活動時間90分は、大切にすべき基準なのだと思う。

 どうも!ふじみスポーツクラブの上杉健太(@kenta_u2)です。埼玉県富士見市で、誰もがいつまでも、自分に合ったスポーツを続けられる地域社会の実現を目指して、総合型地域スポーツクラブの運営をしています。

 今日は、『適正な活動時間』というテーマでお話したいと思います。1日に4時間も5時間もやる練習を「やり過ぎだ」と非難する声はよく聞くようになったような気がするのですが、じゃあスポーツの練習時間ってどれくらいが適正なんだろう?ということが気になったので勉強してみます。

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これまでの経験から持っている仮の答え

 これまで、様々な活動を作ってきましたが、その活動時間に明確な根拠を持っていたわけではありません。施設の利用時間枠によって決めたり、何となくの感覚で決めたり、指導者の言う通りにしたり。
 クラブとしての“定型”が何となくできてくると、それに合わせるというのも現実としてはあります。その方が会費の設定とかも楽だし、会員の納得も得やすいからです。

 長野県でマネジメントしていたクラブや、現在マネジメントしているふじみスポーツクラブで作ってきた活動を例にすると、1回の活動時間の傾向はざっと以下のような感じです。

・幼児〜小学1年生 50〜60分
・小学生(エンジョイ) 60〜90分
・中学生〜(エンジョイ) 90〜120分
・小学生〜(競技) 120〜180分

 この時間設定には、利用する施設の時間枠が大いに関係しています。長野県喬木村の場合、利用時間枠というものはありませんでした。好きな時間帯に、好きな時間だけ予約することができたんです。これは、施設の取り合いが基本的には生まれていないからできることですね。
 富士見市や隣のふじみ野市の場合は、1枠が施設によって1時間/2時間/3時間と決まっています。抽選の関係で2枠取るのは困難ですから、当然活動時間はその中に収めることになります。準備や片づけの時間も利用時間に含みますから、活動時間は利用時間枠よりも短くなるというわけです。
 ただし、学校開放の利用時間枠は決まっていません。利用団体で協議する形なので、みんなが調整して決めたことなら、何時間使ってもいいわけです。(※その結果、一部の団体が終日確保してしまい、他団体が問い合わせた際に、「その学校は利用枠が埋まってしまっている」とか言われる良くない状態に)

 使えるからと言って、使えるだけ練習するのはどうなのでしょう?実際には使っていない可能性も高そうですが、適正な練習時間というのは共通認識として地域スポーツ社会が持っていた方が良さそうです。

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健康の観点から

 というわけで勉強していきましょう。まずはGoogle先生に質問です。

「スポーツ 適正時間」

 検索すると、面白いデータが出てきました。日経ビジネスの『やり過ぎ厳禁!「適度な運動量」ってどれくらい?』という記事によると、

1日90分までは、1日の運動時間が15分増えるごとに死亡率が4%ずつ下がっていく。
 ただし、注意してほしいのは「適度な運動」ということ。運動はやればやるほど体にいいわけではない。この調査でも運動する時間が1日90分を超えた場合、死亡率は変わらなくなった。それどころか、運動のやりすぎは健康を損ねることさえある。

ということなんです。つまり、長生きを目的としたような健康志向の場合、1日(1回)のスポーツ活動の時間は90分がベストであり、それ以上はやる必要はないということです。

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試合時間の観点から

 「それってあくまでも健康の為でしょ?スポーツはそれだけの為にやるものじゃない」という反論はその通りで、90分では十分な満足度を得られない人も多いでしょう。しかし、ここで疑ってみて欲しいのは、「90分で満足できない人は、何分なら満足できる?」ということと、「そもそも90分で満足できないのは、90分で満足できる設計になっていないからでは?」ということ。例えば、180分の活動が当たり前の人は、1分あたりの強度を小さくする必要があり、その強度で90分やった場合には満足できない、という状態になっている可能性があるのではないでしょうか?初めから、90分という時間設計が当たり前の環境下でスポーツをしていれば、誰もが90分で満足するようになるかもしれません。

 いや、それでも90分では物足りないという人はいるでしょう。しかし、健康と言う視点から考えれば90分が適正というように、それ以上は「やり過ぎ」なのかもしれません。ということは本来は、1回の練習時間を増やすのではなく、週に何回やるか、という頻度を増やす方向で考えなければならないのだと思います。

 サッカーのトップの試合時間が90分、ラグビーは80分、バスケットボールは40分(※時計を止めなければ2時間くらいになるらしい)、バレーボールやテニスは1時間半程度(※3セットマッチ)、バドミントンは1時間はかからないくらいという感じのようです。

 各スポーツの試合時間を見ても、おおよそ90分以内に収まっています。もちろん、試合によってはこの時間を大きく越えることもありますから、一概には言えませんが、参考にはなりますよね。「大体90分くらいが妥当」という結論を出すには十分な気がします。それでもきっと、短期的な成果を急ぎたい人の中には、「短すぎる!」と思う人も多いでしょう。それはもう、”何を当たり前”にしているかという問題であり、人生をどれだけ長いスパンで考えているかによるので、ある意味では価値観の問題になってきます。適正を考える際は、それらの個別の価値観は排除します。90分。これは妥当。これがとりあえずの結論でいいような気がします。

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長すぎる練習は、スポーツ愛好家の家族の時間を奪っている認識を!

 長すぎる練習は、怪我や障害のリスクを上げるだけでなく、スポーツに対しる『飽き』も促進させる恐れがあるし、苦痛も増やす可能性があります。少年野球をやっていた時、”立ち疲れ”みたいなものをしょっちゅう感じていました。動いて疲れたというよりも、立ってる時間が長すぎて疲れたという感じ。運動量が多すぎるのではなく、練習時間が長すぎるから起きることだと思います。その疲れには充実感はなく、時に「つまらない」という感情を生み出します。これは生涯スポーツという観点から考えると、絶対に避けたいことです。

 また、長い過ぎる時間は、それ以外の生活の時間を削っているという自覚を持たなければならないでしょう。本来であれば90分で十分なところ、3時間も4時間もやるということは、余計な2時間くらいの時間を自分の人生や家族の人生から奪っているということでもあるわけです。指導者が無理矢理に長時間練習をさせているのなら、相手の時間を不必要に奪っていることにもなります。時間とは人生そのものです。取り返しのつかない最も大切なものの一つです。無駄に浪費することなく、効率よく使いたいですよね。そういう意味でも、スポーツに1日90分以上の時間を使うことには慎重でありたいですね。

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 というわけで今回は、『適正な活動時間』というテーマで考えました。90分これは一つ目安にしていい数字です。人数や施設のキャパなどによって90分ではおさまらない場合もあるでしょうから、あくまでも参考数字です。でも大切にしなければならない数字だと思います。誰かの何かの参考にもなれば幸いです。

今回もお読みいただきありがとうございました!
ではまた!

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総合型地域スポーツクラブや筆者の挑戦のリアルな実態を曝け出しています。自ら体を張って行ってきた挑戦のプロセスや結果です! 総合型地域スポーツクラブをはじめ、地域スポーツクラブの運営や指導をしているかた、これからクラブを設立しようとしているかた、特に、スポーツをより多くの人に楽しんでもらいたいと思っているかたにぜひお読みいただきたいです!

総合型地域スポーツクラブのマネジメントをしている著者が、東京から長野県喬木村(人口6000人)へ移住して悪戦苦闘した軌跡や、総合型地域スポ…

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