一見いらなそうに見える人材が、実は後で効いてくる

 どうも!ふじみスポーツクラブの上杉健太(@kenta_u2)です。埼玉県富士見市で、誰もがいつまでも、自分に合ったスポーツを続けられる地域社会の実現を目指して、総合型地域スポーツクラブの運営をしています。

 今日は、『一見いらなそうに見える人材が、実は後で効いてくる』というテーマでお話したいと思います。多くの総合型地域スポーツクラブが直面しているという後継者育成についての話です。

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何もしていないように見える人

 たまに、「この人はなんでここにいるんだろう?何もしていないのに」と思う人っていません?例えば、ただ会議に“出席しているだけ”の人。先輩や上司についてきて、何も発言することなく、ただそこにいる。そんな人。あるいは、工事現場などで暇そうに突っ立ってる人や、ただただ怒られている人とか。もちろん、そういう人が本当に何もしていないわけではなく、彼らは彼らなりに何かをしているのでしょうが、その時点では“いなくても誰も困らない人”って確実にいると思うんですね。

 こういう場面を見ると、そんな余計な人を雇うくらいなら、もっとスリムな体制・組織にして効率よく経営しろよと思いがちなのですが、いや、きっとこういう人材を抱えることができることが大切なんです。

そういう人を雇えるという余裕が組織には必要

 確かに、数人の優秀なプレーヤーがいれば、組織は回るかもしれません。それ以外の人を雇わなければ、人件費も最低限に抑えることができ、効率の良い経営ができるでしょう。

 でもその状態は、いわば余裕が全くない状態です。両手に荷物を抱えた状態で全力ダッシュをしているような。それでは、何かトラブルが起きた時に対処する人がいないし、欠員が出た時にも一気にピンチに陥ります。あるいは、チャンスが来た時にも対応ができないかもしれません。

 恐らく組織というものは、どこかで余裕を持っていないといけないのだと思います。働きアリの法則で言うところの“働かない2割のアリ”を抱えることができる余裕が。彼らは現時点では、働く必要がないから働かないだけであって、サボりながらそれなりに仕事の仕方を学習し、いざと言う時に備えているんです。実際にアリの場合、2割のサボりアリは、働くアリが一定数いなくなると、働くアリに変身するんです。

何もしていないように見える人が後を継ぐ

 要するに現時点で働いていない人材というのは、将来活躍する人材なんです。大企業で働いたことがある人なら分かるかもしれません。新入社員は、全く戦力として期待されていません。むしろ、その時点では周りの仕事を増やすお荷物です。仕事を教えないといけないし、余計なミスはするし、成果は出せない。正直、いない方がいい存在です。でも大企業の場合、その“お荷物”を抱える体力があります。そして、そうやって回してきた実績があり、彼らがやがて戦力になることも知っています。だからちゃんとそこに投資をして新卒採用をしているわけですね。

 総合型地域スポーツクラブの場合、この余裕がないところが多い。最低限の人件費で運営しようとするから、“サボれる人”を置けない。もう伝わっていると思いますが、この“サボれる人”こそが後継者になる人です。クラブを立ち上げた創業者や運営を一手に担っているマネジャーの側にいて、何もしていないように見えるけど、実はこっそり仕事の仕方を学んでいる後継者です。この、“サボれる人”のポジションを確保できるだけの余裕を作ることが、総合型地域スポーツクラブの後継者問題を解決する為には必要なのだと思います。

ふじみスポーツクラブのビジョン

 とすると、ほぼ私のワンマン経営的なふじみスポーツクラブは、どのような後継者育成のビジョンを描いていけばいいでしょう?

 まずはしっかりトップ(私)のポジションを確立することです。指導から何から何までやっている状態を早く解消し、マネジメントにある程度専念できる状態にする。これが第一。でないと、指導もできてマネジメントもできて、という人材を後継者に指定する必要が出てきてしまい、さすがにそれはハードルが高すぎるから。そこはちゃんと業務を分散させておきたい。
 次に、クラブマネジメントで食っていけるだけの報酬設計をする。食っていけるくらいにしないと、規模の大きな総合型地域スポーツクラブを運営するのは無理ですから。要するに、私のポジションの役員報酬をもっと上げる。それが第二。
 その次に、後継者のポジションの予算を確保する。仕事は無理に作らなくてもいいから、秘書くらいの感じでとりあえずポジションを作る。そして私と四六時中一緒に動く。それくらいのポジションを作る。その時点では無駄でしかないポジションですね。収益は増えないけどコストは増えるので、一時的に経営は大変になります。でもこれは、必要な投資なわけです。
 そして最後に、そのポジションにおさまる人材の確保です。ポジションさえ作れば、そこに入るのは誰でもいいというわけにはいきません。適正な人材というのはあると思うので、リクルーティングはそれなりにしっかりやった方がいいでしょう。でも、これは育成の話ですから、最初から即戦力をもってくる必要はありません。能力よりも、人柄とか描いているビジョンとかを優先して採用するべきなのでしょう。

 それから徐々に仕事を渡していき、私は引退。別のチャレンジを始める。それが綺麗な後継者育成も経営者交代のビジョンですかね。大事なのは、「このポジション必要?」と思える余計な人材をちゃんと抱えることです。

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 というわけで今回は、『一見いらなそうに見える人材が、実は後で効いてくる』というテーマでお話しました。私は何でも自分でやりたがる性格なので、後継者育成は絶対に苦手だと思います。だからこそ今回の気付きは大事にしておきたいなと思います。まずは自分がしっかり食っていけるクラブにできるように引き続き頑張ります!

今回もお読みいただきありがとうございました!
ではまた!

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総合型地域スポーツクラブや筆者の挑戦のリアルな実態を曝け出しています。自ら体を張って行ってきた挑戦のプロセスや結果です! 総合型地域スポーツクラブをはじめ、地域スポーツクラブの運営や指導をしているかた、これからクラブを設立しようとしているかた、特に、スポーツをより多くの人に楽しんでもらいたいと思っているかたにぜひお読みいただきたいです!

総合型地域スポーツクラブのマネジメントをしている著者が、東京から長野県喬木村(人口6000人)へ移住して悪戦苦闘した軌跡や、総合型地域スポ…

総合型地域スポーツのマネジメントを仕事としています。定期購読マガジンでは、総合型地域スポーツのマネジメントに関して突っ込んだ内容を毎日配信しています。ぜひご覧ください!https://note.com/kenta_manager/m/mf43d909efdb5