「なんでやっているんですか?」「やると決めたから」

 どうも!上杉健太です。
 埼玉県富士見市の総合型地域スポーツクラブの代表をやったり、スポーツ推進審議会委員をやったりしながら、生涯スポーツ社会の実現を目指して活動しています。

 今日はちょっと、生き方のお話をさせていただこうかなと思います。直接的に総合型地域スポーツクラブのマネジメントとは関係はありませんが、総合型地域スポーツクラブを仕事として生きていこうとするには、生き方をどう考えるかはかなり重要になってきます。だからお話します。


 よく、「どうしてその決断ができたんですか?」という質問をいただきます。そのようなかたが思っているのは、「どうしていい会社(上場している大企業)に入ったのに、そこをやめて総合型地域スポーツクラブなんかを仕事にしたんですか?」ということでしょう。僕は早稲田大学という素晴らしい大学を卒業し、株式会社ベネッセコーポレーションという素晴らしい会社で仕事をした経歴があり、その路線を外れて総合型地域スポーツクラブの道へ入ることは、安定を捨てることであり、高収入を捨てることであり、普通は考えられないというような意味合いが含まれているように思います。
 それに対し僕は、そんなの関係ない!と一蹴するほどに大物ではなく、総合型地域スポーツクラブの道に入る時にはそれなりに悩みました。でも僕は、それほど多く悩む時間を費やすことなく、決めました。これからの人生は、こっちへ進もうと、決めました。でも、考えれば考えるほど、「どうして決められた?」の問いに対する答えは見つかりません。僕にとって「決める」という行動は、”できるorできない”の領域にあるものではないのでしょう。”やるorやらない"の領域にあるものなんです。決められるか、決められないか、ではない。決めるか、決めないか、なんです。ていうか、決めないという行動はあり得ませんから、”決める”の一択ですね。例えば僕があの時にベネッセでの仕事を続けることにした場合、これは総合型地域スポーツクラブの道に進むことを”決めなかった”のではなく、”ベネッセに決めた”ということですね。

 僕は、「総合型地域スポーツクラブをやる」と決めた。それはもう、「決めたから」としか言いようがないものです。決めたからやる。決めたからやり続けているんです。もう総合型地域スポーツクラブの道に入って11年目になりました。

 結構多くの人が、「やる気」とか「モチベーション」という言葉を使うのが好きなので、もしかしたらこの「決める」という行為についても、やりたいことがあるから決められるんだ、とか、モチベーションがないと決められない、と言ったことを主張するかもしれません。でも僕は、そうではないと思っています。決めたからやる気が起こるんです。言い換えると、決めたからやるしかなくなるんです。他の選択肢が完全に排除されるんです。総合型地域スポーツクラブをやると決めた僕は、人生のかなりの悩みが排除され、かなりスッキリと生きられていると実感しています。やる気やモチベーションを待っていても、そんなものは向こうからはやって来ません。やるから、「もっとやろう」と思うわけです。もちろん、「もうやめよう」となる場合もあります。いずれにしても、やらなければ起きません。

 とはいえ、「決める」にもテクニックはあると思っています。僕がよく使うテクニックの一つは、「退路を断つ」です。要するに、本当は選びたい選択肢があるのに他の選択肢がチラついて決断が鈍る時に、他の選択肢の方を捨てていくという作業です。例えば総合型地域スポーツクラブの道に入った時には、その1年前には会社の上司に「今年で最後にします」と伝えていました。ベネッセに残るという選択肢を最初に捨てたんですね。この時にはまだ、次に何をするかは全く決まっていませんでした。でも、「もうこの道は進まない」ということだけを決めたという状況でしたね。そうやって一つ一つ選択肢を捨てていけば、最後には本当に心の底から選びたい選択肢だけが残る。これはやり方の一つだと思います。

 とはいえとはいえ、このやり方はちょっと怖いし、ストイック過ぎると感じる人がほとんどだと思います。そういうこともよく言われるので。なのでもう一つやり方をお話しておきます。それは、「安心と安全の確保」です。決められない人の理由の一つに、「間違えたら恥ずかしい」「失敗したら生活できなくなる」のようなものがあると思います。
 間違えや失敗を恥ずかしいと思ってしまう日本の教育は大きく失敗していて、これは個人というよりも社会的な課題であると僕は思っていますが、それでも個人で間違えや失敗を恥ずかしいと思わない方法はあると思います。それは、「自分を好きでいる」ということだと思います。なんだか急にスピリチュアルな雰囲気が漂ってきそうですが、要するに自信を持つということですね。確かに僕が総合型地域スポーツクラブの道を進もうと思った時、収入面などで今後の人生が不安定になる可能性はめちゃくちゃありました。でも僕は、「俺ならどうにかなるだろう」と思っていたし、実は最初に始めるクラブで成功するとは思わなかったのですが、それでも2回くらいチャレンジすればできるだろうと思っていたんですね。僕にはある程度の自信があったんです。それはひとえに、僕をそれまで育ててくれた人たちのおかげです。
 お金の安心・安全も重要です。僕は20代でたくさんのお給料をいただいて仕事をしていて、今のように資産運用はまったくしておらず無駄に生命保険などにも入ってしまっていたものの、決して浪費家ではないものですから、いわゆる”預金”はそれなりに貯まっていました。だから、総合型地域スポーツクラブで挑戦する道を選べたというのは間違いなくありました。「失敗してもすぐには死なないだろう」という安心・安全があったということです。この準備も重要です。現実的には、安心・安全の担保なしに「決める」ということはできないということだと思います。


 色々な選択肢があることは、基本的には豊かさを表していると思うし、良いことだと思います。でも、それで悩んで本当に自分がやりたいことが分からなくなったり、分かっていても選べない・決められないということになるなら、それは結構辛い状況だと思います。決めれば人生は楽で、楽しくなると僕は実感しているからです。それに、自分で決めるということは、直接的に幸福度に繋がるそうです。幸福かどうかを分ける指標として、自分で人生をコントロールできているか、というものがあるらしいのですが、「決める」ということはまさに自分をコントロールするということです。周りに決めてもらったり、指示に従っている限り、自分の人生を常に誰かにコントロールされている状態に近くなってしまうので、そういう意味でも、「決める」というのは重要なのかなと思います。

 繰り返しますが、41歳になって思うのは、「決める」というのはできるorできないの話ではありません。「決められない」という言葉は、嘘です。何かを誤魔化しています。やるだけの話なんです。決めて、それをやる。そこには”やる気”もないし、”モチベーション”も存在しません。自分が何となく好きなこと、社会に必要だと感じたこと、何となく運命的なものを感じたもの。もっと具体的に言うと、その瞬間に相対的に最もやりたいものを、「やる」と決めて、淡々とやるだけです。そして、「なぜそれをやり続けているんですか?」と聞かれたらこう答える。「やると決めたからです」。それは、意志というよりはどちらかというと、人生という壮大な”暇つぶしゲーム”のストーリーやルールの設定に近いものだと僕は思っています。今でもそうですが、マイクラのように、自由に何でもしていいよというゲームが僕は苦手なんですね。やることを決めないと動けないし、逆に、やることを決めると何でも結構面白くなる。僕と同じような人にはおすすめできる生き方かなと思います。決めて、やる。やると決めたから、やり続ける。


 というわけで今日は、「決める」というテーマでお話させていただきました。何かを決断して新しい道へ進みたいと思っている人の、ほんの少しだけでも参考になれば幸いです。

今回もお読みいただきありがとうございました!
ではまた!

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総合型地域スポーツクラブや筆者の挑戦のリアルな実態を曝け出しています。自ら体を張って行ってきた挑戦のプロセスや結果です! 総合型地域スポーツクラブをはじめ、地域スポーツクラブの運営や指導をしているかた、これからクラブを設立しようとしているかた、特に、スポーツをより多くの人に楽しんでもらいたいと思っているかたにぜひお読みいただきたいです!

総合型地域スポーツクラブのマネジメントをしている著者が、東京から長野県喬木村(人口6000人)へ移住して悪戦苦闘した軌跡や、総合型地域スポ…

総合型地域スポーツのマネジメントを仕事としています。定期購読マガジンでは、総合型地域スポーツのマネジメントに関して突っ込んだ内容を毎日配信しています。ぜひご覧ください!https://note.com/kenta_manager/m/mf43d909efdb5