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現代科学の提示する未来とは?
K.S.R.C ResearchReport FileNo.200203
オリジナル公開日 2002/5/27 報告
報告者:KenSugi
21世紀も早2年目。一昔前のSF小説やアニメなどで語られていた技術は、夢で終わっているのだろうか。
今回は驚異の現代科学をご紹介することにしよう。
1.”許されざる命”の創造
1971年、しばしの沈黙を破りウルトラマンシリーズが復活した。タイトルは「帰ってきたウルトラマン」であった。
その第34話で語られるストーリーは植物と動物の中間生物(怪獣)を創る学者の歪んだ心理を描いた作品でありタイトルは「許されざる命」という。
この話の原案は小林晋一郎という人であり、この人は後に平成ゴジラシリーズ第2弾「ゴジラVSビオランテ」でもやはり、植物であるバラと動物であるゴジラ、さらには人間の遺伝子を融合させるという話を書いている。
物語としては面白い発想であるこの「植物と動物の融合」であるが、実際問題としてはかなり難しいと言わざるを得ない。
同じ動物、いや同じ人間同士であっても臓器移植すら難しいことからもその困難さは想像することができる。
しかし、2002年1月、近畿大生物理工学部の入谷明教授(発生工学)、岡崎国立共同研究機構基礎生物学研究所の村田紀夫教授(分子生物学)らのグループがある実験に成功したと発表を行った。
なんと、ホウレンソウの遺伝子を豚に組み込み、肉質をヘルシーに変化させた豚を開発するこに成功したというのだ。
1982年に米国の研究グループがラットの成長ホルモン遺伝子をマウスに入れ、普通の2倍の大きさの「スーパーマウス」を作ったことで、大型の「スーパー家畜」への期待が膨らんだのだが、牛や豚に成長ホルモン遺伝子を入れても大きくなることはなかった。それどころか豚では多くが糖尿病や胃潰瘍を起こして早死にするなどしたため、90年代に入って研究はほぼ途絶えたのである。
今回のホウレンソウの遺伝子を組み込んだ豚は、そういった量的な変化でなく、質的な変化を狙った試みとしても注目されている。
さて、今回の実験をさらに進めていくとどうなるであろうか。
例えば、人間に葉緑素を持たすことが出来れば、光合成により栄養を自分の体内で作ることができるようになるだろう。
これは食糧問題を一気に解決するだけでなく、長期の宇宙旅行の可能性を広げ、他の惑星、天体への第一歩となるかもしれない。
しかし、人間がどこまで生命を改造して良いかという倫理的問題の解決無くしてこういった技術の発展は難しいかもしれない。
2.全く新しい生命体の創造
地球に住む生物の遺伝子は、4種類の化学物質(塩基)A、T、C、Gで書かれている。これは細菌から人間まで地球の生命体がほぼ共通に使っている言わば共通言語なのである。逆に言えば、この4つの塩基以外で書かれている遺伝情報は皆無ということなのだ。
この4つの塩基以外の物質で遺伝情報の記述に理化学研究所の平尾一郎チームリーダーたちが世界で初めて成功したと米科学誌ネイチャー・バイオテクノロジー2月号に掲載された。
今後研究が進めば地球上にいる生物とは違った生命系統を作り出せる可能性もある。
しかし、この研究も人間への応用など倫理的な配慮が不可欠である。
3.テレパシー実現への第一歩
かつて、Mr.スポックはエンタープライズにいるカーク艦長との会話に通信機を利用していたが、もはやその通信機よりも現在の携帯電話の方が小型軽量で、かつ、高機能であることは間違いのない事実である。
NTTドコモのFORMAでは携帯でいわゆるTV電話を実現しているし、auのGPS携帯では現在位置が分かるようになっている。
(※2022/3/31 筆者注:流石に20年も前のレポートなので古い内容だが本質は変化していない)
スポックが艦長の顔を見ないで通信していたのと比べると、雲泥の差がある。
このように通信分野に関しては、何故かSF作品よりも現実世界の技術の方が進んでいるようだ。
とは言え、こういった通信技術は今後どのように発展していくのであろうか。
一つのヒントとなる製品が既に発売されている。
それは”骨伝導電話”である。
本来、この製品は耳の不自由な人をメインターゲットとして開発されたモノである。
通常の電話の場合、受話器の穴から相手の声が聞こえる。これは、受話器に音声を再生するためのスピーカーが入っているからである。要するに音声は空気を伝わることで耳に到達し、鼓膜で受け取った空気の振動を蝸牛と呼ばれる器官に伝えて、相手の声を聞き取るという仕組みなのである。
ところが、耳に障害を持っている人の多くは、音声(空気の振動)をうまく蝸牛に伝えることができないので、音声が聞き取りにくくなる。また、大きい声は聞こえるけど、小さな声は聞き取れないという人も、鼓膜-蝸牛間のメカニズムに問題のあることが多いようだ。
骨伝導は、このような耳のメカニズムに問題がある人を救う技術なのである。
骨伝導の受話器では、音声を空気の振動として伝えるわけではない。音声の振動を、頭骨経由で(鼓膜を介さずに)直接蝸牛に伝えるのである。その結果、障害のある箇所を飛び越えて脳に音声信号が伝わるので、耳が不自由な人でも驚くほど明瞭に聞き取ることができるのである。(これは耳をふさいでいても自分の声が聞こえるのと同じ原理である。)
さて、この技術を応用すると何が出来るのか。
それをお話しする前にもう一つ重要な技術を紹介しなければならない。
それは”超小型ICチップ”である。
写真をご覧頂こう。
![](https://assets.st-note.com/img/1648738798903-Fvzswet6DF.jpg)
この写真で指の上に乗っているゴミのような粒が超小型のICチップなのである。
この僅か0.4mm角に2.45GHzの高周波アナログ回路と128ビットのROMが集積されているのだ。
この大きさであるから、あらゆるモノに埋め込みが可能だ。例えば、有価証券などに埋め込んで高度な真贋判定(偽造防止)をしたり、商品や伝票に埋め込むことで物流管理の自動化を図ることも可能だ。まさにありとあらゆる分野での応用が期待される非接触超小型ICチップなのである。
さて、この超小型ICチップと前述した骨伝導電話を組み合わせると何が出来るのであろうか。
超小型ICチップに電話機のメイン機能である受信機と送信機を入れ、それを体内に埋め込む。受信した音声は骨伝導で直接蝸牛へと伝える - そう、テレパシー機能の実現である。
未来の電話には受信機も送信機もいらないのである。
かけたい相手を思っただけで、その思考から発する微少電流は体内に埋め込まれた超小型ICチップに伝わり、相手に発信されるのである。
かけられた相手もまた、超小型ICチップで受信し、蝸牛を直接振動させ脳へとメッセージが伝わる。
そんな夢のような世界も、もうすぐそこまで来ているのだ。
<2022/3/31 補足>
Googleで「テレパシー 孫正義」と検索すると孫氏のビジョンがいくつもヒットする。
孫氏のビジョン構想よりも遥か前である2002/5/27に我々はこの内容を公開している。