総合型地域スポーツクラブが高めたい流動性

 3Dプリンターを使いこなせるようになった先には、ふじみスポーツクラブに『デジタル工作クラブ』を立ち上げる未来がある気がしてきました。

 どうも!なんでもクラブ活動にしようとしてしまう、上杉健太です!総合型地域スポーツクラブの運営をしています。

 さて今日は、『総合型地域スポーツクラブが高めたい流動性』というテーマでお話したいと思います。総合型地域スポーツクラブのキーワードとして有名なのが、『多様性』です。世の中の流れとも相まって、このワードが一番強いキーワードとして挙げられることが多いですが、総合型地域スポーツクラブをやればやるほど思うのは、多様性を担保する為には絶対に流動性が必要だということです。そんなお話を。


 流動性というのは、いかにクラブ内をヒト・モノ・カネなどが流れているか、ということです。これらのものがクラブ内を頻繁に行き来しているものが流動性が高い状態にあります。
 一方で多様性というのは、要するに色々あるということです。子どもも若者も中高年も高齢者もいれば、競技志向もエンジョイ志向も健康志向もコミュニティ志向もいるし、野球もサッカーもバスケもある、みたいなことですね。より色々ある状態が、多様性が高いということになります。

 どちらも大切なのですが、流動性についてはあまり語られることがありません。でも、多様性を実現する為にも、流動性はとても重要だと思っています。

 その理由の一つが、「人は変わるから」です。総合型地域スポーツクラブの会員によくみられる変化は、『志向の変化』です。例えば初心者の時はエンジョイ志向のクラスに入った人が、だんだんと上手くなってその種目にどっぷりハマり、競技志向のクラスへ移行することはよくあります。また、『競技レベルの変化』もつきものです。ていうかこれについては、日々変化し続けるものですね。いくら同じ志向でも、競技レベル(パフォーマンス)が違い過ぎる人とは本当に楽しくスポーツはできなかったりします。遠慮し過ぎたり、危険性が高まってしまったり。競技レベルがそのクラスの中の人と大きく異なるようになってしまった人は、競技レベルが高いクラスへの移行を検討します。逆に、加齢や怪我などによって競技レベルが下がることだってあります。そうすると、競技レベルが低いクラスへの移行を検討するわけです。
 こうやって人の変化をクラブが受け止められるようにするには、人が当たり前のようにクラブ内を移動できなければなりません。「こっちのクラスが合わなくなってきたから、あっちのクラスへ行こう」と、気軽に思える必要があるんですね。いくらクラブ内に色々なコンテンツがあっても、「あっちのクラスに移りたいけど、コーチが違う人だし、なんかこっちのコーチと仲が悪そうなんだよな・・・」と思われてしまったら、「なんか気まずいから、違うクラブへ移ろうかな」となってしまうかもしれません。これは、多様性は高いけど、流動性が低いクラブですね。クラブのそのクラスにしか選択肢がない状態です。
 この状態になってしまうと、本当にその瞬間に色々な人がいるというだけのクラブになってしまって、一人の人が人生の中で色々なスポーツをしたり、一つのスポーツをし続けることができるクラブにはなれません。だから僕は、流動性が大事だと言っています。気軽に移れるということが本当に大事です。


 流動性は、会員が移動することだけを指すものではありません。ヒトの領域で言うと、コーチの流動性も重要です。例えばテニスのコーチとサッカーのコーチが、それぞれの種目のことだけしかやらなければ、両者の間には見えない壁みたいなものが存在するようになるでしょう。そして会員はそれを敏感に感じ取ります。もちろんそれは”誤解”という場合もあるでしょう。いずれにしても、テニスコーチとサッカーコーチの良好な関係性が見えない場合、会員はテニスとサッカーの種目間を移動できません。テニスをやめてサッカーをやりたい人は、「でもテニスのコーチに申し訳ない・・・」みたいな思いを抱えてしまうからです。こういう状態にしない為に、コーチの流動性が重要なんです。例えばふじみスポーツクラブでは、僕がコーディネーショントレーニングもテニスもバドミントンもコーチをしていて、必要に応じてバスケのアシスタントもしています。いずれの現場にもいるので、種目を変えたい人は気軽に僕に申し出ることができます。全ての現場にいるのだから、遠慮する必要性を感じないからです。「全部にいるんだから、全部好きなんでしょ?」ってわけです。そこに対立構造を見る会員はゼロでしょう。
 ふじみスポーツクラブにはもう一人、水野理事がマルチにコーチをしています。フットサル、かけっこ、ストレッチ、バスケ(アシスタント)。実際にかけっことバスケの両方をやっている会員がいますし、こうしてコーチがクラブの複数の現場に顔を出していることで、確実に会員の流動性を高めることができるんです。各種目の指導法を取り入れるというメリットもついてきます。


 流動性はヒト領域だけではありません。モノやカネも動かせるのが総合型地域スポーツクラブのメリットで、それが効率的な運営や持続可能な経営に繋がっていきます。

ここから先は

875字
総合型地域スポーツクラブや筆者の挑戦のリアルな実態を曝け出しています。自ら体を張って行ってきた挑戦のプロセスや結果です! 総合型地域スポーツクラブをはじめ、地域スポーツクラブの運営や指導をしているかた、これからクラブを設立しようとしているかた、特に、スポーツをより多くの人に楽しんでもらいたいと思っているかたにぜひお読みいただきたいです!

総合型地域スポーツクラブのマネジメントをしている著者が、東京から長野県喬木村(人口6000人)へ移住して悪戦苦闘した軌跡や、総合型地域スポ…

総合型地域スポーツのマネジメントを仕事としています。定期購読マガジンでは、総合型地域スポーツのマネジメントに関して突っ込んだ内容を毎日配信しています。ぜひご覧ください!https://note.com/kenta_manager/m/mf43d909efdb5