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海外PJの難しさ

What I learned in Thailand as a project leader

初投稿は僕がタイに2019年の11月に1ヶ月出張に行く機会があったので、日本企業がGlobal RolloutなProjectを主導する難しさや外国人と働くチャレンジを書いてみたいと思う。
まずタイで何をしたかということを説明したい。僕が関わっているようなシステム導入プロジェクトではシステム作りの為のお客さんの要件出しというのが必須になってくる。要件というのは業務要件であり、例えばお客さんのがこういう業務フローが会社の方針上必須であるということや、KPIで使用するのでこの業務ではこういう情報をシステムに入力しないといけない言ったことを言う。例えば僕が関わっているような調達部署で言うと仕入先の評価が必須であったり、見積後いくら値下げ出来たのかをシステムに入力しないといけないだったりというような要件がある。こういう要件をヒアリングしてどういうシステムの使い方をするか、どういう業務フローにするのかを決めていく。
今回の出張では、この要件出しとそれに対しての対応策を決めに行った。僕が日本からのブリッジとして行き、タイ人のコンサルタント3人と協力してタイ8子社、約10名くらいのお客さんとセッションを1ヶ月間ほぼ毎日行い、要件出しとそれの対応策を説明をした。

日本企業がGlobal RolloutなProjectを主導する難しさ
このプロジェクトは global rollout であるから、日本で予めシステムの使い方や業務フローが決められている。
日本側で決めた業務に海外の支社が合わせるというのが理想の形である。つまり狙いは全世界拠点の業務の標準化である。法的な要件や仕入先やお客さんのお客さんの様な外部に影響がある要件以外は基本的には本社である日本側が決めたルールに従ってもらうのがプロジェクトの方針だ。
この前提あるのにも関わらず現地のお客さんは自分達の要件にこだわることが多い。なぜなら日本側で決めたglobal templateが必ずしも彼らが満足するものではないからだ。
なので現地にglobal templateを受け入れてもらうのが我々の仕事であるがこれが中々難しい。難しい原因の一つにお客さんの現場の声が大きいという企業文化がある。製造業のお客さんは現場のラインが命であり、その現場にいる社員の声が大きい。これは私みたいな外資系ITの社員から見ると中々新鮮だった。私の会社は本社がクラウドと言えば全世界ですぐにクラウドに向くような企業なのでこういう改革はすんなり行く。うちのマネージャーに聞いたところ、改革に不満があるやつはCEOに直接メールをしろ、と言われるらしい。無理を承知でこういう言ってくるとのこと。
こういう外資系企業とは対照的なそんな外資系の文化と対照にあるボトムアップな企業文化の日本企業業務改革を行うと現場からの反対や要件が多く、経営陣や本社側で想定している以上に時間や労力を取られる。では、現場に強く言われると経営陣や本社が中々言い返せない。
そうなってくると困るのは本社側を代表して我々のような業務改革を進めるコンサルタントである。
なので全社的な改革は企業内で強い意志を持って、トップダウンで進めないといけないことを痛感した。またこういう改革を押し進める我々のようなコンサルタントは現場の意見を取り入れつつ、本社を代表して現場の業務を変える意識を持つことが必要である。


外国人と働くチャレンジ
僕は海外に合計8年ほど住んでいた帰国子女なので基本的には英語でのコミュニケーションには困らない。けどそんな僕でもタイ人やインド人とのコミュニケーションには苦労した。特にタイ人(笑)。指示や依頼をしても中々内容を理解してくれず、かなりストレスに感じたことが多くあった。どうすればいいか困ってたときにヒントになったのが最近見た映画の中のひとセリフだった。
Invictusという映画があるがその中で南アフリカ代表キャプテンであったマット・デイモン演じるフランソワ・ピナールが当時の南アフリカ大統領であったネルソン・マンデラから大統領室に呼ばれ、どうやってチームを率いてるのかを問われるシーンがある。そこでピナールが"Always lead by example"と言う。なぜかそんなセリフが頭の中に残っていてタイ人に上手く指示する時に意識してみた。
常に自分が率先して手本を示してみて依頼をすると、言葉では伝えきれない部分も理解してくれるようになって、僕が意図していることもなんとなく理解してくれるようになり、チームとしての作業効率が上がった。
もちろん、全てが上手く言ったわけではなく、手本を見せても上手く伝わらず困った部分もあった。一番の気づきは文化によって、暗黙の期待値が全く違うということだ。文化人類学者のE・H・ホールの理論によると日本はハイコンテキスト文化で、伝える努力やスキルがなくても上手く通じてしまうことをハイコンテキストと言うらしい。なので上司や先輩から指示されてもなんとなくで期待値やどこまでやればいいかを察することが出来る人が多いのではないかと思う。もしくは普段自分では気がつかないかもしれないが、外国人とコミュニケーションをとると気がつくはずだ。現在のプロジェクトはインド人、タイ人、アメリカ人、そしてこれからはヨーロッパの人たちとも関わっていくからこの学びはとても貴重だった。またコミュニケーションの基本は海外の人だけではなく、同じ日本人でもリーダーとしてチームを引っ張らないといけないような状況でも大切なことだと思う。


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