いろいろなスポーツをすると何がいいの?

 どうも!上杉健太です。埼玉県富士見市の総合型地域スポーツクラブの代表をやったり、スポーツ推進審議会委員をやったりしながら、生涯スポーツ社会の実現を目指して活動しています。総合型地域スポーツクラブのキャリア11年目に入っています。

 さて今日は、『いろいろなスポーツをするメリット』というテーマでお話したいと思います。


 近年では、幼少期には色々なスポーツをした方がいいということは、よく言われるようになっていると思います。無理矢理にいろいろなスポーツをやる必要はないとは思いますが、生涯にわたってスポーツを楽しむという観点から見た場合、やはりいろいろなスポーツを経験していることはメリットがあると僕も思います。今日は、”運動神経”という観点は置いておいて、生涯スポーツの観点からそのメリットをお話したいと思います。

自分に合ったスポーツに出会う確率が高まる

 何よりもメリットだと思うのは、自分に合ったスポーツに出会う確率が高まることです。自分に合ったスポーツって、何か分かりますか?僕はこれまでの人生で、剣道・野球・水泳・テニス・フットサル・サッカー・バドミントンといろいろなスポーツをしてきましたが、違った種類のスポーツを経験する度に自分に合ったスポーツというのが分かってきたように思います。
 例えば剣道は小学1~3年生の期間にやっていて、地元の三鷹市の大会で優勝するくらいには強かったのですが、竹刀で打たれる痛さがどうしても嫌でやめました。水泳は、あまりにも泳げなかったので小学5~6年生くらいの時に半年ほど習ったのですが、多少は泳げるようになったものの、やはり水に浮くこと自体が苦手なのは変わらず、寒さにも耐えられず、全く好きにはなれませんでした。
 高校時代にやったテニスは、卒業後にいったんやめることになったのですが、その時は個人スポーツよりもチームスポーツの方が合っているかもなと思ったからでした。

 このように、やってみないと分からないこと、やってみてはじめて気づけることって、絶対にあると思うんですね。僕の時代は、あまり同時にいろいろなスポーツをやるのが好ましいことではないと思われていたので、僕はいちいち一つのスポーツをやめてから次のスポーツに取り組んでいましたが、これが同時にできて、同時に判断ができるのであれば、これはメリットしかないと思います。

 ちなみにですが、僕は今でも自分に合ったスポーツを一つに絞れと言われれば、結構困ります。チームスポーツは好きですが、テニスやバドミントンも楽しいですし、得意・不得意という観点も入れてしまうと、余計に分からなくなります。でも、自分に合ったスポーツというのは一つではないのでそれでいいと思っています。むしろ、嫌いじゃなくて、楽しくできるのであれば、それは自分に合ったスポーツと言っていい。それくらいに考えています。むしろ、複数あればそれだけ生涯スポーツの為にはいいです。人があるスポーツをやめる理由には色々とあるのですが、時にはもうそのスポーツを一生やらないと決めてしまうような出来事もあります。その時に、複数の自分に合ったスポーツを持っていれば、一つのスポーツをやめても、スポーツを続けることができます。スポーツによって得られる楽しさとか健康とか仲間といったメリットを享受し続けられるわけです。なので、『自分に合った』というストライクゾーンはできるだけ広い方がいいと言えるでしょう。そのストライクゾーンを見極める為にも、いろいろなスポーツを経験することが不可欠なのです。


いろいろな価値観に適応できるようになる

 スポーツと一言で言っても、種目によって様々な価値観を持ちます。個人スポーツであれば、いかに自分の利益を最大化するかにコミットするでしょうし、集団スポーツであれば、時に自分の利益を減らしてでもチームの利益を最大化することにコミットしようとするかもしれません。また、採点スポーツであれば自分と向き合う時間を大切にするでしょうし、対人スポーツであれば相手の分析なども重要になってきます。当然、それぞれのスポーツで大切にする価値観も違ってくるんですね。

 一つの価値観だけを大切にして生きていこうとした場合、それ以外の価値観に出会うと、どうしても拒絶反応が出てしまって場合によっては相手を攻撃してしまったり、対立構造に持ち込んでしまったり、逆に完全に距離を置くみたいなことになってしまうことが往々にしてあるかと思います。しかし、いろいろなスポーツを通じて多様な価値観に触れていると、違う価値観を受け入れやすくなりますし、それはつまり、新しい価値観を取り入れやすいということにも繋がると思います。これからどんなイノベーションが起こるか分かりませんが、そういった変化にも柔軟に対応できる人材になれるのではないかなと思います。
 例として適切か分かりませんが、僕が子どもの頃は野球をやっている人がかなり多く、毎晩巨人戦のナイターが中継されて、多くの人が見ているような時代でした。そんな中でサッカーが突然流行り出したわけなのですが、当時の野球をやっていた大人たちは、結構本気で、「サッカーをやると馬鹿になる」と言っていたように思います。野球しかやってこなかったから、他のスポーツを認めることができなかったのだと思います。そうなるとその人自身の成長も見込めないし、新しいものを否定する社会が発展するはずもありませんから、違う価値観を認められるというのは極めて重要なことだと僕は思います。人と余計な対立をしないで済むことにも繋がると思いますしね(笑)


スポーツを続ける環境がよくなる

 最後はちょっとだけ遠回りなメリットになりますが、重要だと思うのでお話しておきます。多くの人がいろいろなスポーツをするようになると、スポーツ全体の競技人口としては上向くはずです。仮に、これまで1つのスポーツだけをやっていた人が、2種目に同時に取り組むようになれば、全体のスポーツ人口としては2倍になるわけですから。一方で僕たち日本人は、少子高齢化・人口減少の大きな流れの中で生きています。放っておけば、スポーツ人口はすごいペースで落ちていくわけです。

 スポーツ人口が減ると、当然そこに投じられる社会的なリソースも減らされていきます。公共スポーツ施設は減り、国や自治体が投じるスポーツ予算も減り、やがてビジネスとして成立しなくなった民間業者も日本からは撤退していくという流れが起こります。そうすると、ますますスポーツをしようという動きは鈍化し、さらにスポーツ人口減少に拍車をかけてしまうかもしれません。さらに、スポーツ以外のエンタメはますます増えていくでしょうから、スポーツから見た未来予測は決して明るくないでしょう。(※もちろん、幸せな社会が実現されていれば僕はそれで構わないと思いますが)

 そうならない為にも、スポーツ人口を少しでも維持することはスポーツをしたい人にとっては極めて重要なことだと思います。もはや、種目間で対立しているような状況ではないんです。スポーツが好きな人なら、どんどんいろいろなスポーツをして、スポーツ全体の環境を維持しにいかないと、油断すると本当にあっという間に絶望的なスポーツ環境になりかねません。
 スポーツが心身の健康に良いという前提に立つながら、スポーツ環境の悪化は社会問題です。いろいろなスポーツをやることには個人的なメリットに留まらず、社会的なメリットもあるというわけです。


 さて、いろいろと書いてきましたが、大きな心配は必要ありません。なぜなら時代は既に、いろいろなスポーツをやるという方向性に向かっているからです。本当はサッカーもやりたかったのに、周囲の大人が許してくれなかった僕の子ども時代とは違うんです。既に多くの子どもが複数種目に取り組んでいます。ただ、絶対に気を付けなければいけないのは、いろいろなスポーツをやることで得られるメリットの為に、半ば強制的に複数の種目を同時にやらせてしまうことです。もしこれをやることで子どもに無理を強いてしまい、「スポーツをやるのが辛い」という経験になってしまったら、むしろい効果は完全に得られなくなるでしょう。親や教師、コーチの管理下を離れて自由になったあかつきには、スポーツから離れてしまうかもしれないからです。人生の序盤の序盤でスポーツという選択肢を消失させてしまうことだけは、大人はやってはいけないでしょう。ここに十分気を付けるべきです。人生は長いのです。


 ということで今日は、『いろいろなスポーツをするメリット』というテーマでお話しました。多くの人が生涯スポーツという考え方を知って、長い人生の中でどのようにスポーツを利用していくか、活用していくかを考えてくれたらいいなと思います。

今回もお読みいただきありがとうございました!
ではまた!

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総合型地域スポーツクラブや筆者の挑戦のリアルな実態を曝け出しています。自ら体を張って行ってきた挑戦のプロセスや結果です! 総合型地域スポーツクラブをはじめ、地域スポーツクラブの運営や指導をしているかた、これからクラブを設立しようとしているかた、特に、スポーツをより多くの人に楽しんでもらいたいと思っているかたにぜひお読みいただきたいです!

総合型地域スポーツクラブのマネジメントをしている著者が、東京から長野県喬木村(人口6000人)へ移住して悪戦苦闘した軌跡や、総合型地域スポ…

総合型地域スポーツのマネジメントを仕事としています。定期購読マガジンでは、総合型地域スポーツのマネジメントに関して突っ込んだ内容を毎日配信しています。ぜひご覧ください!https://note.com/kenta_manager/m/mf43d909efdb5