アナリストによる開幕戦(川崎VS横浜FM)プレビュー
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さて、いよいよ2月26日から2021年シーズンのJリーグが始まります。これから毎節行えるかは分かりませんが、なるべく多くのプレビューやレビューを行いながら、サッカーの見方について皆さんに提案しつつ楽しんでいただければと思っています。
今節は、川崎vs横浜FMの試合のみ金曜日に行われ、それ以外の試合は土曜と日曜に分かれています。そこで、この試合を深くプレビューしつつ、最後はその他の試合の簡易プレビューとして展開したいと思います。
ちなみに、私は昨年まで横浜Fマリノスにいましたが、そこでの裏話などは交えません。あくまで、皆さんと同じく、外から予想した中での発言です。ご理解・ご了承ください。
川崎フロンターレvs横浜F・マリノス 基本体形
まずはこの試合のプレビューを、前回のゼロックスとほぼ同様の形で展開したいと思います。なぜこうした局面の分け方をしているかなど、詳しいことを学びたい方はぜひオンラインサロンへ!
川崎フロンターレ(以下、川崎)の攻守における基本システムと動きは図の通りで、これはゼロックスのプレビューと同じです。ゼロックスの試合を見ても相違なかったのでそのままとしています。
まずは、攻守どちらも4-3-3を採用している鬼木監督ですが、必ずこれと決めているわけでもなさそうです。ゼロックスでも中盤の3人は少し形を変えることもあり、相手の攻守における強みと弱みを理解した中で、細かなポジショニングを施していました。
ゼロックスでは田中選手、脇阪選手、シミッチ選手が起用されましたが、この3人を再び起用するのか、別の選手を起用するのかはキーになりそうです。
一方の横浜F・マリノス(以下、横浜FM)です。こちらはまだ公式戦を行っていないので、インターネットやテレビの情報が元となりますが、3-3-1-3を試しているようです。
基本システムと動きと記しましたが、あくまで予想となります。実際の動きは試合を見て整理していきましょう。
3バックで1アンカーであるならば、攻撃において彼らのサポートをどうするかが重要となります。3バックがボールを持った時、パスコースが少ないようであれば敵陣への進入すら難しくなるでしょう。ここにまずは注目です。
守備では、5バックとなるのか、アンカーの周辺をどうカバーするのか、前線と後方の距離感やバランスはどうか。これらがキーとなります。
互いをマッチアップさせると何が起こるのか
では両チームのシステムをマッチアップしてみましょう。川崎が水色、横浜FMが青です。
川崎のフリーマン(マッチアップ選手がいない)は2人のセンターハーフです(画面中央)。一方の横浜FMはアンカーです。
つまり、彼らの振る舞いによってどちらが有利に事を運べるかが変わってきます。フリーだから有利というわけではありません。
マッチアップのかみ合わせがばらつくのであれば、1人で相手2人を見ることで解決することもあります。
この図で言えば、中央の「青のゾーン」がそれに当たります。川崎の2人のセンターハーフは相手のWBとアンカーを同時に見れる位置にいます。2人で相手の両WBとアンカーを見なければいけないように見えますが、実際には、ボールサイドにスライドすれば(つまり逆サイドは捨てれば)数的には2対2とできます。この判断が重要となります。
その中で、川崎のWGも1人で2人見るような形ができあがります(図のオレンジと青の重なっているゾーン)。
この構図をベースに、局面ごとに予想してみましょう。
「川崎の自陣での攻撃」vs「横浜FMの敵陣での守備」
マッチアップの図でもあるように、「川崎が自陣で攻撃」を仕掛ける時は横浜FM側からすると数的不利となりやすいです。図の赤いゾーンでもそうですが、川崎の2CBに対して横浜FMのFWは1人なのでどうやってそれを埋めるか。
立ち上がりは互いの配置を確認する必要がありますが、時間の経過とともに見るべきは、上記の横浜FM側の動き方です。
「誰が前に出て対応するのか」です。
川崎の2人のセンターハーフがフリーマンであることは前述しましたが、彼らに対して誰が前に出て対応するのか。図では横浜FMのCBが出ても良いのでは?と記載していますが、この図より後方に下がってしまった時はさすがにCBはついていかないでしょう。さらに川崎の中盤は形を変えてくることもゼロックスで見られました。事前準備以上に、ピッチ上での修正も求められるはずです。
それはハーフタイムを経て行われるかどうか。あるいは、川崎側も疲れや選手交代などでどう変化させるか。この攻防は見どころの一つとなります。
「川崎の敵陣での攻撃」vs「横浜FMの自陣での守備」
次に川崎の敵陣での攻撃です。鬼木監督は毎試合3点以上をと公言しているように、どんな相手であれそれを狙うでしょう。
ゼロックスで見られた攻撃のパターンは、同サイドで崩しながら相手の背後を狙うものと、相手を引き寄せて逆サイドの攻め上がりを狙うものがあり、どちらにしても「自分たちが動いて相手を動かし、スペースを空けて入っていくか」です。
相手が動くためには、自分たちが動かなければなりません。図のようにサイドで2対2の状況から、例えばセンターハーフがサポートに行って3対2の構図を作れれば、相手は対応するために動きます。
その横浜FMの動いた選手のポジションはどこなのか。もし図のようにアンカーが出てきてしまうと赤いゾーン=バイタルエリアが空いてしまいます。それを避けるため、CBが出る可能性もあります。ただ、今度はペナルティエリアの脇のスペースをカバーする選手がいなくなります。どちらを取るか、です。こうした攻防が前半の30分までにいくつも生まれるでしょう。
後半に関しては、川崎側の変更による変化が出そうです。ゼロックスでも選手交代によって中央を攻め切れるか、得点を狙い続けるための質を保てるかがキーでした。スペースがあれば動き出しとパスの出し手の質でゴールを奪えることは小林選手の得点で証明されています。横浜FM側とすれば、彼らの変化に対応しつつ、試合終了の笛が鳴るまでスペースを与えないことが重要となります。
「川崎の敵陣での守備」vs「横浜FMの自陣での攻撃」
今度は川崎の守備=横浜FMの攻撃です。3バックでのスタートが予想される横浜FMですが、GKを含めたビルドアップに関して、彼らの立ち位置がどうなるか。特に中央のCBは立ち位置に困ります。中央のままであれば相手のFWに見られてしまうので、どちらかのサイドに動いた方が得策です。しかし、どちらにしても味方のCBがいます。図のように、例えばゴールキックの時、どこにいるのか。これによって川崎の守備の仕方が変わってきます。
時間の経過により、川崎側は徐々に修正を加えるでしょう。天皇杯の決勝でもゼロックスでも、ピッチ上でマーキングのズレを修正できるのが彼らの強みです。フリーマンの2人のセンターハーフは誰を見ようとするのかなど、狙いを注目してみましょう。
ちなみに川崎は、0−0でもリードしていても前から奪いに行くでしょう。これまでの試合を見てもそれは明らかですが、公式戦2試合目ということで、疲労による変化があるかどうか。特に後半は彼らの体力面に左右されるかもしれません。
横浜FM側からすると、CBの立ち位置もありますが、WBとWGのポジショニングも重要となります。図の赤いゾーンにもあるように、WBはそのままでもサイドで数的優位を保てます。ここから縦に位置取るのか、中に入るのか。それに呼応してWGも立ち位置を変えるでしょう。相手の混乱をどこまで引き出せるかですね。
「川崎の自陣での守備」vs「横浜FMの敵陣での攻撃」
最後に川崎の自陣での守備=横浜FMの敵陣での攻撃です。
川崎はアンカーに誰を起用するかが今季の命運を握ると言っても過言ではありません。ゼロックスではシミッチ選手をスタートさせ、64分に交代させました。天皇杯の決勝でも、図の赤いゾーンを使われ始めてから相手に押し込まれました。ゼロックスでも、同様の現象が起きています。
もちろん、川崎はそれを分かっています。そのゾーンに入らせないように、ここでもフリーマンの2人のセンターハーフの立ち位置が重要となります。あるいは、入られたしてもどれだけ早くプレスバックできるか、です。
横浜FW側しても、このゾーンは使いたいわけですが、「分かりやすく入ったところで」チャンスは作れないでしょう。相手もそれは分かっているので。簡単に挟まれてボールを失いかねません。
仮に狙うとしても、それは誰なのかですね。WGの選手が中に入ってくるのか、ST=トップ下の選手なのか、あるいはWBの選手なのか。ここに注目してみましょう。
その中で、横浜FMは今年初の公式戦ですので、ゴールを奪うためのパターンにも注視したいところです。川崎はゼロックスで垣間見えました。選手交代も含めて、「次なる一手」にも注目です。
セットプレーに関しては図のみとさせていただきます。
互いに攻撃力があるチームで、守備も引いて守るスタイルは取りません。最後の最後まで攻め合う試合となるでしょう。楽しみですね。
この試合以外の8試合については、長くなってしまうので簡易的にまとめてみました。
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