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化学肥料が土を「砂漠」にする?...②
前回の記事では
①化学肥料とは何か
②一般的な農法と、オーガニック、自然農法の違い
②自然界では化学肥料なしでどのようにして育っているのか
といった内容を説明してきました。
また、記事の最後には
『化学肥料を使いすぎると、微生物が減り、植物は根を張らなくなり、病気にもかかりやすくなります。』という、すこし過激な表現をしましたが、今回の記事を読めば、これがどういうことなのかスッキリ!すると思います。
前回の記事をまだ読まれていない方は、ぜひそちらの記事にも目を通してみてくださいね!
微生物と植物の関係性を知れば、人間の生き方も学べる
土壌中の有機物の循環を支える微生物たちは、植物の成長にも密接に関与していることを述べてきました。前回の内容を踏まえつつ、少し踏み込んだ内容を箇条書きっぽく、簡単に書いてみますね!
植物は微生物を介さなければ土中の養分を十分に吸収できない
↓
微生物を呼び込むために、光合成で生成した糖、有機酸(アミノ酸・クエン酸・リンゴ酸など)を根から放出
↓
微生物が根の周りに集まってくる
↓
微生物は根の周りの有機物や無機物を植物が吸収できる形にしてくれる
↓
植物は栄養素を吸収し元気に育つ
↓
元気育つと更に根を張り巡らし、多くの微生物が根の周りに集まる。
↓
微生物が活発に活動するほどに、根の周りの土が団粒化(ふかふかになる)する。
↓
微生物はより住みやすくなるので、さらにこの循環が加速する。
この様な感じで、土壌中の循環は育まれています。
微生物がたくさん集まるほど、植物は元気になります。
同時にそれは、微生物をより元気にすることにも繋がります。
『他人も自分の一部』
人間に言い換えると、こんな風に考えることが出来ます。
昔から因果応報といいますが、他人にしたことは自分に返ってきます。
よく「お天道様が見とんじゃから、悪いことしてもわかるで!」と
ばあちゃんが言ってた気がします。
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人が見ていないから、バレないから、ではなく、必ずしたことは自分に返てくると、昔の方は生活の中で伝えてくれていたんでしょうね。
化学肥料の過剰投入は何を及ぼすのか
植物の根の周りのことを「根圏」
そこで、植物と共生している菌たちを「根圏菌」と呼びます。
根圏菌が活発に植物と共生関係を作っていくほどに、土が団粒化すると説明しました。
団粒化すると、土壌がふわっとした構造になり、通気性や水はけが良くなり、植物の根が育ちやすい環境を作ります。分かりやすく言うと、スポンジ!空気の入る隙間が多くあり、沢山の水を貯えることのできる土です。雨が降っても、ちゃんと水を土の中に貯えることができます。
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これが、化学肥料を過剰に使うとどうなるのか。化学肥料の精製された栄養素は、植物は直接吸収できます。化学肥料は散布するとすぐ効果が出るのはそのためです。
一見、すぐに効果が出るのでいいじゃん!と思いがちですが、、植物は栄養素が十分にあると、根の周りに微生物を呼ぶ必要がなくなります。また、過剰な栄養素が土壌にあると、微生物は活動を弱めます。微生物が少なくなると、土壌の団粒化はどんどん少なくなり、水はけの悪い、粒子の細かい土になっていきます。団粒化の少ない土は、雨が降っても水が土の中に入る隙間がないので、表面にしか浸透せず、容量をこえた水は土壌表面を流れていきます。
よって、水はけ、水持ちの悪い土になっていきます。化学肥料は水に溶けますので、雨が降ると吸収されなかった養分は土の周りに残らず、流されていき、環境へ負荷を与えます。
さらに言えば、根の周りに栄養素が沢山あると、根はそこで満足するので、深いとこへ根を伸ばそうとしなくなります。根を深くまで伸ばせないと、水を吸収する力が弱まるだけではなく、引っ張るとすぐ抜けたり、化学肥料を与え続けないと育たなかったりと、悪循環が生まれていきます。
テーマにある「化学肥料が土を砂漠にする」というのは、こういう状態になってしまった土のことを指しています。
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土がまとわりついてます
劣化した土は、根が十分に張れないので何を植えても育ちが悪くなります。また、病気にも弱くなるので、農薬の使用を避けては通れません。本当に悪循環です。
近くで慣行栽培をしている大規模農家さんがこんなことを言っていました。
「土がカチカチになって、トウモロコシが全く育たん。引っ張たらすぐ抜けるし。前は指を指したらすぐ土に入っとったのに、今じゃスコップでも深く入らんわ」
化学肥料を過剰に摂取すると、このような弊害があります。
何事も「程を知ること」これに尽きますね。
現代農業は化学肥料に頼りすぎてきた結果、このような事例が全国で多く見受けられているように思います。
世界に目を向けるとより深刻です。
砂漠化した広大な畑が広がっています。
風が吹くと土が吹き飛び、砂嵐。
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昨今の異常気象の中、根が土に張らないというのは、深刻な影響を及ぼします。世界中で生産量が減っている原因は、異常気象だけではないのかもしれませんね。
また、化学肥料を精製するための原料の多くは、中国とロシアから採掘されていますが、輸出量を制限しているため、世界の需要供給のバランスが崩れ、化成肥料の入手が困難になりつつあります。
こういった情勢の中だからこそ、化学肥料に頼らない「有機農法」「自然農法」に少しずつ注目が寄せられていると感じています。
とはいえ、日本国の有機農法が占める割合は全体の0.3%です。
なんと1%以下!!げんなりです。
日本は、これだけ豊かな自然環境に恵まれている国なんで、もっと可能性はあると思うんだけどなぁ~…
まぁ現実を憂いても何も変わりません。
実践することで意識が変わっていきます!行動あるのみ!私にできることは、その一歩を後押しできるよう発信しつつ、愚直に楽しみつつ自然と向き合い頑張ることです!仲間募集してます!!←
今回も長い記事に目を通していただき、有難うございました。今後も応援の程よろしくお願い致します!