地域おこし協力隊に必要な最低限の姿勢

 どうやら天気というのは本当に1週間サイクルらしい。(※だから同じ曜日にばかり雨が降る)

 どうも!上杉健太です!埼玉県富士見市の総合型地域スポーツクラブの代表をしながら、長野県のクラブのアドバイザーをして、生涯スポーツ社会の実現に向けて活動しています。総合型地域スポーツクラブのキャリア10年目に突入しました。

 今日は、『地域おこし協力隊に必要な最低限の姿勢』というテーマでお話したいと思います。


地域に縛られるな

 僕は地域おこし協力隊として、総合型地域スポーツクラブのキャリアをスタートさせ、10年目に入った人間です。電車に乗ってどこかへ行くなんてことは日常にはほとんどなく、ずっと“地域”をウロウロする生活をしています。
 そんな僕はずっと、「地域って結局なに?」と思い続けながら仕事をしています。多くの人が、「地域の為に」「地域を盛り上げる」と言いますが、僕にはそれが一体何を指しているのかよく分かっていないのです。

 地域とは一体、何なのでしょうか?

 それが分かっていればいいのでしょうが、実はよく分からない“空気”みたいな言葉に囚われてしまい、自滅してしまう地域おこし協力隊の人は多いのではないかなと想像します。

 それと、地域おこし協力隊の非常に残酷なところは、“永住”を求められるところです。僕が地域おこし協力隊をやっていて1番辛かったのは、これかもしれません。「永住するの?」と何回聞かれたことか。まるで、ずっとそこに住まないならお前とは仲良くしない、と言われているような気がする言葉です。

 でもよく考えてください。住む場所を選ぶ権利は誰にでもあります。もちろん、税金で報酬や活動費をいただく任期期間中は当然その自治体に住むべきだとは思いますが、任期が終わればその地域を出るのは自由です。ていうか、そもそも任期後は何の保障もないわけですから、その地域に残ること自体がかなり難しいことなわけです。でも地域の人は、「残るか残らないかはあなたの気持ち次第」みたいに考えているような気がしてくるんですね。これが辛い。僕は、「永住できるように頑張ります」としか言えなかったです。

 地域おこし協力隊にとって、“地域”という言葉はある意味では呪いです。その実体すらよく分からないのに、結構多くの人が囚われてしまっている言葉のような気がします。地域おこし協力隊といえども、僕たちは土地に縛られる必要はないし、近隣住人の価値観や文化に縛られる必要もありません。


地域を起こそうとするな

  僕は常に、「地域の為」なんかではなく、「総合型地域スポーツクラブを大きくする」とか、「自分が楽しいことをする」、「自分の収入を上げる」ということを目標にして活動しています。もちろん、それがクラブに関わる人(会員やスタッフなど)の幸福にも寄与しなければクラブは大きくなりませんから、結果的に“地域を盛り上げる”みたいなことは実現されていきます。

 地域おこし協力隊だって一人の人間です。しかも、全てを捨てて移住していたりするのだから、本当に必死になってやらなければ食っていけない存在だったりします。そんな人が「地域のため」などと言ってる場合ではないんです。自分のビジネスの為に必死になればいいんです。“地域”という、実体があるんだかないんだかよく分からないものに振り回される必要はありません。

 それに、年間の報酬が200万円かそこらで雇った人が、地域を起こすようなことができると思いますか?これはね、普通に考えれば、「できるわけがない」なんですよ。そんな無理ゲーには始めから挑まない方がいいです。他のみんなと同じように、自分が生きる為に必死になればいいし、自分のやりたい事に夢中になればいいんです。そこでちゃんと生計を立てることができたり、事業収入を得ることができれば、住民税や所得税、あるいは法人税などを自治体に納めることになるわけですし、その地域の人々が利用できるサービスであれば、よりダイレクトに地域の人を幸せにできます。それくらいに考えるべきだと僕は思います。「地域を変えてやる」とか「地域を盛り上げなければ」なんて背負う必要はありません。


協力はするな

 地域おこし協力隊の一番よくない活動の仕方が、『協力する』『手伝う』だと僕は思っています。地元のボランティア団体の活動を手伝ったり、地域のイベント運営に協力したり、地元の文化や商品を宣伝したり。

 “地域の人”のニーズに応えようとすると、ついこういう活動をしがちです。地域おこし協力隊は。だって、“協力隊”だし。それに、お手伝いをすると地域の人はすごく喜んでくれます。人件費払わずに、若い労働力を手に入れることができますから。「地域おこし協力隊ってタダでしょ?」と言われたこともあります。

 そういうお手伝いをしても、本当にいい事はほとんどないと言っていいのではないでしょうか。それが自分がやりたいことと一致していたとしても、『お手伝い』のスタンスでは結局既存のものに染まってしまい、何も変えられず、“お手伝いさん”のままで終わります。そして任期終了間際になって、「どうやって食っていけばいいのか?」と悩むのです。そうなってしまっては結局はその地域に残ることもできませんから、地域の為にも実はなりません。地域おこし協力隊はもっとちゃんと自分のビジネスを作りに行くべきなんです。

 とはいえ僕は、既存の団体にジョインするタイプの地域おこし協力隊でした。既に設立されて1年経っていた総合型地域スポーツクラブのマネジメントが業務だったからです。でも僕はそれを、「総合型地域スポーツクラブの運営を手伝う」なんて思ったことは一度もなく、最初から「クラブを大きくして、ここで働き続ける」と公言していました。そして、そうなるようにクラブを変え続けました。上司的な先輩マネジャーもいたし、クラブの代表も他にいましたが、僕があらゆる会議を仕切り、計画や予算を作り、実質的な経営者として動いたんです。“お手伝い”として働いていたら、とても僕自身を雇用できるクラブにはできなかったでしょう。きっと今でも参加費200円とかで小さい規模のクラブをやり続けていたのではないかなと想像します。
 もちろんクラブを変える過程では色々な人に嫌われたと思っています。何かを変えるということは、そういうことです。何かを、誰かを否定することでもあるのですから、どうしても誰かには嫌われます。でも、既にあるものに対して協力なんてしていても食っていけるようにならないというのが地域おこし協力隊が抱える最大の問題なんです。そこに飲み込まれないようにすることがめちゃくちゃ大事です。組織に属してもいいから、ちゃんとそれを自分のビジネスにすることが大事なんだと思います。手伝ったらダメです。


 というわけで今回は、『地域おこし協力隊に必要な最低限の姿勢』というテーマでお話しました。そう、これは最低限の姿勢です。こうすれば成功するという類のものではなく、こうでなければ失敗するという類のものです。使われて捨てられる人には絶対になってはいけません。(※地域や行政も使い捨てとは思ってはいないだろうけど、実質的にそうなってしまっているパターンはかなりあると思う)
 地域おこし協力隊は、移住をしたというだけでかなりのリスクを背負っています。せめてそこで行う活動・ビジネスについては、何にも縛られず、成功確率の高い選択、自分が幸せになれる選択をしてください。

今回もお読みいただきありがとうございました!
ではまた!

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総合型地域スポーツクラブや筆者の挑戦のリアルな実態を曝け出しています。自ら体を張って行ってきた挑戦のプロセスや結果です! 総合型地域スポーツクラブをはじめ、地域スポーツクラブの運営や指導をしているかた、これからクラブを設立しようとしているかた、特に、スポーツをより多くの人に楽しんでもらいたいと思っているかたにぜひお読みいただきたいです!

総合型地域スポーツクラブのマネジメントをしている著者が、東京から長野県喬木村(人口6000人)へ移住して悪戦苦闘した軌跡や、総合型地域スポ…

総合型地域スポーツのマネジメントを仕事としています。定期購読マガジンでは、総合型地域スポーツのマネジメントに関して突っ込んだ内容を毎日配信しています。ぜひご覧ください!https://note.com/kenta_manager/m/mf43d909efdb5