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「アネット」と「スパークス・ブラザーズ」から連想する妄想ごたまぜ映画

みなさん、もうご覧になりましたか?

フランスの巨匠レオス・カラックス監督が、スパークスの原案・音楽によって制作した、ダークでファンタジックなミュージカル映画「アネット」

そのスパークスの50年以上に及ぶ音楽キャリア、デビュー前からアネットに至るまでを追ったドキュメントをハリウッドの売れっ子エドガー・ライト監督が制作した「スパークス・ブラザーズ」

この2本の映画が、2022年の春、同時に劇場公開された日本は、にわかにスパークス・ブームだったわけですが!

ちょっと、さらに深く突っ込んでみますけど、みなさん上記の2本はすでに、ご覧になったものとして話を進めます!

アネット言っていい?

まずは、いま2022年5月になる段階で、映画公開1ヶ月以上たったので、そろそろ「アネット」も多少ネタバレしていい感じであらためて感想書きますわ。昨年、まず試写で見たときからの感想だけど〜。

いや、スパークスの歌から始まるという、夢みたいな場面からのミュージカルなんですけど、見てるうちに、どんどん落ちる! 予想以上に! 音楽も映像も美しいのに。

「スター誕生!」みたいな話になってくのかな? と思ってたら「太陽がいっぱい」になって「銭ゲバ」になった、みたいな感じだけど、もっとさらにシビアな展開だった。

最後はさすがに父と娘がわかりあえて、母親の声を背負って生きていく、みたく希望のある感じになるか、とも思ったけど、そうでもなく。

いや、いっそ父親は刑務所で首を吊ってて、それを見て人形の娘がニヤリと笑うと、母親の霊が乗り移っていく、みたいなほうが、まだ見てるこちらも救われるのかな? とも思ったけど、そんな通俗的なサービスのある終わり方ではなかった。

あんなファンタジックな撮り方しといて、最後だけ急にリアルなのだった。
アネットは父親も恨んでるし、母親も恨んでる。両方許さない、もう親のことはどうでもいい、で去っていく。ほんとの父親だったかもしれない指揮者も関係ない。

服役した父親もこの先どうなるか何もない、でスパっと切られるだけ。この救いようのなさが2020年代の映画という感じだった。

母親のことも一切忘れる、というのが怖いよね〜。父親にも救いを与えない、のが現代のコンプライアンスに沿った作劇なのかもしれないとも思った。
昭和の映画だと、ああいうダメ男も、意味のある憎めない死に方とかさせるからなあ。それも許さないのだ。

逆に、アネットがヘンリーに「私のほんとうの父親は、私に歌とピアノを教えてくれた、あの人なの! あんたは父でもない、母を殺しただけの、関係ない男よ!」て突き放したほうが、よりお客にも冷たくできる、とも思ったんだけど。

あんだけ伏線のように、指揮者の男がほんとの父親のように言わせといて、最後に何もなくなる、のは、それによって「カラックスの作劇が下手」と見る人もいると思うけど、それだと、辻褄が合ってしまう、のがカラックスは気にいらないんだろう。謎が残らないから。

いちおうアネットはまだ、ヘンリーを父親として認めて終わるのが、甘いようで酸っぱい。カラックスきびしいわ〜。そしてスパークスの歌で幕が引かれる。

劇場で見直してみて、やっぱり一番の感動シーンは「サンクス・バット・ノーサンクス」という、いかにもスパークスらしい皮肉なタイトルだけど、曲は美しい。今回の映画用に作られた新曲ではなく、劇中数少ない昔からのスパークスナンバー。これがアネットが生まれて、最初に歩きだすシーンで、母のアンがアネットを抱きしめて歌う曲だね。ここでは、ぼくも泣いてしまった。みんな泣いたと思う。

あと、まあ、DOMMUNEのスパークス特集でも語りましたが、セックスしながら、クンニしながらも歌い続けるミュージカルって、パロディものでも見たことない、ちょっとすごい撮影だなあ〜と、あらためて思った。まあ名作です。やっぱり。

アダムとガガ

「アネット」の主演は、全編に渡り、悪い男の色気をぷんぷんに漂わすアダム・ドライバーだったわけですが、ぼくはそのちょっと前に「ハウス・オブ・グッチ」でもアダム・ドライバーを見てました。その感想はコチラ ↓

そうなんですよ。グッチでは、アダムは全然、寡黙で善良な男を演じていて、その芝居の振り幅がすごかった。

そしてグッチでは夫婦役、相手役がレディ・ガガだったわけですけど、ぼくはちょっと、もし「アネット」でアダムの妻を演じたマリオン・コティヤールの代わりが、ガガだったら?
とか考えてしまった。

もちろんガガも、めちゃくちゃ歌上手いですし、クイーンが好きなガガは、きっとスパークスの歌にもハマるはずだし。当然オペラも歌えるはず。悪くないのでは?

いやあ、あのガガの押しの強いキャラ、ギラギラした芝居では、マリオンの清楚さとギャップがありすぎるか。グッチではガガが、アダムを殺そうとするんだもんね。悲運のヒロインにも見えないかな。化けて出るのも、ほんとに奇怪なモンスタークリーチャーになりそう。。

と思うでしょう?
しかし、ガガが女優開眼した、その前の作品「アリー/スター誕生」での、ガガは、けっこうしおらしい、控えめなおとなしい田舎娘を好演しているんですよ〜。あのガガが! ががが〜。やがて自信満々の、ガガっぽいスターへ成長していきますが。

この「スター誕生」は4回目の映画化で、戦前、1937年の「スタア誕生」が最初、続いて1954年版、ジュディ・ガーランド主演の「スタア誕生」

そして1976年版、バーブラ・ストライサンド主演の「スター誕生」からの40年以上ぶりのリメイクなわけです。

ぼくもバーブラ版は中学生の頃、劇場で見たね。ジュディ版は80年代になってからテレビやビデオで見た。

ストーリーはずっと一緒で、スターを夢見る無名の少女が、大スターの男と恋に落ち、少女はやがてスターに成長していくのに、男はじょじょに落ち目になって酒におぼれてボロボロになる、という。

ま「アネット」でのマリオンは最初からスターという設定ではありますが、まあ似たような話ですよね? 基本は常に同じ伝統的。だから、なんか印象がダブるんですよ〜。ガガのアネットも見たいの〜。

で、逆に「アリー/スター誕生」で、ガガの相手役、落ち目のスターを演じたブラッドリー・クーパーは落ちてヤケになっても、どこか爽やかさが残る男前だったんですが、あれがアダム・ドライバーだったら? とも考えてしまった。

例の調子で、自虐的になる前に周りを巻き込んでメチャクチャにしてしまうのか〜。いやグッチのときの雰囲気でいけば、ちゃんと泣かせるようにも演じられるのか? とかね。

こういう妄想をし始めると止まらないタイプ、ぼくだけでなく、みんなもそうですよね?

ほんとに、エドガーに撮ってほしいのは!

そして、ついに「スパークス・ブラザーズ」のエドガー・ライト監督の次作まで、妄想が広がっていきます。

「スパークス・ブラザーズ」には、1976年のパニック映画「ジェット・ローラー・コースター」にスパークスがゲスト出演して、これで話題になれる、と思ったら、たいしたヒットもせず、ハズレ映画だった、という様子も描かれています。

センサラウンドという特殊な音響方式の上映でしたが。。

ぼくは中2のときに、この映画、劇場で見てたんですが、言うほど悪い映画じゃなかったと思ったんですよ。B級サスペンスとすれば秀作なのに、A級のふりで制作・宣伝されたのでコケた印象ですが。割と面白かった。

これをほんとはエドガー・ライト監督にリメイクしてほしいんです!
エドガーならサスペンスいっぱいで面白いのが撮れるで〜。

あれから40年以上たってCG技術も進歩したし、旧作でコースターが爆破されそうで結局されない、のが期待はずれ、と言われたけど、今なら完全にコースターを爆破する映像が撮れるよ!

そして旧作でもスパークス2曲ぶん出番はあったんだけど、次こそは全編スパークスのライブ入りで! できれば、破壊されたコースターの瓦礫と煙の中で、ロンがひとりでピアノを弾いてる美しいシーンが見たい!

できれば制作はパラマウントじゃなくてディズニーで、ディズニーランドでロケして「ミッキーマウス」を歌ってほしいね〜。。

ベイビー+アネット!

でも、次こそは、エドガーも大ヒット作「ベイビー・ドライバー」の続編に取りかからないと映画会社に怒られる頃だよね〜。

おれは思ったんだけど「ベイビー・ドライバー2」を、レオス・カラックスをプロデューサーに迎えて「アネット」の続編として合体させるのはどうかな? せっかくのスパークスが生んだ縁だし!(むりやり

「ベイビー・ドライバー」はラストシーンで、結局ベイビーは刑務所に入り、恋人は出てくるまで待ってたわ、みたいな感じで終わるんですけど。刑務所の中にいたときの生活はあんま描かれない。

いっそ「2」は、刑務所の中で、ベイビーが「アネット」のヘンリー・マクヘンリーと出会っていたことにしてしまうんです! まあ「ベイビー・ドライバー」は舞台はアトランタで「アネット」はサンタモニカだから、刑務所も離れてるかもしんないけど、そこは目をつぶって!

結局、悪のクセが治ってないヘンリーは刑務所を脱獄して、刑務所で知り合ってたベイビーを頼っていきなり現れる!

人の頼みを断れない性格のベイビーは、ヘンリーの脱走を手助けして、スパークスの曲を聴きながら暴走をしてしまう!

そこへまた、父の悪事を知ったアネットは、12歳くらいに成長して、サイキックガールになっていた!

暴走を止めようと追いかけてきたアネットと、さらに悪霊としてよみがえった母がオペラを歌いながら、ベイビーに襲いかかる!

全編に流れるスパークスの新曲! できれば前作で使われてたクイーンの「ブライトン・ロック」を「もう、こんな曲じゃダメだ!」ていうシーンもほしいね!(言いがかり

どうだろう、これは? ちょっと誰かエドガーに送って見てくれ!


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