最期はそっと微笑んで
埠頭で燃え尽きる夕焼け 悠然と煌めく真夏のオリオン
僕らはあと何度見れるだろう。
病は突然に訪れる。誰も予言なんてしてくれない。突然体にガタが来て動けなくなったりする。
人はそれを不運というかもしれない。でもその人の人生の終焉を不運で終わらせていいのだろうか。
そのために医者はいて、その人の最期に何ができるかを一緒に考えられる唯一の職業だと思う。
最近医者人生を少し齧って慣れてきたところでふと思うことがある。
病院に運ばれてくる患者さんは我々からしたら初対面でありその人の過ごしてきた人生などは全く知らないと言っても過言ではない。
しかし、患者さんや患者家族からしたらその人が病に臥せっていることは想定外のことだろうし、表面で見えなくてもパニックに陥っている可能性もある。
そういった事情を把握した上で、疾患と向き合うことが大切だと思う。
その人の背景や人生観は救急外来という短期間の場所で思いを馳せるのは難しい事ではあるが、少し聴いてみるのも悪いことではないのではないか。病棟に行っても医療者としてだけでなく、1人の人間としてたくさんコミュニケーションを取るべきなのではないだろうか。
本当は人間誰しも孤独で死にたい人などいない。
人の優しさに包まれて「本当に今までありがとうね」「ゆっくり休んでね」って温かい言葉を浴びながら死んでいけたらきっと幸せだと思う。
だからこそ患者さんを最期まで見れる内科医になろうと私は思っている。
その人の人生の選択肢を少しでも増やしてあげられるような治療が出来るように頑張っていく所存である。
病室から見える夕焼けも真冬のオリオンも美しいけれど、出来れば退院して、様々な美しい景色を、大切な人を、大事にする時間を少しでも提供できたら医者冥利に尽きるんじゃないかなと最近は考えている。