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文化と経済圏を下支えするオタク共とステージで踊るニワカ

先日、中田敦彦さんのYouTube大学を山田五郎さんが出演しているということで久しぶりに視聴しました。

改めて「趣味とは?」と考えさせられる動画で35分以降の話は山田節が効いていて面白いなあと思いました。

この動画内でも触れられいますが、何か新しい趣味の世界に飛び込み、その世界の住人たちと関係を作っていくと面白い人が大半ですが、中には超絶面倒くさい偏屈な人も少なからずいます。
サッカー界でいえば、歴の浅い人に対して「そういう考えじゃねえんだよ」という長老。女性サポーターに対して「どうせ選手の顔ファンだろ?」「サッカーのルールなんか知らないんだろ」とか言う人と出会うのは珍しくありません。こういった発言に対して度々Twitterでは「それはおかしい」「古参だから偉い訳じゃない」と擁護のリプが飛んでいます。

確かに文字面通りに理解すると新参者、いわゆるニワカを馬鹿にする発言に見えます。しかし、世の中で起こるあらゆる事象には経緯が存在します。

人は何か1つの趣味に偶然出会い、「何か面白いかも」といった理由でハマった趣味に時間を割いていくようになります。そして、いつからか趣味を拗らせ、傍から「オタク」という称号を与えられる時がきます。休日はハマったものに時間・お金を狂ったように投下し、時には仕事を放ってしまう狂気的な人達です。
少し前までのオタクの世界はまさに知識・技術のマウント合戦であり、「そんなことも知らないの?」と派閥や個人間でバチバチしていることがありましたが、バチバチが互いの知識欲や向上欲を搔き立て、文化や市場を生んでいました。
現在では「オタク」といってもバチバチにやり合うことなく、随分ポップなものになりましたが、ある出来事を発端に変化したと思われます。
ある出来事というのがテレビドラマの「電車男」です。伊藤淳史さん演じるオタクがエルメスたんこと伊東美咲さんに恋をしていく物語です。
このドラマ以前のオタクの人物像というのはアキバにいるメガネをかけ、ジーパンにチェックシャツをインしたどこか薄汚く、根暗で社会性がない。
何故このドラマが放送されるまでオタクは汚らわしいもので、芸能人の中でショコタンこと中川翔子さんのようなオタクを公にする人物が出てこなかったのかというと、1988年~1990年にかけておきた東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件が理由の1つとされています。この事件の犯人がおたく・ロリコン・ホラーマニアと報道されて以降、世の中のアニメ好きへの風当たりが強くなり、おたくであることを隠す風潮が生まれました。
そこからエヴァンゲリオンなどのヒットがあり、徐々にオタクという人種が市民権を獲得していくことになりました。
最近ではオタク=アニメ・漫画だけでなく美容・アウトドア・スキルなど何かに没頭するひとのことをさす言葉として扱われています。

アニメ業界同様、各業界のオタク先駆者たちは辛酸を舐めてきました。
サッカーオタクでいえば、Jリーグの前身であるJSLやJリーグが開幕した1993年当時から応援している人達はアニメオタクほどではないですが、それなりに辛い思いをしているように思います。
1993年~1994年Jリーグ開幕当初のお祭り騒ぎ
1995年~2000年 バブル崩壊による第1次低迷期
2001年~2008年  日韓W杯による第1次成長期
2009年~2013年 東日本大震災による第2次低迷期
2014年~2019年 本田・香川・長友全盛期&DAZNマネーによる第2次成長期
2020年~現在 新型コロナウイルスによる第3次低迷期
と5~10年周期でジェットコースターのようなオタクライフを歩んできています。時には応援するクラブが消滅したり、2部3部への降格制度が始まったりと。
Jリーグ全体で見てもこれだけの出来事があったのだから、クラブ単位で見ていくと更に問題が細分化され、乗り越えてきたハードルの数は計り知れません。この様な不遇の時代を過ごしてきたオタク達ですから、危機意識から何処か偏屈になるのが分かる気がします。

僕はあらゆる趣味の中には階層が存在していると思っています。

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サッカーを例に説明していきます。
ニワカ層:流行り廃りで趣味が入れ替わる人達です。特に愛着がなく、場や雰囲気を楽しむタイプです。
一般層:サッカーにハマりだし、日常的に媒体をチェックしたり、スタジアムに通い出します。
マニア層:全国津々浦々、試合があれば何処までも足繁く通う層です。熟練するほどに1人で何処へでも行きだします。
準オタク層:クラブにとって何が利益になるか考え、所得の大半をグッズに注ぎ込んだり、サッカーにまつわる事を自発的に勉強し、真のオタクへの修業をします。
オタク層:クラブの広報的存在となり、知識を活かして無償で自主製作のPR動画や記事を発信します。

あくまで個人的なオタク論ではありますが、準オタク達が金を水のように使い、オタク達が文化を深く掘り進めることで、その上に安定した楽しめるステージが出来ると思っています。
日本のアニメ界においても連続幼女誘拐事件以降、オタク達の根強い下支えがなければ昨今の鬼滅の刃や呪術廻戦などのアニメブームは無かったかもしれません。

オタクは、「俺たちが作ったステージでニワカを躍らしてやっている」。
ニワカは、「オタクが作ったステージで躍らしてもらっている」。
という広い心が必要なのだと思いました。

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