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【ニューデリー】FRROで尋問を受ける

FRRO(Foreigner's Registration Office)はデリーの日本大使館から割と近くにある。
朝11時に入ると、受付は多国籍の方々で満席だった。昨日大使館で紹介された旨をカウンターで伝えると、奥に進んでForeign Blanchに行けと言う。
建物の内部はいかにもお役所らしく、複数の部署に枝分かれしているようだった。

指定の部署まで向かい、今回の鍵を握るミスター某の部屋っぽい一室に入ると、2人のおじさんが座っていた。聞けば、ミスター某は午後1時にならないと戻らないらしい。
全然約束と違うじゃねえかと思っていたら、おじさんの一人がまぁひとまず座れと目で促してくる。どうやら俺たちにも話を聞かせろということらしい。
そこから約1時間に渡り、僕の入国スタンプについての取り調べが行われた。

「なぜ君のパスポートには入国スタンプがないのか?」に対して、正直それはこっちが聞きたかったのだが、入国時の状況をカタコト英語で必死に説明する。
この2人は典型的な「アメとムチ」タイプのコンビで、片方は半ば恫喝気味に攻めたてる(というか英語の訛りがきつすぎて全然聴き取れず、そのように感じる)のに対して、もう片方は比較的EasyなEnglishで時折「まだ結婚はしてないの?」「彼女はいるの?」などの世間話も交えながら、和やかに接してくれた。

ムチおじさんの方も決して一方的ではなく、僕の話を聞きながら各所に電話をかけ、色々と確認してくれてるようだった。
最後までこの2人がどういう立場の何者だったのか分からなかったが、素性のしれない不法入国者に対して割と真摯に対応してくれた…ような気がする。が、それでも結論は出なかったようで、結局ミスター某を待つことになった。

外の待合室で待つこと1時間、再び先ほどの部屋に入ると、空席だったデスクに鎮座する人物が1人。どうやら彼がミスター某とみえる。
状況は当然知っているようで、パスポートを見せるとどこかに電話をかけはじめた。少し通話したあと、僕にスマホを渡し、話してみろという。代わると相手は日本大使館のようで、すぐに日本人担当者に繋いでくれた。
その方が言うには、FRROでも入国手続きは可能だが、たぶん1ヶ月ほど時間がかかる。それを考えると、やはりスノウリに戻ってスタンプを手に入れるのが、最速で最善の方法らしい。

電話を切ると、ミスター某は「力になれなくて、すまない」というようなことを呟いた。正直、僕も途中からなんとなくそんな予感はしていたのでさほどショックではなかった。礼を言って部屋を出る。

宿に戻って結果を主人に告げると、賄賂を払えばどうにかなったかもしれないよと言う。むしろなぜ交渉しなかったのかと若干呆れられた。
そんなこと考えもしなかったのだけど、そういう手段があるなら金にがめついインド人が交渉してこないはずはなく、何より最後のミスター某の反応を見る限り本当に無理だったのではなかろうか(昔はそういう手段が許容されていたのかもしれないが)。

まあこの主人も人が良さそうにみえて、何かにつけて金を取ろうとしてくるし(今回の件でも、明らかに必要なかったCフォームという書類を2000ルピーで買わされた)、何事も話半分に聞いておいた方がいいだろう。

というわけで、早速今夜から再びスノウリに向けて出発することにした。普通に考えたら空路を使うのが効率的なのだが、これしきのことでポリシーを破りたくない。来たとき同様、ゴーラクプル経由で列車移動するつもりだ。チケットは、FRROを出たその足で買いに行っていた。
デリー→ゴーラクプルは人気チケットのため、最初は窓口でも空いてない!の一点張りだったのに、どうしても今日中に行きたいとゴネたら用意してくれた。なんじゃそら。

スタンプを貰うためだけに列車とバスで15時間かけてスノウリまで行き、また戻ってくる。
気が遠くなるくらい面倒だけど、このままだと日本にも帰れないのだから仕方ない。
ネパールを出国したあと、きっと今僕は世界中どこの国にもいないことになっている。

〜旅のBGM〜
東京事変/透明人間

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