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ホンダとソニー

K.S.R.C ResearchReport FileNo.010001
オリジナル公開日 1998/12/23
 報告  報告者:シルビー

本リサーチは当KSRCが最初に公開した記念すべきリサーチである。

当時(いや今もだが)ホンダとソニーといえば就職戦線でも人気の日本が誇るトップ企業であった。
そのホンダとソニーであるが最近この両社が提携するというニュースが飛び込んできた。

20数年前はこの両社の提携など思いもよらぬ出来事だったが時代とともに常に状況は変化していることの現れだろう。

さて、この提携のニュースとは全く関係ないが、記念すべき第1回目のリサーチをとくとご覧あれ。(まだ右も左もわからない手探り状態でのリサーチのためお恥ずかしい内容ではあるがご容赦頂きたい)


 ホンダとソニー。
 この日本を代表する2社の共通点は多い。両社ともグローバルな会社であることや若者達に人気があることはもちろんだが、その製品群も産業カテゴリーこそ異なるがかなり似ている。

 ホンダは今でこそRVやSUVといったクルマが中心になってしまっているが、ほんの2年前(2022/6/16筆者注:1996年前後のこと)まではスポーツカーそれも小型車を中心とした車種を生産していた。
 対してソニーもまたオーディオとビデオを中心とした製品群に特化している。その特化された製品群の製品も両社ともスタイリッシュだし、他社とは何か違うキラリと光った製品が多いのも、この2社に共通している。

 ホンダはRVに関しては後発にあたるが後発の利点を生かした製品を出している。その製品もただ他社の成功した製品の二番煎じではなく、全く新しいカテゴリーともいえるような製品を出してきている(SMXやHRVがそれにあたる)。
本業であるスポーツカー(2022/6/16筆者注:くどいようだが当時はそうだったのである)においても1999年にはS2000の発売も計画されている。S2000はオープンのFRという今までのホンダにはない全く新しいカテゴリーへの挑戦の製品といえるだろう。
しかもその挑戦作の出来映えはすばらしい。スペック的にはRX-7クラスになるが、このクラスにはスープラやZといったライバルがいる。それらのライバルに対し互角以上の性能を出している。オープンカーであることを考えると驚異的である。

 ソニーもやはりPC(AT互換機)では後発にあたるが、VAIOで一躍トップPCメーカーに躍り出ることになった。(PC自体は第1次パソコンブームに発売している)(2022/6/16筆者注:SMCシリーズ。後年では”HITBIT"という名前でMSXもリリースされていた)
 VAIOノートはスペックではなくそのスタイルが一般大衆(及びソニーファン)にうけた。VAIOノート以後のノートPCはすべて銀ボディに変わったことを見てもどれだけ市場にインパクトを与えたかが伺える。(2022/6/16筆者注:同時は”銀パソ”と呼ばれていた)

 AV機器に関してもおもしろい製品を多数発売している。ディジタルビデオ(DV)とVHSのダブルデッキや8mmビデオとVHSのダブルデッキなど総合ビデオメーカーとしての面目躍如といったところである。また、ソニーという会社は2つの似たような製品を一つにまとめた製品がよほど好きなのか、CDとMDのダブルデッキも発売している。これらの”ダブル”製品などを見ると思わずニヤっとしてしまうほどソニーらしい。
 また、ソニー製品を語る上でさけて通れない製品はウォークマンやトリニトロン等多数あるが、現在ではPlayStation(PS)もそうであろう(ソニー本体のではないが・・)。
 PSは当時任天堂のファミリーコンピュータ(ファミコン)一色だったゲーム機市場にセガのサターンとともに鳴り物入りで参入してきた。当時”次世代ゲーム機戦争”といわれていたが結果はご存じの通りである。
 ハードウェアで見た場合、必ずしもPSがサターンに勝っていたとはいえない。

 しかし、ソニーはソフトの重要さを大変理解していた。

 ファミコンでのヒット作「ドラゴンクエスト」「ファイナルファンタジー」といったソフトをPS陣営に抱え込んだのである。この時点でPSの勝利は決まっていた。(セガはDreamcastで同じ間違いを犯さなければよいが・・・)

 さて、ホンダもソニーもすばらしいメーカーであるが、その未来はどうであろうか?

 ソニーに関しては何も心配はないだろう。今まで通りのコンセプトでこれからもすばらしい製品を我々の手元に届けてもらいたい。

 問題はホンダである。

 確かにS2000はすばらしい車であるし、他の車もスタイリッシュで魅力的だ。だが、車はスタイルだけではいけない。車は人を乗せて移動し、また人を傷つける危険のあるものだ。今でこそ各自動車メーカーは安全をうたっているが、ほんの少し前まではどうであっただろう。
 例えば、RV車のフロント部分についていた(る)金属製のパイプ(カンガルーバンパー)。そもそもカンガルーバンパーはその名の通り、車をカンガルーから守るために開発されたものである。したがって本来ならば市街地で装着するものではない。それを外見だけでかっこいいからといって一般車のバンパーに装着するなど、万が一の事故の際の歩行者のことをメーカー側が全く考えていなかったことの証明である。カンガルーバンパーの規制がなかったのは世界的に見ても先進国では日本だけである。
 乗員の安全性はどうだろうか。最近はTVCMでもクラッシュテストの映像を見ることができるが、それは最近になって力を入れたからである。逆に言えば少し前までは見せられるものではなかったことを意味する。その力を入れてなかった頃のクラッシュテストの比較を見ることができる場所がある。
 ヤナセである。ヤナセは外国車を扱うディーラーであるが故に、国産車との比較の資料がたくさんあり、ヨーロッパでのクラッシュテストの比較写真も置いてあることがある。このクラッシュテストの写真は一度見ることをお勧めする。ヨーロッパ各国の車と日本の各社の代表的な車のクラッシュテストの写真を見ると、日本車のボディがいかに弱いか(弱かったか)を目で見て確認できる。その中でも特にひどいつぶれ方をしていたのはホンダ車であった。
 誤解しないでいただきたいのだが決して今のホンダ車もそうだといっているわけではない。また、その当時もホンダ車すべてがわるかったわけではないし、他社も似たようなものであった。
 今も一部の自動車にはあるだろうが、自動ドアロックもボディ剛性の悪さをカバーする目的で装備されている自動車もある。また、ホンダ車のドアロック部には「ロックしましょう」というシールが貼られていたが、これもその目的であろう。
 メーカーにこの点を聞くと必ず、「万が一の事故の場合に乗員が外へ投げ出されないため」という答えが返ってくる。がそうであろうか。そもそも事故したときにロックをしていないと簡単に開いてしまう方がおかしいし、またドアロックされているがために外からドアが開けられずに救助が遅れることのほうが問題である。
 ホンダがRVを発表したときには、これらのことが気になっていたのだが、どうやらこれらのボディ剛性問題は見直されているようなので現在ホンダ車に乗っている方はとりあえずご安心を。

 今のホンダはRV車が中心のラインナップになってしまっているが、本来ホンダはスポーツカーメーカーのはずだ。今の一過性のRVブームが去ったときに気づいても遅いのだ。ホンダは一刻も早くRV車種はいっさいやめて、スポーツカーメーカーになるべきである。そうすれば、日本いや世界のトップメーカーとして君臨できるはずだ。

 さらにもう少し未来にもふれてみたい。
ホンダには二足歩行ロボット”P3”(2022/6/16筆者注:ASIMOの前身のロボットだ)があるが、これを発展させ人を乗せるタイプのロボットを開発し発売していただきたい。そうすれば、今の自動車社会が根本から変わる可能性がある。自動車では行けないような場所への移動手段としてや工事現場、さらには来るべき宇宙時代を考えると、人間搭乗型ロボットは大変な発明になることは間違いない。発売の節には商品名は是非「ガンダム」にしていただきたい。

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