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屋外・屋根・防球ネット・ナイター施設の可能性

 総合型地域スポーツクラブ研究所、所長の上杉健太(@kenta_u2)です。総合型地域スポーツクラブのマネジメントやアドバイザー、講演・執筆、エンジョイスポーツコーチなどをしています。現在、埼玉県富士見市に新たな総合型クラブを設立するチャレンジに取り組んでいます。

 最近はどうしても『場所』について考える時間が増えています。というのも、何かスポーツ活動をしようとする時に、それはどうしても必要になってくるからですね。新しく活動を作ろうとしている私の最大の課題と言ってもいいかもしれません。

 そこに2021年1月現在の新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言です。これによって富士見市では、屋内施設の使用について、新規の予約ができないようになっており、さらに夜間も20時までに使用時間が短縮されるなど、使用制限がかかっています。
 さらに富士見市の場合、実はスポーツ施設不足ということも起こっているのではないかなとも思えてきています。

 いずれにせよ、感染症を気にしながらスポーツ活動をしていく世の中になった時に、スポーツ施設の在り方も変わってきますよね。たぶん今のこのタイミングで、これまで通りの体育館は作らないじゃないですか。その点で言うと、チャンスは『屋外・屋根付き・壁なし施設』にあると思っています。今日はそれをテーマにお話したいと思います。

屋外の価値

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 まず、富士見市の対応を見れば分かるように、今は『屋外』の価値が高まっています。屋外であれば、感染症対策のために避けたい『三密』の内の、『密閉』を完全に避けることができますし、屋外なら空間自体は広がっていますので、『密集』も避けやすいですよね。
 だから富士見市でも、屋外施設の使用については制限をかけていません。スポーツ庁も、外でのウォーキングなどはやるように呼び掛けています。きっとコロナの騒ぎが落ち着いた後も、このインパクトはしばらく残るでしょうから、『屋外』の価値はしばらく高まったままになると思います。

屋根の価値

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 屋根の価値なんてもう、外で活動している人には言うまでもないですよね。屋根の素晴らしいところは何と言っても、雨を防げることですよね。屋外での活動で何が敵かと言うと、『天候』です。特に、わりと頻繁に降る雨は本当に嫌なものです。
 日本では雨がどれくらい降っているかというと、年間124日というのが平均らしいです。都道府県でもかなり差がありますし、これは”雨が降った日”というカウントなので、1日中雨が降っているわけではないのですが、雨って結構降るんですよね。その度に『雨天中止』にしなければならないとしたら、それは結構な機会損失になってしまいます。「屋根があったらな・・・」と一体何人の人たちが嘆いてきたことでしょう。

 もちろん、雨さえ降らなければ屋根は不要の場合がほとんどです。できれば青空の下でスポーツがしたいという人もいるでしょう。でも、雨が降ったら屋根の下、晴れたら青空の下で、というのを実現しようとすると、二つの施設が必要になるか、ドームのように開閉式の屋根が必要になり、大きなコストがかかります。

防球ネットの価値

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 屋外施設に必要な設備として、”囲い”があると思います。囲いがないとボールが遠くまで飛んでしまって、施設外の人や物に被害が出る可能性があるので、囲いというものが必要になります。また、囲いがあればボールを拾う時間が短縮されたり、使用者側にもメリットがあります。
 でも、囲いがないグラウンドがたくさんあることで分かるように、囲いには大きなコストがかかってしまいます。なるべく安く囲いを作りたいところですよね。
 そこで価値が高まりそうなのが、『防球ネット』。網ですね。ただただ、ボールが遠くへ行くのを防ぐ為のネットで囲むんです。ボールは通さないけど当然空気は通すので、換気率は100%です。感染症対策にもいいです。

ナイター設備の価値

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 さらに、人を密集させないようにスポーツ活動をしようとすると、使用時間を分散させることが必要になってくると思います。今はお酒を飲む時間に出歩かせないということで20時以降のあらゆる活動を止めようとしていますが、そんな不平等はいつまでも通らないと思うので、夜間も使って人を分散させるようになるでしょう。ていうか、夜のスポーツ活動を止めたら、かなり多くの成人がメタボになって、そっちの方が確実に国を苦しめると思います。
 そうすると、夜にも使える施設というのが求められるようになってくる。ナイターがないグラウンドは、実質的に土日しか使えないようなもので、土日に人が密集してしまいますから。

 屋外で夜に活動しようとすると、ナイター設備が必須になります。ところがこれもコストがかかる。屋外で照明をつけると、光があちこちに散らかりますから、かなりの照度が必要なのだと思います。
 ところが、確実にナイター設備がある施設があります。それは、屋内施設ですね。照明がない屋内施設なんて聞いたことがありません。屋根があるところには、照明もある。

多くのスポーツが共通で使える床の価値

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 屋根付きの施設の最も大きな懸念点が、コストです。例えば土のグラウンドであれば、土地を確保して地面を整備さえすれば、とりあえず施設の体裁を持つことができますが、そこに屋根を付けるとなれば大きなコストが上乗せされます。グラウンドは多いけど体育館は少ないという事情は、コストの違いによるところが多いでしょう。

 コストをなるべく下げる為には、なるべく1つの施設で多くの人が使えるようにすることだと思います。野球専用とかサッカー専用とかにしない。思えば、外のグラウンドって用途が限定されている場合が多いかもしれませんね。野球場とかサッカー場とかテニスコートとか。本当はそこで何をしてもいいはずですけどね・・・・・・・・・。
 まぁそれは置いておいて、いずれにしても屋外で屋根付き施設を作れば、そこを使いたい人が殺到するので、なるべく多くのスポーツができるようにすることが大事です。

 そこで大事なのが、『床』かなと思います。スポーツにおける『床』には、主に以下のようなものがあるかと思います。

・天然芝
・人工芝
・土
・アスファルト
・木
・各種カーペットやシートなど

スポーツにおける『床』の役割は、

人やボールなどを止める(摩擦)
人を滑らせる&ボールなどを転がす(惰性?)
人やボールなどを跳ねさせる(反発)
人を守る(緩衝)

あたりかと思うのですが、これらのバランスはスポーツによって違います。色々なスポーツができるように、これらのバランスを絶妙に設計する必要があります。難しい作業だとは思いますが、同時にスポーツは道具で調整できるので、跳ねる床ではあまり跳ねないボールを使うことで解決するといいのだと思います。『床』と『道具』はセットですね。

最高の事例

 実はかなり良い事例を私は知っていて、それが、一般社団法人たかぎスポーツクラブが使っている『みんなの広場アスボコート』です。

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屋外で、屋根付き。

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屋根には照明が付いていて、十分な明るさが担保されています。
床は短めの人工芝。(砂が少なく、あまり滑らない)

 ここでたかぎスポーツクラブはフットサルとテニス、コーディネーショントレーニングを定期活動として行っています。
 バレー・バスケ・ドッヂボール・ホッケー・ゲートボール・ハンドボールなど、付属設備を整えれば結構多くの種目ができると思います。風が大敵のバドミントンは、屋外に対応した道具の改良が必要ですかね。

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周りは防球ネットで囲まれています。

 元々これは、喬木村が新たな施設(ボランティアセンター)を作る際にたかぎスポーツクラブにも運営に参画しないかと声を掛けてくださって、「テニスとフットサルができる屋根付き施設が併設されていればマネジメントできる!」と言って提案させてもらったものです。

(※もちろん、その後にコロナの流行が来るなんて予想していないです。たまたま。私はこういうラッキーが実は多いんです。喬木村でテニス事業を始めたら、直後に錦織圭の活躍がメディアに取り上げられるようになって、テニスブーム来たし。ラッキーマンです。そういえば、私がベネッセを退職した直後に個人情報漏出の事件が起きたりもしましたね笑)

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総合型地域スポーツクラブや筆者の挑戦のリアルな実態を曝け出しています。自ら体を張って行ってきた挑戦のプロセスや結果です! 総合型地域スポーツクラブをはじめ、地域スポーツクラブの運営や指導をしているかた、これからクラブを設立しようとしているかた、特に、スポーツをより多くの人に楽しんでもらいたいと思っているかたにぜひお読みいただきたいです!

総合型地域スポーツクラブのマネジメントをしている著者が、東京から長野県喬木村(人口6000人)へ移住して悪戦苦闘した軌跡や、総合型地域スポ…

総合型地域スポーツのマネジメントを仕事としています。定期購読マガジンでは、総合型地域スポーツのマネジメントに関して突っ込んだ内容を毎日配信しています。ぜひご覧ください!https://note.com/kenta_manager/m/mf43d909efdb5