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スペインの監督養成学校とは?🇪🇸
こんにちは。
戸次健太です。@kenta_bcn
今回は私が受講したスペイン・カタルーニャサッカー協会主催のコーチングスクールについて書きたいと思います。
はじめに
カタルーニャサッカー協会主催のコーチングスクールではLevel 1 (日本ライセンスB級相当)からlevel 3 (日本ライセンスS級相当)まで受講可能で各コース毎年多くの人が受講しています。
※日本の公認キッズリーダー資格のように未就学児や低学年向けに指導が可能なライセンスも別に存在します。
多くは地元の人々ですが、近年は私のようにアジアからサッカーを学びに来る人も増えてきているようです。
また、このコースで取得したライセンスは現地で指導する為には有効なライセンスですが、現時点では日本のライセンスとの切り替えが不可能で日本に帰国した場合はこのライセンスを所持してるからといってB級やA級ライセンスが与えられる訳ではありません。
このnoteでは日本のA級ライセンスと私が受講したLevel2 ライセンスを比較しながら見ていきたいと思います。
※日本のA級ライセンスの情報は協会のサイトを元にしたもので、実際に受講した訳では無いので誤りがある可能性がありますので予めご了承ください。
費用
日本
A級ジェネラル 受講料165,000円(税込)
※宿泊が必要で宿泊費(1泊3食1万円前後)・会場は全国で6ヶ所のみで交通費は別途受講者負担 合計30万前後
スペイン
level 2コース 受講料・教材費676€(約83,000円)※学校によって多少のバラツキあり ・交通費の支給等はありませんが多くの学校があり、もちろん自宅から通えるので宿泊費も必要ありません。
学習時間・定員
日本
6日間のプログラムを×3 ※1日何時間の受講なのか不明 前期、中期、後期に別れており2ヶ月、3ヶ月に1度のペースで行われる。 例 :前期:6月1日(月)~6月6日(土)
中期:10月12日(月)~10月17日(土)
後期:12月7日(月)~12月12日(土) 茨城・鹿島ハイツスポーツプラザ
定員は各コース24名×6コースで年間144名
スペイン
Level 1 (日本ライセンスB級相当)が約3ヶ月、level1取得後level2が受講可能になり約半年受講しテストに合格するとライセンス取得になります。
授業は毎週月曜日〜金曜日に行われ一般科目と専門科目、指導実習を合わせてlevel1が455時間level2が565時間のカリキュラムになっています。
単純計算でlevel2取得まで1020時間ですね。
A級ジェネラルの受講日程で睡眠を取らずに24時間ぶっ続けで授業しても日本の受講時間より多いです。
時間が多ければ良い訳でもありませんが、質も量も高く、また別途説明しますが一般科目では解剖学やスポーツ心理学なども学びます。
定員は無く17歳以上で義務教育の卒業証明と成績証明書があれば誰でも受講可能です。(※外国人の場合は高校もしくは大学の成績証明書、卒業証明書が必要です)
科目
日本
【前期:専門科目】
6日間—コミュニケーションスキル、コンディショニング 、トレーニング構築のプランニングなど
【中期:専門科目・共通科目】
6日間—指導実践、スポーツインテグリティ、心理、メディカルなど
【後期:専門科目】
6日間—指導実践、チームビルディング、ナショナルコーチングスタッフによる講義など
※日本サッカー協会の公式サイト参照
スペイン
上記にも書いた通り、一般科目と専門科目に別れています。
解剖学では、日本語でも聞いた事無いよな骨や筋肉の名前が出てきたり心理学では年代ごと男女ごとの心理の変化やアプローチの仕方などを学びます。
専門科目ではサッカーを多くの分野に分けて細かく学んでいきます。
基本的には一般科目は担任のような先生が1人いてその先生がどの科目も授業を行います。
専門科目はカタルーニャサッカー協会に所属する各科目のエキスパートの先生が各曜日ほどに学校に来て授業や指導実践を行います。
全ての科目にテストがあり基準点に達しないと再テストを受けることになります。(ライセンス取得の為には全ての科目に合格する必要があります)
受講資格・トライアル
日本
A級ジェネラルを受講するにはB級ライセンスを保持している事と、もう1つの条件として各地域のサッカー協会から推薦を貰う必要があります。
まずは都道府県事のトライアルを受けて合格すれば次に地域ごとのトライアルを受ける、そこまで合格して初めて『受講』する資格が与えられます。
受講するだけでかなり狭き門になっているのが現実です、年間に全国で144名しか『受講』出来ないのです。
また、受講者枠を見てみましたが、、、
(1)9地域サッカー協会推薦 67名(各地域の受講枠に基づき推薦順位をつけて提出)
(2)Jリーグ推薦 34名
(3)JPFA推薦 9名
(4)JFL推薦 9名
(5)全日本大学連盟推薦 6名
(6)日本クラブユース連盟推薦 2名
(7)女子委員会推薦 2名
(8)全国社会人連盟推薦 1名
(9)JFA推薦 若干名(JFAへ直接お申し込みください)
コネが必要な臭いがするものばかりで我々のような一般人が狙えるのは①の67名の枠くらいでしょうか。。?そう考えるといかに狭き門か分かると思います。
もう一度言いますが『受講』する為にこれだけ高い壁があるのです。
スペイン
17歳以上でスペイン教育機関公認の成績証明書があれば誰でも受講可能です。
つまり18歳、19歳で日本で言うA級ライセンスを持っている人が多くいるということです。
level2を所持しているとDivisión Honor(最高カテゴリー)等は除きますがその他多くのカテゴリーで第1監督として指導することが可能になります。
上記の2つの条件を満たすと入学前に体力テストがあります。
・2000m走(10分以内)
・50m走(8秒以内)
・メディシンボール投げ
・柔軟測定
・ジャンプ力測定
・軽いパスやシュート、リフティング等の実技
このテストは最低限の運動が出来るか見る為のもので基本的に不合格になる事はありませんが、全て失敗したりすると不合格になる可能性もあります。
指導実習
日本
無し
スペイン
学校での指導実践とは別にそれぞれがチームに所属して現場での経験を積むPráctica (実習)があります。
基本的にチームは自分で探し毎月クラブからチームに所属して実習を行ったという証明書が必要になります。※カテゴリーは問わずチームは小学生年代でも高校生年代でも構いません
まとめ
日本ではまだ『ライセンス』=『指導力』というイメージがあると思いますがそれは違います。
ライセンスを持っているから優れているわけでも無く偉いわけでもありません、ライセンスはあくまで現場に立つ権利を得ただけです。
そこからは学校で学んだ事、自分自身のアイデアや経験で上へとのし上がっていくのです。
スペインでは10代から現場に立ち指導している指導者も多くいて20代前半でlevel3(日本ライセンスS級相当)を所持している指導者も溢れるほどいます。だからこそ競争が生まれお互いが切磋琢磨しあい評価しあい成長していくのです。
しかし、現在の日本のライセンス事情では限られた人しか上級ライセンスを取得する事が出来ず、ある一定の人数での競争しか生まれていません。
ヨーロッパではナーゲルスマンのように20代後半、30代前半でプロの舞台で指揮する監督も珍しくありません。
それは濃密なカリキュラムでサッカーを学び現場で学びライセンスを取得し、その後猛烈な競争の中で知識と努力で上まで上り詰める『環境』があるからです。
日本のライセンス事情もSNS上では議論されていますが大切なのはトップである日本サッカー協会がどれだけ本気で考え行動するかです。
日本のワールドカップ優勝の為には選手だけ育成しようと思っても達成出来るものではありません、日本のトップが日本はサッカー後進国であることを認め先進国の考えや仕組み等を積極的に取り入れ日本に適応させ成長していける『環境』を作ることを私はサッカーファミリーの一員として願っています。
それまで私達も指を咥えて待っているのではなく、それぞれが学びを深めそれぞれがそれぞれの立場で出来ることをやっていきましょう‼️
それでは今回はこのへんでっ!
また次回もよろしくお願いします!!
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