スポーツを好きになる時、嫌いになる時。

 どうも!ふじみスポーツクラブの上杉健太(@kenta_u2)です。埼玉県富士見市で、誰もがいつまでも、自分に合ったスポーツを続けられる地域社会の実現を目指して、総合型地域スポーツクラブの運営をしています。

 今日は、『スポーツを好きになる時、嫌いになる時。』というテーマでお話したいと思います。人はどうやってスポーツを好きになり、どうやって嫌いになっていくのかを考えていきます。

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 日本スポーツ協会が運営している『JSPO Plus』に、『スポーツ離れの原因?JSPOの独自調査で納得の回答が!』という記事が投稿されました。

 ぜひ一度目を通していただきたいのですが、スポーツをやっている人や全くやっていない成人にインタビューをして、どのようなスポーツ経験が好き嫌いを分けるのかを明らかにしようとした調査結果について書かれています。

 決して驚く結果はなく、「やっぱりそうだよな」という誰もが知っているような当たり前のことが結果として出ているわけですが、これをちゃんと調査して明らかにしたことに大きな価値があると思いました。

 なので今日はこの記事のことを紹介しつつ、私たち総合型地域スポーツクラブに何ができるのかを考えていきます。

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人がスポーツを好きになるプロセス

 まずは、人がスポーツを好きになるプロセスについて。人はどのようにしてスポーツを好きになるのでしょうか?私は物心ついた頃からスポーツをするのが当たり前で、部活が廃部になった時や大学受験に失敗して浪人した時を除けば、常に定期的にスポーツをしてきました。いつから、どのようにスポーツを好きになったかは、本当に全く覚えていません(笑)

日頃からスポーツを「する」人たちの多くは、中学・高校の部活動などによって、競技の達成感や充実感を覚えた経験を持っていました。

 大人になってもスポーツを続けている人は、中学・高校で達成感や充実感を覚えた経験を持っているということです。大会に勝ったり、多くの仲間をまとめたり、人に褒められたりといったところでしょうか。これはつまり、「スポーツで良い思いをした人はスポーツをそのまま続ける」ということで、極めて当たり前のように感じます。

 ただ、一方で総合型地域スポーツクラブで出会った多くの大人の会員は、学生時代にはあまりスポーツをやっていませんでした。大人になってからスポーツを始め、ハマっていったという人が結構多いんです。

 つまり、『JSPO Plus』さんの記事によって、「学生時代にスポーツでいい経験をすることが大事」と結論づける必要はなく、私はどちらかというと中田敦彦さんのYouTube大学の理念「人は何者にでもなれる。いつからでも。」の方が大事にしたいです(笑)

 とはいえ、子どもの頃のスポーツ経験が生涯スポーツに大きく影響することは間違いないですね。

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人がスポーツを嫌いになるプロセス

 この記事で重きがおかれているのは、どちらかというと人がスポーツを嫌いになるプロセスの方です。

現在はスポーツを避けていても、なかには幼少期のスポーツを苦手に感じていなかった人もいることがわかりました。
ただ、このころから得手不得手があったり、不得手なことを強制されるような経験から「うまくできない」「好きではない」という苦手意識や周囲の反応からネガティブな思いを持ってしまったようです。

 この部分から、人がスポーツを嫌いになるキーワードとして、『強制』と『周囲の反応』が挙げられると思います。苦手なことを強制的にやらされて喜ぶ人はたぶんいませんよね。つまり、それによってスポーツを好きになる人はほぼいない。その先によほどの成功体験がない限り。(※そもそも苦手なのだからその苦痛をひっくり返すだけの成功体験をすることが難しい)
 『周囲の反応』とは、馬鹿にされるとか、笑われたとか、失敗を叱責されたとか、そういう類でしょう。周囲に“そのつもり”がなくても、当人がそう感じてしまうパターンも含めて。これはかなりのスポーツ現場で起きていることだと思います。それこそ、エンジョイ志向の活動をしていても、完全にこれを避けるのは難しいとすら感じます。スポーツをする以上、“失敗”は当たり前なわけですが、それを周囲がいくら気にしていなくても、本人が気にすることは結構あって、それはいわばスポーツ現場だけで作られた習慣ではなく、生活環境すべてによって作られたものだからです。(※失敗を笑い飛ばせる子もいる)

 いずれにしても、『強制』や『周囲の反応』によってスポーツが嫌いになり、その後スポーツをやらなくなる人がいるということです。

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総合型地域スポーツクラブができること

 この結果を受けて、生涯スポーツ社会の実現を目指す総合型地域スポーツクラブは何をすべきでしょうか?

 まず、スポーツを始めた人がずっと続けていくという観点からすると、『達成感や充実感』を経験させるということでしたね。

 ここで大事にしなければならないのは、『達成感や充実感を得られる経験は、人それぞれ』ということだと思います。例えば、全国大会優勝を目標にしている人は、地区予選の1勝くらいでは達成感も充実感も得られないかもしれませんが、部活を3年間頑張ってやっと公式戦に出られたような人はその1勝によって大きな達成感を得るでしょう。

 大事なのは、その人に合った目標設定ややり方をするということです。だから総合型地域スポーツクラブは、リソースのある限り、細分化された活動を行うべきなんです。世代で細分化したり、志向で細分化したり、競技レベルで細分化したり。そうすることで、その人自身にマッチした活動ができるようになり、達成感や充実感を覚えやすい環境ができます。

 もう一つ大事な観点は、『スポーツを嫌いにさせないこと』ですね。子供の頃にスポーツで嫌な思いをした人の多くがスポーツに戻って来なくなるのだとしたら、総合型地域スポーツクラブは絶対にスポーツを嫌いにさせてはいけません。

・強制しない。
・競技力やパフォーマンスを馬鹿にしない。嘲笑しない。
・恥をかかせない。

 これらのことも、活動細分化して行う事で実現しやすくなります。自分に合っていないやり方をするから、上手くできないわけですから。細分化すれば、基本的には自分に合ったやり方には近づくことができます。
 もちろん、指導者の教育も重要です。指導者の姿勢は、確実に子どもに移りますから。指導者が子どもを馬鹿にすると、必ず子どもたち自身もお互いを馬鹿にするようになっていきます。

 最後に、大人になってからの、“子どもの頃の経験を覆す経験”の重要さを挙げておきます。いくら子どもの頃にスポーツが嫌いになっても、その後種目を変えたり、環境を変えたりして、再びスポーツを好きになる人はたくさんいます。人は何者にでもなれるんです。いつからでも。総合型地域スポーツクラブは、いつからでも楽しくスポーツができる環境を作り、子どもの頃の嫌な経験を吹っ飛ばせる存在にならなければなりません。これができなければ、結局のところ日本の生涯スポーツは義務教育における“体育”のあり方次第になってしまうからです。それはそれで大事ですが、総合型地域スポーツクラブだからこそできる“逆転”を狙いましょう!「スポーツって楽しいものだったんだ!」って言わせましょう!

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 というわけで今回は、『スポーツを好きになる時、嫌いになる時。』というテーマでお話しました。人々がスポーツを好き嫌いで論じる必要がないくらいにスポーツが『遊び』としての地位を確立し、それぞれが自分に合った“遊び方”ができる世の中にしたいなぁと改めて思いました。

今回もお読みいただきありがとうございました!
ではまた!

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総合型地域スポーツクラブや筆者の挑戦のリアルな実態を曝け出しています。自ら体を張って行ってきた挑戦のプロセスや結果です! 総合型地域スポーツクラブをはじめ、地域スポーツクラブの運営や指導をしているかた、これからクラブを設立しようとしているかた、特に、スポーツをより多くの人に楽しんでもらいたいと思っているかたにぜひお読みいただきたいです!

総合型地域スポーツクラブのマネジメントをしている著者が、東京から長野県喬木村(人口6000人)へ移住して悪戦苦闘した軌跡や、総合型地域スポ…

総合型地域スポーツのマネジメントを仕事としています。定期購読マガジンでは、総合型地域スポーツのマネジメントに関して突っ込んだ内容を毎日配信しています。ぜひご覧ください!https://note.com/kenta_manager/m/mf43d909efdb5