僕が経験から得た知識やノウハウを大きくまとめてみる(続き)
どうも!上杉健太です。
埼玉県富士見市の総合型地域スポーツクラブの代表をやったり、スポーツ推進審議会委員をしたりしなが、生涯スポーツ社会の実現を目指して活動しています。
さて今日は前回の記事の続きで、僕が10年間の総合型地域スポーツクラブのキャリアから得た知識やノウハウをまとめていきます。
前回の記事では、「スポーツは回復アイテムだったんだ!」という気づきと、「総合型地域スポーツクラブの設立や運営で最も大事なのはプレーヤー(※経営者やマネジャー、コーチなど、実際に手を動かしてクラブ運営する人)だ」という、経験から得た仮説についてお話しました。その続きです。
規模を大きくするのに行政支援は効果的
さて、前回の記事では、いくら行政がリソースを費やしても、そこにプレーヤーがいなければ上手くはいかないという話をしましたが、だからといって行政が無力ということはありません。スポーツ行政は、公営の施設や学校施設などの大きなリソースがあり、場合によってはスポーツ協会などの事務局をしているところもありますから、それらを使えば本当に色々なことができるんですね。核となるプレーヤーがいて、その核を中心に運営されているクラブがあるなら、そこに行政がコントロールできるリソースを投じることでクラブの活動が活発化したり、規模が大きくなったり、経営基盤が安定したりすることができます。言い方を変えると、0→1は苦手かもしれないけど、1→2~は行政は得意ということかなと思います。
これも、僕の2つのクラブでの経験から学んだことです。総合型地域スポーツクラブのキャリアをスタートさせたクラブでは、非常にリッチな行政支援の基でクラブをマネジメントし、そこを独立して立ち上げたクラブでは、行政支援も特別な優遇もなく、通常の地域団体と同じ扱いのまま運営を続けています。
効果的な行政支援の代表的なものは、『活動場所の優遇』です。例えば1つ目のクラブでは、総合型地域スポーツクラブは1年間の活動計画に基づき、他の団体よりも先に公共スポーツ施設の確保をすることができました。だから基本的には計画通りに1年間の活動をすることができます。一方、2つ目の現在のクラブでは、そうはいきません。公共施設の多くは抽選で、当選しなければ施設を使うことはできません。多くのスポーツ団体同士で、施設を使う権利を奪い合っている状態です。計画通りに実施できる割合は、全ての活動を平均すると80%といったところかもしれません。どこも確保できず休みになったり、場所や時間を変えたりしながら何とか活動をするような感じです。会場確保が不安定になれば、当然そこで活動をしようとする人は少なくなりますから、会場が安定的に確保できるというのは非常に大切なことなんですね。会場が優先的に確保できれば活動を広げやすくなりますし、安定開催されれば人も増えて活発化し、さらに経営も安定します。事務的にも、常に会場確保に奔走するという雑務に終われなくて済みます。これらは本当に大きなメリットなんですね。
ちなみにこの支援は、何も総合型地域スポーツクラブだけを特別扱いしなければならないというものではありません。僕が知る限り、多くの自治体ではスポーツ協会関連の団体だったり、学校団体だったりは、優遇措置がされていたりします。そこに総合型地域スポーツクラブを加えるだけでいいんです。しかも総合型地域スポーツクラブと言えば、国が推進している事業でもあるわけですから、住民説明なども極めてしやすいものだと思います。
さて、行政ができる効果的な支援はもちろん活動場所の確保だけではありません。次に僕が大きいと感じているのは、『広報活動支援』です。
僕にとっての1つ目のクラブでは、クラブが会員募集を行う広報活動においても非常に大きな支援をいただいていました。チラシを学校や保育園で配ってもらったり、自治体が発行する広報誌にチラシを挟み込んでもらったり、自治体のローカルラジオやテレビで取り上げてもらったり。もちろんそれ以外の地域にもアプローチする必要がありますから、新聞折込でチラシを配ったり、フリーペーパーに広告を出したりすることはありますが、かなり小さなコストで広報活動ができていました。
一方、今やっている2つ目のクラブはそういった行政支援もありませんから、広報活動は全て自力・自腹です。まず無料でもできるSNSの発信やホームページの整備(※ふじみスポーツクラブは有料ドメインを取得しているし、SNSも年に数回広告を出す)、メンバー募集サイトなどをフル活用した上で、チラシを作成してはポスティングしたりしています。チラシのポスティングに関して言えば、もしも行政支援が受けられれば1週間とかで市内のほぼ全世帯に配ることができるかもしれないところ、自力でやると1~2カ月かけなければいけません。そしてもちろん、全世帯にポスティングをすることは不可能です。行政の広報ツールを使えるというのは、相当に大きな効果をもたらします。また、「行政や学校から配られた」ということから生まれる信用も効果として忘れてはいけません。
今日もまた時間と文字数がきてしまいましたのでここまでにしますが、今日挙げた効果的な行政支援の例は、いずれも行政側には大きなコストが発生しないものです。それこそ予算化するような類のものでもありません。場合によっては住民説明が必要になるかもしれませんが、予算化しないものを説明する必要も大してないでしょう。ただただ、「やる」と行政職員が決めたらやれるものだと思います。
総合型地域スポーツクラブを何とか支援してあげたいと考える自治体は、まずはここから始めるといいかなと思います。逆に、これすらやらない自治体は、総合型地域スポーツクラブを支援する気なんて実は1ミリもないと思った方がいいかもしれません。何らかの理由で「支援する」と言わざるを得ないけど、実際にはやる気はない、みたいな状況がどういうものなのかは僕にはあまりよく分かりませんが(;^_^A
というわけで今日は、総合型地域スポーツクラブに対する効果的な行政支援についてお話しました。ふじみスポーツクラブも、早く富士見市から「支援に値するクラブ」と認めてもらえるように頑張りたいと思います。
今回もお読みいただきありがとうございました!
ではまた!
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総合型地域スポーツクラブ研究所
総合型地域スポーツクラブのマネジメントをしている著者が、東京から長野県喬木村(人口6000人)へ移住して悪戦苦闘した軌跡や、総合型地域スポ…
総合型地域スポーツのマネジメントを仕事としています。定期購読マガジンでは、総合型地域スポーツのマネジメントに関して突っ込んだ内容を毎日配信しています。ぜひご覧ください!https://note.com/kenta_manager/m/mf43d909efdb5