出来ることに目を向けることが大事

 総合型地域スポーツクラブ マネジャーの上杉健太(@kenta_u2)です。12月いっぱいいで現職の一般社団法人たかぎスポーツクラブを退職するにあたり、13ほど受け持っていたクラスの指導を、後任コーチに引き継いでいっています。ほとんどのコーチが、子どもたちの『出来ること』『好きなこと』に目を向けてくれていて、自分が指導する時にはどう活かそうかを考えてくれています。これ、凄く大切なことだと思っています。ということで今日は、『できることに目を向けることが大事』というテーマでお話したいと思います。

出来ないことに目を向けること

 出来ないことに囚われると、ますます出来ないことに寄っていってしまうと言われています。例えば、「君は手打ちになってるよ」とだけ指摘すると、指導する側がいくら「手打ちになっているから体全体を使おう」という意図を持って言っていたとしても、言われた側は、「手打ち」に囚われて、ますます手打ちになるといいます。また、もっと重要なことは、出来ないことは誰にでもあるということです。世界一のサッカー選手でもPKを外すことがあるように、完璧な人などいないわけです。つまり、誰にでも欠点はあり、それはつまり、どこまでいっても欠点はあり続けるということです。指導者が気を付けなければいけないことはこれです。欠点は、どうしたってあり続けるんです。だから、誰かの欠点を見つけたからといって、それを指摘して指導して、満足してはいけないということです。その欠点を仮に克服したとして、どうせ欠点はまだまだあるんです。(欠点を指摘するなと言っているのではありませんからね!)
 『出来ないこと』をベースにすることのデメリットは、もっとあります。これは誰でも分かることだと思いますが、「あなたは〇〇ができていないよ」と言われたら、ほとんどの人が嫌な気持ちになると思います。スポーツの場合、競技を突き詰めてやっていて、これ以上成長ができないのではないかと悩んでいるところに欠点を指摘されたら、「待ってました!」となるかもしれませんが、そうではない限り、「そんなこと言われても・・・」とか「お前に言われたくないわ!」とか「別にいいじゃん」となってしまいます。(いや、それは言い過ぎだ) それこそ、まだスポーツを始めたばかりで、できないことだらけの子、つまり、欠点だらけの子に欠点の指摘ばかりをしてしまうと、かなり高い確率でスポーツが嫌いになります。はじめて子どもを見る時に、「この子はこれが得意だね」とか「この練習が好きそうだね」ではなく、「この子、あれができていないね」と、『出来ない』に目を向けてしまう指導者のかたは、どうか注意していただきたいです。

出来ることに目を向けること

 逆に、『出来ること』に目を向けて声かけをすると、『出来ること』を認識することができるので、どんどんそれをやろうとします。「体全体が使えているね」と声をかければ、その人はますます体全体を使おうとするということですね。また、「自分は認められている」と思うことができるので、やる気も高まりやすいです。これも恐らく想像していただけるかと思います。できないことを何度も何度もやらされるよりも、できることを少しずつハードルを上げていって挑戦する方がやる気出ますよね。たしか、人がやる気になる課題の成功率は、60%くらいだったと思います。課題は、2回に1回よりは多く成功するくらいの難易度がいいということですね。「できそう」と思えて、2回に1回以上は「できた!」が生まれる課題ですね。
 こうして『出来る』に目を向けていくと、『出来ない』も『出来る』に変えていきたくなったり、あるいはいずれ、それが出来なくてはならない必然が生まれたりして、『出来ない』にもチャレンジしたくなる時が必ずきます。『出来る』に目を向けるとは、『出来ない』を放置しておいていいという意味ではなく、そこに取り組むステップを大事にしようということですね。それこそ小さいうちのスポーツ活動においては、スポーツが好きになる、もっとやりたいと思えることがとても大切なので、指導者には、まずは『出来る』に目を向けてあげて欲しいなと思います。ほんのちょっとの、部分的な『出来る』でもいいので、そこを認めてあげて欲しいんです。

完璧な人なんていない

 さて、何となく子どもの指導をイメージしながらお話してしまいましたが、これは大人も同じです。仕事をしていて、『出来ない』に囚われて成果が出せない人はいます。とある仕事を前任者から引き継いだ時に、前任者との能力に差があり、「そんなこと私にはできない」となって仕事を放棄しまう人とかです。これが典型的な、『出来ない』に目が向いている人だと思います。『同じやり方ではできない』というのはいい判断だと思います。大事なのは、その次に『出来ること』に目を向けることです。つまり、「じゃあどうやろうか」と考えることですね。仕事なんて、成果が出せればやり方なんて何でもいいんですから。そのあたりはスポーツも同じですね。サッカーなら、左足でゴールを決めようが、右足で決めようが、ヘディングで決めようが、同じ1点ですよね。仕事も同じ。1点を取ってくださいと言われているのであって、「前任者のように左足のフリーキックで取ってください」とは実は言われていないんですね。ヘディングが得意ならヘディングで取る形に変えればいい。つまり打ち手は、「私はヘディングが得意なので、誰かセンタリングを上げてください」になるわけですね。これは課題に対して、『出来ること』に目を向けることができていますよね。ヘディングが得意ならそれを活かせばいいだけの話なんですよね。
 総合型地域スポーツクラブのマネジメントは、とにかく業務が多岐に渡ります。本当に何から何までやらなければなりません。細かいデータ入力や分析もあれば、人とのコミュニケーションもたくさん取らなければならないし、たかぎスポーツクラブの場合は指導もしなければならない。大きなビジョンを描くことも重要なミッションです。中には苦手なことをしなければならないこともあるでしょう。その度に、『出来ない』に目を向けてしまうと、わざわざ苦手なやり方で勝負をしなければならなくなる。それで仕事の精度が上がるわけがありません。大事なのは、『出来る』に目を向けることです。エクセルがどうしても使えないなら、電卓とワードでまとめてもいいし、直接話すのが苦手ならLINEやメールでいいし、体を動かす指導が苦手なら、設計や声かけで勝負する指導にすればいい。
 『出来ない』を『出来る』に変えようとすることはもちろん大切です。私は昔から『出来ない』という状態が悔しいタイプで、それをつぶす作業を続けていたら、”何でもこなせるけど決定的な武器がないユーティリティープレーヤータイプ”に仕上がりました(笑) 私のように『出来ない』を潰すことが好きな人もいるとは思いますが、でも、それでは人のモチベーションは保てなかったりします。特に、それを『出来る』に変える必然性がなかったり、感じられていなかったりすると余計に。そして繰り返しますが、”どうせ全てのことをできるようにするなんて無理”なんです。『出来ない』に目を向けると、一生そこから抜けられなくなります。

やれるようにやる。

私はこの言葉をいつも大切にして仕事をしています。目の前の課題を解決する時に、自分の武器を確認して、それでできることをまずはやる。そのうえで、同時に、勉強をして使える武器を増やすという作業もするんです。「できない」「無理」と立ち止まっていても仕方ないんです。できることをやり続けて、動くしかないんです!


 ということで今日は、『出来ることに目を向けることが大事』というテーマで、マインド的なことをお話しました。特に小さな子どもの指導をする人や、これから苦手な仕事にチャレンジしなければならない人に届くといいなと思います。
今回もお読みいただきありがとうございました!
ではまた!

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総合型地域スポーツクラブや筆者の挑戦のリアルな実態を曝け出しています。自ら体を張って行ってきた挑戦のプロセスや結果です! 総合型地域スポーツクラブをはじめ、地域スポーツクラブの運営や指導をしているかた、これからクラブを設立しようとしているかた、特に、スポーツをより多くの人に楽しんでもらいたいと思っているかたにぜひお読みいただきたいです!

総合型地域スポーツクラブのマネジメントをしている著者が、東京から長野県喬木村(人口6000人)へ移住して悪戦苦闘した軌跡や、総合型地域スポ…

総合型地域スポーツのマネジメントを仕事としています。定期購読マガジンでは、総合型地域スポーツのマネジメントに関して突っ込んだ内容を毎日配信しています。ぜひご覧ください!https://note.com/kenta_manager/m/mf43d909efdb5