食っていけるクラブを目指す理由

 どうも、ふじみスポーツクラブの上杉健太(@kenta_u2)です。埼玉県富士見市で、誰もがいつまでも、自分に合ったスポーツを続けられる地域社会の実現を目指して、総合型地域スポーツクラブの運営をしています。

 今日は、『食っていけるクラブを目指す理由』というテーマでお話したいと思います。なぜ総合型地域スポーツクラブを仕事としてやるのか。これまで何度もお話してきたことではありますが、総合型地域スポーツクラブの普及・発展には欠かせない観点だと思うので、改めて伝えさせてください。

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ボランティアでクラブ運営

 私は、最初から地域スポーツを仕事にしていたわけではありません。最初は、趣味として地域スポーツクラブの運営をしていました。

 それが、大学1年生の時に設立した『フットサルクラブROONEYS』です。結果的に創設者として11年間代表を務めました。社会人になってからも続けていたわけですが、この時に趣味・ボランティアとしてやることにかなり限界を感じていました。

 趣味・ボランティアは、生活を支える収入を得る仕事よりも優先されることはほとんどありません。いくら趣味活動に多くのコストを割いている人でも、基本的には仕事の時間を確保したうえで、空いた時間を趣味活動に使っているはずです。じゃないと生活が成り立たなくなり、趣味活動も行えなくなるからですね。

 私も例外ではありませんでした。大学生の頃はたくさん時間があったので、多くの時間をクラブに使うことができましたが、会社員になり、会社で頼りにされる立場になるにつれて、クラブに使う時間やパワーはどんどん小さくなっていってしまったんですね。これが私には非常に辛かったです。

 極端なことを言うと、「これでは何のために働いているのか分からない」と思いました。でも、どうしても趣味活動を仕事よりも優先させるわけにはいきません。

「これはクラブを仕事にするしかないな」

 これが私が仕事として地域スポーツクラブをやろうと思った経緯です。ボランティアや趣味活動は、どうしても仕事に負けてしまう。だから仕事にしたかったということです。

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地域スポーツにフルコミット

 要するに私は地域スポーツクラブにフルコミットしたかったんです。仕事を優先させなければならない理由が生活費なのであれば、クラブからの収入で生活ができればいいわけです。そうすれば地域スポーツクラブにフルコミットすることができます。一日中、地域スポーツクラブのことを考え、動けます。

 私個人のことで言えば、これが総合型地域スポーツクラブを仕事としてやっている理由です。社会をよくする為に自分が最大貢献できることが見つかったのだから、そこにフルコミットしたい。そういうことです。

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クラブを潰さない必然性

 もちろん、私の個人的な思いだけで食っていけるクラブを目指しているわけではありません。もう一つの大きな理由は、『持続可能なクラブにする為』です。クラブを潰さない為に、仕事として成立する総合型地域スポーツクラブになる必要があると思っているんです。

 繰り返しになってしまいますが、趣味としてクラブをやっていると、どうしても仕事の都合が優先されてしまい、比較的簡単にクラブをやめてしまうという判断ができてしまいます。例えば転勤や転職。職場が変わるのでクラブを続けられなくなることはよく見られることだと思います。これはクラブよりも仕事を優先している分かりやすい状況です。

 後継者がいればいいのですが、クラブを後に引き継いでいくというのはそう簡単なことではありません。私が作って引き継いだフットサルクラブは、おそらく私が辞めた後1~2年程度で自然消滅してしまいました。

 クラブを潰さない為には、そのクラブがなくなると困る人を作っておく必要があるんです。つまり、クラブがその人の生活を支えているという状態を作らなければならない。その分かりやすい形が、クラブから給与を出すということです。生活ができるだけの報酬を出すことで、その報酬を受け取る人はクラブがないと生活ができなくなるという状態になり、クラブをなんとしても続けようとします。もちろん、それによってクラブにフルコミットすることにもなり、より充実したクラブを作っていくこともできます。

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誰でも地域スポーツに貢献できる社会に

 感情の話をしてしまうと、「ボランティアだってクラブがずっと続くように頑張ってる!」という主張が出てきてしまうのですが、こういう話をする時は感情は排除してください。私が言っているのはそういう問題ではないんです。必然性の話です。極端な選択を迫るならば、生活を支えている給与収入と、趣味活動によりお金や時間が出ていく地域スポーツクラブのどちらかを取らなければならないとなったら、どっちを取りますか?ということです。これでもし、「私はクラブを取る!」と言えば、その人はやがて生活費が足りなくなり、クラブもやめなければならなくなるわけです。気持ちは関係がありません。そういうことです。

 もちろん、ほとんどの地域スポーツクラブ従事者は、そういう極端な選択をしていません。収入と時間を確保したうえで、上手に地域スポーツに従事しています。これは本当にリスペクトすべきことです。私自身がその難しさとストレスフルな状態を経験しているのでよく分かります。(※何度、「なんで俺ばかりがクラブの為に働いて、他の奴らを楽しませないといけないんだ」と思ったことか笑)

 私の基本的な捉え方は、ボランティアで地域スポーツに貢献している人は、”特別な人”です。経済的な安定があったり、自由になる時間が多かったり、地域で優遇される立場にあったり、人よりもボランタリー精神が多かったり。これらの人は、本当に貴重な人材です。でも、これをスタンダードにして社会を設計してはいけないと私は思っています。もっと普通の人も地域スポーツに従事できる社会に私はしたいんです。その為にはやっぱり仕事として成立する必要があると思うんです。だから私が”普通の人代表”として、総合型地域スポーツクラブを仕事にするという挑戦をしています。(※この挑戦も9年目に突入しました)

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 というわけで今回は、『食っていけるクラブを目指す理由』というテーマでお話しました。この仕事をしていると、時に「スポーツで金儲けをするなんてけしからん!」と言われることがありますが、私はちゃんと理由を持ってやっているつもりなので、その言い分に心を揺さぶられることはなくなりました。でも、最初は本当にそれで悩みましたし、たくさん傷つきもしました。同じ志を持つ人たちが堂々と総合型地域スポーツクラブを仕事にできる社会にしていきたいなと強く思います。頑張りましょう!


今回もお読みいただきありがとうございました!

ではまた!

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総合型地域スポーツクラブや筆者の挑戦のリアルな実態を曝け出しています。自ら体を張って行ってきた挑戦のプロセスや結果です! 総合型地域スポーツクラブをはじめ、地域スポーツクラブの運営や指導をしているかた、これからクラブを設立しようとしているかた、特に、スポーツをより多くの人に楽しんでもらいたいと思っているかたにぜひお読みいただきたいです!

総合型地域スポーツクラブのマネジメントをしている著者が、東京から長野県喬木村(人口6000人)へ移住して悪戦苦闘した軌跡や、総合型地域スポ…

総合型地域スポーツのマネジメントを仕事としています。定期購読マガジンでは、総合型地域スポーツのマネジメントに関して突っ込んだ内容を毎日配信しています。ぜひご覧ください!https://note.com/kenta_manager/m/mf43d909efdb5