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SRE NEXT 2023の登壇資料の紆余曲折

SRE NEXT 2023 IN TOKYO が9月29日に行われまして、コアスタッフと登壇を経験してきました。今回は登壇の紆余曲折が面白かった(?)ので共有のため、キーボードをたたいています。コアスタッフになった話はまた別の機会に。

CfPを出した

CfPよりもずいぶん前にもう一度読むSREのPodcastの雑談で話題になった話がありました。それがリーダーシップの話です。

この時リーダーシップ理論に触れる機会が少なすぎるよね、という話題で盛り上がりました。その先でCfPをスタッフでも出している方がいたので、リーダーシップとSREで話をまとめられないかな、と考えを巡らせた結果

SREの組織類型に応じたリーダーシップの考察

TopotalではSRE組織に対して技術支援を行っています。そこで観察しているとSREがリーダーシップを発揮し様々な役割の人と協業することが求められていると感じています。そして、SREの組織類型(Embedded SREやEnabling SRE、Consultingなど)により求められるリーダーシップが異なっているようにも見えています。 では、SREの組織類型に応じてリーダーシップを発揮するにはどのような行動が必要なのでしょうか。SREの組織類型とリーダーシップの理論を組み合わせ、SREに求められるリーダーシップについて考察します。

に行きついたわけなのですが、この時にはSL理論とSREの組織類型がなんとなく頭の中でつながっているイメージがありました。

で通ったよ、という連絡を頂き、ここからが考察の始まりになりました。

最初はスプレッドシートから

発表でも触れましたが、グロービス経営大学院で授業を受けています。授業には「ビジネスプレゼンテーション」という登壇にピッタリな科目があり、もちろん受講済みです。ですから、それに則って資料を作っていきます。

やったこと

  1. スプレッドシートを使って、情報を洗い出す

  2. 想定聴講者を分析して、状態と聴き手の疑問・関心、キーメッセージを洗い出す。キーメッセージが書けなければ、情報を探す

  3. ストーリーを作る。この時にはスライド毎にスライドを見る前と見た後の到達点を明らかにする。

  4. スライドを作り、見栄えをよくする

1と2の聴講者分析までは割とスムーズにいき、簡単に埋めることができました。

目的と想定聴講者とタイトル

次に聴き手の状態と疑問関心、キーメッセージを洗い出すところで、情報をかき集めるのに苦労しました。

読んだ文献/Webは次の資料です

個人的には、@chrojuさんの記事が実践を詳細に記載されていて、さらにSRE の組織論にも触れており大変学びの多い資料でした。また@shotaTsugeさんの記事は会社を超えたレベルの大きな組織で複数のSREの組織がどのような役割を持っているかに触れているため、この資料も学びの多いものでした。

このようなドキュメントを読み込み、SREの組織類型と動かす対象の組織のマインドセット、そしてSL理論をつなげていくぞ、となったわけです。

スプレッドシートを作りこみ、一回目の社内フィードバックを受けました。
その時には大きく3つだけでした。

1. SL理論は組織を対象にしたものなのか?それとも個人に紐づいた話なのかよくわからない。
2. 枚数不足してそう。20分なら25枚くらい。
3. 発表してすぐの課題の提示でちゃんと書けるか

これならなんとかなるやろ!と思い、登壇を行う2日前に最後のフィードバックを受けるわけです。

方向を変える

すでに登壇の発表資料を見た方はお察しの通りですが、修正が入ります。以下一例です。

フィードバックの内容をまとめると、資料の大筋が悪くないがSREの組織類型をSL理論に紐づけるために組織の信頼性のマインドセットを扱っているので、コンテキストが深すぎてわかりにくいし、その妥当性が示せてなくない??しかも駆け足で話そうとしているから、課題の共感の部分や大事な理論の話も簡略化していてわからん・・・ということでした。

この時点で提出時間までは残り16時間ほど。

スライドにフィードバックを書き込み、取捨選択と情報の整理

フィードバックを受けて、わかりやすくすること、具体的な現場の目線をもっと持ち込むことを行います。具体的には、情報の取捨選択と駆け足になっている部分の具体化でした。

わかりくい要因はこの図を語るためのストーリでした。

これを語るために組織類型 <=> 組織の信頼性のマインドセット <=> SL理論 <=> 意思決定のプロセスによる具体化の一貫性を保とうとして破綻したわけです。思い切って組織類型を捨て、SL理論を中心に据えて説明しきる方向に切り替えました。

他にもリーダーシップ理論の流れを丁寧に説明するだとか、SREの組織の流れの中で具体的な内容を盛り込み、ぎりぎりまで資料を作成していました。

その結果、今の資料に到達しました。

登壇後のフィードバックを受けて考えたこと

懇親会でお話をしたり、Twitterのコメントをみて思ったことは3つです。
1つは実現するための条件とは何か?次に具体的な行動の定義の幅や考察が不足してないか?最後にこれを実現する行動はどうしたらよいか?です。

実現するための条件はあるか?

 このコメントを受けて感じたことは実現するための前提条件があるよね?それって何?というのが落ちていたなと。
実現するための条件には、「決定権を持っている人と進められているのか」「実行するための権限を持っているか」の2つは大きくあります。
決定権を持っていないと、覆ることがありますからね。。。(懇親会でみんなであるあるーと言ってたのが印象的でした)
他にもあるんじゃないかな。。。このあたりは深堀するとよさそうです。

意思決定のプロセスにおける行動の定義

この点については、理論というよりは業務を遂行する上で感覚的な要素をつつかいました。そのため、もっと考察してもよかったように感じます。
もともと意思決定のプロセス自体が多く、例えばですが決定とした部分もより細分化はできます。

  1. 決定の判断軸の要素を洗い出す

  2. 要素の重要度を決める

  3. 比較して選択を行う

判断軸はその会社やその組織、ひいては個人の特徴が表れる部分です。この点をどのようにとらえて組み込むべきかを考える余地がありそうだなと思っています。

実現するための具体的な行動

懇親会でSLI/SLOの部分で具体的にどうしたら実現できるのか?というご質問を頂きました。今回行動方針を打ち出すことができましたが、より具体的な行動、例えば「開発組織との打ち合わせでSLI・SLOのタスクを渡すためにどのようなコミュニケーションを行いたい」などの話があるように感じました。

打ち合わせ1つとっても、打ち合わせの設計、それは目的、到達点、参加者の状況などを踏まえ、どこまでの情報を出して何を伝えるべきか、ということを考える必要があります。

ほかにも経営層や上司とどのようにうまくやるのか、というのも考える余地があると感じます。

組織の中でのコミュニケーション、リレーション、ネットワークを通じてSREをどうやって広めていくのか、というのが次の課題になってくるようにも感じました。

おわりに

技術系のカンファレンスで登壇することはキャリアのバックグランドからしてもないと思っていましたが、このような貴重な機会を頂けて本当に感謝しております。また、様々な情報を公開してくださっている方やTwitterなどでコメントしてくださった方のおかげで、思考を巡らせることができましたし、よりアウトプットしたものを振り返ることができました。

ありがとうございました。

さいごに、CfPの段階から資料のレビューをしてくれた社内のメンバー、友達にも感謝です!

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