目・多志向・多世代・クラブマネジャーの設置・非営利法人化などの型のサンプルもいくつも提示されています。言ってしまえば僕たちはロードマップはある程度持っているわけです。
 でも、多くのクラブは途中で挫折し、行政の理解が得られないとか、助成金がなくなったとか、そういう実に”些細な”障害を理由に活動を止めてしまいます。潰れていったクラブのほとんどが、”できなかった”のではなく、”やらなかった”だけというのが実態だと僕は思っています。もちろん、そこまでの高い志がなかったとか、経営者の健康的な事情とか、色々と個別の理由はあるでしょうが、僕たちが目標に到達しない時、そのほとんどの理由が、「途中でやめた」であることはもうほぼ間違いがないと思うんですね。

 総合型地域スポーツクラブは生涯スポーツ社会の実現を目指している分、どうしても長い挑戦になります。でもゴールは分かっている。ロードマップも総合型地域スポーツクラブ全体としては持っている。多種目・多志向・多世代・クラブマネジャーの設置・非営利法人化などの型の条件を揃え、揃えた後は精度をひたすら高めていけばいい。そうすればゴールにたどり着く。

 ただ漫画と違うのは、既に「こうすれば100億%できる」と断言できるほどの過去の実績がないということですね。科学の場合、これとこれをこうすればこうなる、という100%再現できるものがたくさんありますが、総合型地域スポーツクラブの場合はまだそれがない。だから、”信じられる者だけ”が一歩を進めるような状態にある。それは明らかに漫画と違うところでしょう。
 それでも僕は一般論として言いたい。やり続ければ必ずゴールに辿り着く。軌道修正しながら進むことにはなるかもしれないが、と。


スクラップ&ビルドこそ効率のいいやり方

 さて次にいきます。『Dr.STONE』では、何かが必要になる度に地球の資源を使って色々なものを科学で生み出し、作り上げていきます。車が必要だとなれば車を作り、船が必要だとなれば船を作ります。本当に次々と作り出していく漫画なのですが、どんどん物が増えていくわけではありません。なぜなら、ある時に必要だったものは、それが不要になったら壊すからです。壊して、その時に必要な違うものに作り替えられるわけです。船旅を終えて今度はバイクが必要だ!となった時に、漫画の主人公たちは速攻で船の一部を壊してバイクの部品に充てました。中には「せっかく作ったものを~!」と嘆く登場人物ももちろんいるわけですが、科学者である主人公はそんなことは1ミリも気にしません。未来しか見ていないし、その時に必要なものを最高の精度・最高の効率で作り上げることを優先するからです。

 総合型地域スポーツクラブが経営破綻しようとする時、それは”過去の遺物”によってもたらされることが少なくないのではないかなと思います。かつて必要だったもので、今はさほど必要でない、あるいは今は完全に足を引っ張ってしまっているようなものを捨てられず、作り替えられずに、クラブ全体が潰れていく。具体的に言うと、増えすぎたスタッフに支払う人件費を下げられないとか、赤字を計上し続ける事業をやめられなかったりとか、今では過剰となってしまった事務所や車などの固定費が膨らんで管理費が大きくなり過ぎているとかですね。

 かつて必要だったものは、今でも必要か?それは、今必要なものに作り替えた方がいいのではないか?違う活用の仕方をした方がいいのではないか?あるいは、いっそ捨てた方がいいのではないか?そういうのを経営者は常に考え続けるべきなのだと思います。

 そういえば、せっかく『Dr.STONE』から学ぶ回に恐縮なのですが、ユダヤの教えに、「捨てなければ得られない」みたいなものがあるようです。これはどちらかというと、リターンを得たければリスクをとれ、といった意味だったように思いますが、でも、ずっと何かを得続けるというのは色々な意味で無理で、必ず何かを捨てていかなければならないのだと思います。

 これは、「資源は有限」ということでもあります。資源は有限だから、新しいものを作り続けるというのは物理的に無理なんです。だから、資源は回さないといけない。これは経営資源においても同様なのだと思います。一度その使い方をしたらずっと同じ使い方をしなければならないということはないんです。それは組織運営の”呪い”というものでしょう。大事なのは今と未来。今と未来の為に本当に効果的・効率的な資源の使い方は何か。これを優先させることが大事なのだと思います。


スポーツは誰がやっても、みんなに同じ結果をもたらす

 科学者である主人公が、仲間にダイヤモンド作りを任せる時にこんなセリフを言うのですが、僕はこれが大好きです。

「誰でもできる
聖人様だろうが 殺人鬼だろうが
誰がやろうが必ず同じ結果が出る
それが科学だ」

 僕は、これはスポーツも同じだと思っているんです。もちろん、誰がやっても100m走のタイムは同じにはならないし、勝負の結果は変わりまくります。再現性が皆無という意味では、スポーツは全然科学的ではありません。でも、僕たちが『結果』という言葉をスポーツにおいて想像する時、こういうものを頭に思い浮かべてしまう文化を変えたいと思っていて、僕がスポーツから得られる結果で最も重要だと思っているのは、『楽しさ』とか『気が晴れた』とかです。それがスポーツの起源であり、本質だと思っています。タイムとか勝負の結果というのは、あくまでもその上に乗っかっているおまけみたいなものです。

 『楽しさ』や『気が晴れた』みたいな結果に注目する時、スポーツは必ずみんなに平等だと思うわけです。確かに、勝負に勝ちやすい人の方が一見楽しい思いをできるかもしれません。しかしそれは環境次第です。勝ち続ける人がいるからそうなるのであって、一緒にやる相手やルールなどによって、みんなが同じくらいに”勝ち”による楽しさを享受できる機会は作れるし、そういう環境では”負け”すらも楽しく感じるものです。だから僕は、スポーツは誰がやっても同じ結果(楽しさ)をもたらすと信じているし、そうなるようにスポーツをデザインしているつもりです。総合型地域スポーツクラブもそれを体現する形の一つです。

 科学が一部の研究者だけのものではないように、スポーツも一部の”体育会系”や”意識高い系”の人たちだけのものではない。スポーツは全員をそのままの状態で受け入れ、同じ結果をもたらしてくれるものなのだと思います。総合型地域スポーツクラブを運営する人は、絶対にこのマインドを持っていないといけないのではないかなと思います。


 というわけで今回は、『Dr.STONEに学ぶ総合型地域スポーツクラブ運営のマインド』というテーマでお話しました。読んだことがない人はぜひ読んでみてください、『Dr.STONE』!Amazonのプライム会員であれば、アニメでも観られます!アニメの方が子どもにはウケます。超絶おススメです!

今回もお読みいただきありがとうございました!
ではまた!

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総合型地域スポーツクラブや筆者の挑戦のリアルな実態を曝け出しています。自ら体を張って行ってきた挑戦のプロセスや結果です! 総合型地域スポーツクラブをはじめ、地域スポーツクラブの運営や指導をしているかた、これからクラブを設立しようとしているかた、特に、スポーツをより多くの人に楽しんでもらいたいと思っているかたにぜひお読みいただきたいです!

総合型地域スポーツクラブのマネジメントをしている著者が、東京から長野県喬木村(人口6000人)へ移住して悪戦苦闘した軌跡や、総合型地域スポ…

総合型地域スポーツのマネジメントを仕事としています。定期購読マガジンでは、総合型地域スポーツのマネジメントに関して突っ込んだ内容を毎日配信しています。ぜひご覧ください!https://note.com/kenta_manager/m/mf43d909efdb5