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Functional genomic landscape of cancer-intrinsic evasion of killing by T cells

タイトル
ガン細胞が備え持つ、T細胞による障害から逃れるための機能的な遺伝子背景

https://www.nature.com/articles/s41586-020-2746-2

Abstract
宿主の免疫系から逃れるために、ガン細胞が備え持っている遺伝子ネットワークはあまり分かっていない。
そこで障害性Tリンパ球(CTLs)によるガン細胞への攻撃に関して、どのような遺伝子群が寄与しているかを網羅的な遺伝子欠損CRISPRスクリーニングによって調べた。
複数のマウスガン細胞cell lineを用いた結果、欠損した遺伝子中でも共通して攻撃回避に関わるCore遺伝子として182遺伝子が候補として見出された。これらの遺伝子はCTLsの攻撃に対してsensitivity(感受性)やresistance(抵抗性)に関わるものであった。
中でも、オートファジー関連遺伝子の欠損は、IFNγやTNFによる障害性、マウス生体内での免疫系からの攻撃に対しても影響力が大きいことから、ガン細胞が本来備えもっている免疫系回避機構に重要な遺伝子群であることが想定された。

・用語学習
Gene Set Enrichment Analysis(GSEA):
群間での遺伝子発現の偏りについての解析。特定の遺伝子セットに偏っているか?
遺伝子セットは、特定のパスウェイとの関わり、Gene Ontologyの各タームでの発現、特定疾患との関わりが報告されている、などの遺伝子リストを指している。
今回は免疫制御パスウェイとの関わり遺伝子セットについて言及している

fitness genes:適応遺伝子
cancer-cell-intrinsic CTL-evasion genes:障害性Tリンパ球による攻撃から逃れるために必要な遺伝子群
fitness genes required for the proliferation of mouse cancer cells:ガン細胞増殖に必要な適応遺伝子群

【結果】
CTLsの処置群 vs Control(無処置)、においてCRISPRスクリーニングでノックアウトされた2000以上の遺伝子がガンfitnessに影響を及ぼした。
GSEAの解析により、以前から重要視されていた遺伝子セット(インターフェロンタイプ2レスポンス関連遺伝子Ptpn2, Socs1 and Adar1)が確認された。
immune regulatory pathways:= resistance gene
antigen presentation, Jak–Stat signalling and the interferon pathways
necroptosis:= sensitivity to CTLs
p38 mitogen-activated protein kinase (MAPK) signalling and the NF-κβ pathway

中でも、Fitm2 はinterferon-γ (IFNγ)暴露後にガン細胞がfitnessを保つ上で重要な遺伝子であることが示されていた。


さらに今回は、
resistance geneとして:
nitric oxide production and mitochondrial metabolism (mitochondrial translation, electron transport chain)

sensitivity to CTLs geneとして:
glycosylphosphatidylinositol (GPI) anchor metabolism, endosomal trafficking, transcriptional regulation and autophagy
特に、オートファジーパスウェイの重要性に着目している。
IFNγやTNFによる細胞障害性に対し、オートファジーパスウェイが抵抗性を発揮を発揮しているようだ。

上記の遺伝子セットが障害性T細胞からの攻撃回避に関わることが新たなに見出された。
中でもオートファジー関連遺伝子については、IFNγやTNFへの暴露に対する抵抗性、マウスへのガン細胞移植実験系においても関与が示唆されており、ガン細胞が免疫系から逃れる上で重要な役割を担っていることが明らかにされた。


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