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弁護士の起業⑦〜起業のきっかけ〜
Forbes2019年1月号に、Holmesを掲載いただきました!
起業なんて全く考えていない弁護士時代から、Forbesには憧れていたので本当に嬉しいです。
そんな、原点に返るような出来事があったことと、最近よく、「なんで起業したんですか?」という、起業のきっかけについての質問を受けるので、振り返ってみたいなと思いました。
最近は起業について考える人が多くなっていて、「決断」をどのようにすればいいのか考える方が多いかと思いますので、すこしでも参考になれば。
【前提】
私が起Holmesを開発し始めた時のステータスとしては以下のような状態です。
⑴ 弁護士6年目くらい:特に専門性なし。
⑵ 弁護士法人設立2年目ー3年目:所在地は赤坂見附、人数は6人ー20人くらい。
⑶ 周りにスタートアップやVCの知り合い無し。
経営者の方とはお付き合いありましたが、40代以上が多く、スタートアップというよりも「利益をしっかりあげている会社」がほとんどでした。
⑷ エンジニアも知り合いなし。プログラミング一切できない。
⑸ 年齢33歳くらい
① 「憧れ」のフェーズ(2014年末〜2015年頭)
「世の中から紛争裁判をなくす」という志を掲げ、弁護士法人を設立したのですが、弁護士という「個人」が集まってもそれらを実現することは難しいと感じていたし、弁護士法人の成長をどれだけポジティブに見積もってもその志を実現できるほどの影響力をもつまでに何年も、何十年もかかると思っており、その志を口では言いながらも、かなりモヤモヤしている状態でした。
日々の弁護士活動をしていて、その志にどこか背いているような...そんな気持ちでしょうか。
そんな中、普段から、Forbesのベンチャー特集を見ていたり、ネットニュースを見ていたり、色々な会社について書かれたビジネス書をみていて、弁護士法人経営の参考にしていました。
当時は、「弁護士個人の足し算」でやっていては、志を実現できないなあという限界を感じていて、なんとかスケールさせたいと、組織も集客も新しいことにチャレンジしている頃でした。
このときは、自分がスタートアップをやるとはまったく考えていませんでしたが、世の中に影響を与える可能性というものに少しずつ憧れをもっていったのは事実かと思います。
当時よく読んでいたのは、孫正義さんとか稲盛和夫さんとかが多くて、GoogleやアップルやAmazonも読んでいたと思います。
② うずうずするフェーズ(2015年後半)
当時は、僕がツイッターをやっていなかったことや、今ほど起業についての発信がなかったので「起業・スタートアップ」というものがどんなもんか、「VC」ってのがどんなもんか分からなかったのが正直なところです。
でも、弁護士じゃないことがやりたくなっていたのも事実かと思います。ただこのときはまだ、「弁護士法人の1事業」として、何かをやりたいとは漠然と思っていたのかなーと。
当時は「○○テック」とか聞いたこともなく、ましてや「リーガルテック」なんて知りませんでした。
ただ、なんとなくどうしたら良いか分からず、谷沢君状態=「アメリカの空気を吸えば高く飛べると思っていたのかなあ」状態で、アメリカのシリコンバレーとNYに行きました(2015年11月くらい)。
シリコンバレーでは、Googleとスタンフォード大学とフェイスブックに訪問しました。
※アポなし。誰でも入れるスペースのみの見学。
NYでは、知り合いの会社を通じて、NYのビッグローファームのお話を聞くことができました。
NYの弁護士(パートナー)の話を聞いて、率直に思ったのは、「日本もNYも弁護士の体質や仕事内容はあまり変わらないな」ということでした。
※個人の感想です。
・パートナー制
・特にITやテクノロジーに舵を切るわけでもない
・新しい、イノベーティブなことをやっているわけではない
・アメリカは単純に経済市場規模が大きかったり、懲罰的損害賠償やEディスカバリー制度や判例法であるということから弁護士市場規模が大きいということが主な日米の違い。
アメリカを訪れてみて変わったのは、スタートアップに対する憧れの増加や決心が決まったというとこは全くなく、単に自分の「弁護士としての限界」を感じたという方が大きかったかもしれません。
③ とりあえずやってみるフェーズ(2015年後半〜2016年頭)
せっかち(だけど長続きしない)な私は、帰国してから、当時弁護士法人で導入していたあるCRMの代理店の人に話して、エンジニアの知り合いはいないかを聞きました。
そしたら、その代理店で開発を受けてくれるとのことで、開発が始まりました。
イメージは「モバイルで契約書の作成ー締結ができる」という、今のHolmesのプロトタイプ版のようなものでしょうか。
結果からいうとこれは失敗でした。
原因は色々あるのですが、私の「マインド」が原因かと思います。
弁護士をはじめとして、仕事を持ちながら始める「大人のスタートアップ」にはありがちかもしれませんが、
⑴ どうしても「委託」と「受託」の関係になる。
→エンジニアリングのことも知らないので、プロダクトを創るための関係作りができていない。受託側もどうしても「お客様」としてこちらを見る。
⑵ 本業に引っ張られる。
→人は言い訳の生き物です。つい、「今、動いている」方に引っ張られます。お金を生み出す方に引っ張られます。
不確かで、お金を食い潰す「チャレンジングな領域」については、やらない理由であふれています。
⑶ 完璧を求めすぎる。
改善が大事なのに、「1発ホームラン」しか頭にないんですね。。
そんな開発できるわけありません。。
などなど。。。甘すぎました。。。
④ 半分諦めフェーズ(2016年初旬)
ロンチ後の方が100....倍大変だと思いますが、ロンチ前でも諦めたくなるフェーズがあるかと思います。
私はここでした。
エンジニア....? いなぁい。
自分でコード...? 打てなぁい。
勉強する...? 挫折。
私の中の惰性の神様「本業でいいじゃん(いいじゃん)」
という状態です。
ちなみに私は、実際に開発が始まったフェーズでも度々ありました。
その中でも(諦めが早く飽きっぽい私が)継続できたのは、
これをもし他人がやって大成功したら俺は一生後悔する
という想いが一番だったかと思います。
⑤ 運命の出会いフェーズ(2016年5月くらい?)
私はホラ吹き的なところがあるので、「契約書についてのプロダクトを開発しているんだ」といたるところで言っていました。
※実際にはエンジニアもおらず、コーディングとかは止まっていましたが、私の頭の中とかでは構想は進んでいたので嘘はついていません!
そんな話を顧問先の社長にしていたら、「それは面白い!是非一緒にやりましょう」ということになりました。
聞いたところ、顧問先の会社の子会社にシステム会社があり、そこでプロダクトは作ってくれることになりました。
結論:発信超大事!そしてホラ・盛り重要!
最初は、親会社が絡んでいることもあり、外注費なども支払わず、無償でした。
これは後から考えると失敗でした。プロジェクトのスタート自体もこの後数ヶ月先になってしまいましたし、開発スピードも相当限定的でした。
やはり、こちらがコミットしなければ中々開発は進みません。
こちらも、向こうも、それぞれ別の仕事がありますので。
このあたりは、かなり時間をロスしましたが、それもまた学びです。
途中からは月額○円という形で支払いをしていました。
※余談ですが、親会社は色々あってこの件から手を引き、開発してくれていた子会社との関係だけが残りました。
初期のプロダクト開発の話は、以前のnoteに書いてあります。
外注とはいえ、継続的に開発してくれるところが見つかったのは渡りに船でした。
※もちろん順風満帆というわけではなく、何度も諦めそうになりましたが、そのあたりの話はまた別の機会に。
ちなみに、その外注会社の方々は、ロンチ後も開発を担当してくれ、
外注会社の社長は、その会社を辞め、当社のフルタイムCTOに!
Holmesのほとんどを開発してくれていたリードエンジニアも会社を辞め、当社のエンジニアとして完全Join!
※もう1名のフロントエンジニアも来年頭には完全Joinの予定です。
このあたりの詳細も要望があれば...
⑥ Holmesロンチ(2017年8月21日)
紆余曲折がありましたが、無事にHolmesをロンチできましたとさ!
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