コーチングは、一般論よりも必然性を。

　この冒頭の一文で何を書くかが一番迷っている気がしてきました。

　どうも！総合型地域スポーツクラブをやっています、上杉健太です！

　今日は、『一般論よりも必然性』というテーマでお話したいと思います。僕は何をするにも、人は必然性によって動いていると思っています。意思によって行動を決定しているのは言うまでもないのですが、その意思決定は基本的には必然性によってされているという捉え方です。するメリットが、しないメリットよりも大きいから、する。しないメリットが、しないデメリットよりも大きいから、しない。「本当はしたくないけど、仕方なくする」みたいなことも感情レベルではあると思いますが、それも結局はする必然性があるからしているんです。するメリットの方が、しないメリットを上回っているんです。これは、スポーツ指導においても大事にすべきことだと僕は思っています。

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　スポーツ指導においても、必然性は大事にすべきだと思います。特に子どもの指導の場合、必然性のない練習メニューはかなり形式的になり、子ども達は、「なんでこの練習してるんだろう？」と半信半疑のままやることになり、あまり身に付きません。得られるメリットが分かっていないんです。例えば、サッカーチームで紅白戦をやったとします。まだみんなパスもドリブルもシュートもろくにできず、スコアが０－０で終わったとしましょう。きっとその試合を見たコーチは色々と言いたいことがあるはずなのですが、そこで「みんなディフェンスがまだまだだね。これからディフェンスの練習をしよう」と言ったら、どうでしょう？確かに、”ディフェンスもまだまだ”ということに間違いはないのかもしれませんが、果たしてこの子達はディフェンスの必然性を感じることができるでしょうか？僕は完全にNOだと思います。むしろ、この子達にディフェンスはまだ必要ではありません。なぜなら、お互いにシュートが入らないからです。守る必要がありません。この段階では、ディフェンス練習で得られるメリットは限りなくゼロに近い。むしろ、彼らの課題意識は、「もっとシュートがゴールに飛ぶようにならなければ」とか、「もっとゴールに近づかないと」といったことのはずです。オフェンスの練習で得られるメリットの方が大きいと、無意識的に感じているはずです。一般論としてディフェンスが必要なのは分かるし、彼らにも将来的に必要になって来るのは分かる。でもそれは、先を知っているコーチだからこそ見えているものであって、その時の子ども達には分かりません。それを先に教えるというのは、”先生”ならいいかもしれませんが、コーチにはふさわしくないでしょう。コーチはもっとその時の相手に寄り添い、必然性に注目すべきだと思います。

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　さて、必然性を重視した指導をしようとする場合、最初にやらなければならないことは何でしょう？色々な答えや方法があると思いますが、僕は『課題の顕在化』と『課題の共通認識』だと思います。コーチングの主体はプレーヤーです。まずはプレーヤー自身が課題を認識する必要があります。なのでコーチは、まだ認識されていない課題を顕在化させてやる必要があります。そしてそれをプレーヤーとコーチの共通認識とするんです。
　もちろん、プレーヤーの課題意識とコーチの課題意識が一致しない場合もあるでしょう。その時はコミュニケーションで解決するか、プレーヤー側の認識にコーチが寄り添うというのが大事だと思います。実際に昨日の小学生のテニスの指導の現場で、高いバウンドを頭よりも高い位置で打とうとする子ども達を見て、『ボールが頭よりも低い位置に落ちて来る場所まで移動して打てるようにする』という課題意識をコーチである僕は持ったのですが、それを話すと一部の子どもからは、「俺は高いところで打つのが得意だ」という声が挙がりました。僕から見ると、そう言う彼も低い打点より高い打点の方が精度が高いようには見えないのですが、なるべく高い位置で打つというのは正解なので、その意見はリスペクトしました。コーチの意見や一般論を押し付けないということが大事。彼ら一人一人がもっている必然性に寄り添うことが大事です。

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