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しあわせについて、北欧の暮らしの中で感じたこと
『しあわせについて考える』
これが北欧スウェーデン留学での一つのミッションです。
留学して2ヶ月が経ち、現地の暮らしに触れて、人と話して、「しあわせの形」について少し考えたりもしました。
2024の世界幸福度報告(World Happiness Report)で、スウェーデンは世界で第4位です。(1位はフィンランド、上位4カ国が北欧。)
数値で測れる客観的な豊かさだけでなく、実際に生活してみてどう感じたのか、スウェーデンならではの幸せの形を自分なりに言語化したいなと思います。
まず、幸せについてとても大事にされているなと思う考え方です。
パーソナルスペースを大事にしている、他人に過度に干渉しない。
周りからのプレッシャーが少ない。
今ある限りあるものを大切に、今を楽しむ。
Fikaという文化
ヤンテの掟、Lagomの北欧的考え
パーソナルスペースを大事にしている
個人の空間を大事にしている、というのは北欧に根付いている文化的な価値観で、人が個人にあまり干渉しようとしません。なので、例え友達であっても、馴れ馴れしくしすぎたり、パーソナルなことを深く聞き入ったりするというよりは適度な距離感を保っている感じです。実際に、スウェーデンの人と話していて、控えめな人も他の国の人達と比べると多いのかなと思います。でもこの「控えめ」は、ただシャイと言うよりは、他人に深く干渉せず、相手のプライバシーや自立を尊重してるからこそ生まれるものかもしれないなと感じました。この適度な距離感、他人に自分の奥深くを干渉されない、といった感じが、その人らしさや心の余裕を生み出しているのかなと感じます。実際他人に自分のことを干渉されすぎてストレスに繋がることも多いので、この考え方は素敵だなと思います。
その中でも人と関わることが少ないというわけじゃなく、むしろコミュニケーションの機会は多いのかなと思います。その一つがFika(フィーカ)の文化です。コーヒーを飲みながら仲間や家族とおしゃべりを楽しむ文化です。大学の授業でも必ず15分ほどの休憩が設けられており、たくさんの学生がコーヒーを飲んだりお菓子を食べてリラックスしています。
日本は居酒屋で仕事が終わった後に仲間と飲みに行くみたいなのが交流の場だったりしますが、北欧はどちらかというと仕事の合間にこういった交流の場が多く設けられているのだと感じます。このようなリラックスして語らう時間も、心にゆたりを持たせるために大事だなと思います。またお酒を飲むのもスウェーデンの人は大好きな人が多いので、バーも大事な交流の場所のひとつです。
周りからのプレッシャーがない。自由な選択と安心のバランス。
スウェーデンの人と話していて、他人からの「こうしなければならない」というプレッシャーが少ないのかなと感じます。その印象的だった出来事が、以前日本語を勉強しているスウェーデンの人と話した時。彼は現在、修士課程で今年卒業する予定だそうです。「卒業後の進路は決まっているの?」と尋ねたところ、「まだ決めてないけど、PhD(博士課程)に進むか、仕事を探すか、もし両方無理なら自分でプロジェクトを始めてもいい」と言っていました。
まさにノープレッシャーなんだと思い、とても人生楽しんでそうな印象を受けました。
就活のような決められたレールはなく、卒業後に1年間旅行に出かけたり、やりたいことを探すために時間を取ったりすることも珍しくないそうです。
セーフティーネットの存在
でもその自由な選択と大事なのはセーフティネット。
何にでも挑戦できるし、自分で自由に道を選んでいるけど、もし失敗した時。その時には社会保障が充実しており、どれだけ失敗しても再挑戦できる環境があります。なので、自由に進路を選びつつも、困ったときには社会が支えてくれるという安心感があるそうです。この「自由と安心のバランス」が、プレッシャーの少ない心への余裕をもたらしてるのかもしれないです。
北欧における大事な考え方
幸せについて、北欧で大事にされている古くからの考え方が二つあります。
一つは、ヤンテの掟というもの。初めの大学の学部説明会で簡単に習いました。
ヤンテの掟(Law of Jante)は、スウェーデンを含む北欧諸国で広く知られている社会的規範や価値観を表現したもので、全てで10個あります。
あなたが特別だと思ってはならない
他の人より賢いと思ってはならない
他の人より優れていると思ってはならない
自慢してはならない
他人より重要だと思ってはならない
何事にも秀でていると思ってはならない
他の人を笑ってはならない
他の人が気にかけてくれると思ってはならない
他人を教え導けると思ってはならない
他人が気にかけてくれるとは思ってはならない
簡単にまとめると、「みんな平等で、協力することが大切」といった、北欧の社会における平等主義や集団の調和を象徴しています。自分は自分という個性を大切にする側面を持ちながらも、社会全体の調和を重視する姿勢が見られて、これが福祉大国の社会保障の考え方につながっています。
後もう一つその時に習った考えが、Lagomという考え方です。
Lagomは、抽象的で日本語に訳すのが難しいですが、直訳すると、ちょうどよい。という感じ。この、求めすぎず、今あるものを大切にするという価値観が根付いています。短所ぽくいうと、プロフェッショナルすぎない、みたいな。あまり良いもの良いものを求めすぎずに、今あるものを大事にする、でもそういうことが心地よさや心の豊かさに繋がってるのかもしれないです。僕からすると、先へ先へとより良いものを追求したくならないのかな、?と暮らしていて少し不便に感じることもありますが、スウェーデン人は今あるものを大事にするのが上手なんだと思います。
終わりに
留学生活は始まって2ヶ月と少し経ちました。
しあわせの価値観については、まだまだ難しいし、もっと話さないとわからないし、その土地の言語で実際に触れてみないとわからないこともたくさんあると思います。言語化するのは難しいと感じます。今回書いたことは良いことが中心かもしれないですが、そのほかの点、ネガティブに捉えられる点もあるかと思います。まずはこれが、初めの2ヶ月、実際に暮らしを見ていて感じたことです。
スウェーデンの人々の価値観を自分の中で噛み砕いて、自分なりのしあわせの考え方を日本に持って帰られるように日々の観察を大切にしながら過ごしていきたいです。