The Satoshi Trial 22日目
2024年3月14日 宍戸健
「クレイグ博士はサトシじゃない裁判 by COPA」(通称:COPA裁判、サトシトライアル)最後の週です。2024年3月13日(水)の審理は21日目です。本日はCOPA側最終口頭弁論2日目でしたが、COPA側が早く終わったので、クレイグ博士側最終口頭弁論がグラビナー弁護士により、午後から行われました。
グラビナー弁護士は本日で全部終えようと頑張ったようですが、最後の項目を弁論するのに、少しだけ時間が足りず明日に持ち越しになりました。明日で(日本時間今晩夕方から)全部終了するようです。
1.スケジュール
2.COPA弁護士口頭弁論
10:30から15:40頃まで行われました。(長い。。)内容は結局いままでと同じ内容の繰り返しです。誰かが言ってましたが、COPAの弁論はそれを取材するメディアのために行われていうようであり、一方クレイグ博士側の弁論はあたりまえですが裁判長に対して行われました。とりあえずは、COPAの弁論を10項目にまとめました。
ライトが自身のブログ投稿の内容について矛盾した主張をしていることが指摘されている。ブログ投稿の内容と主張が食い違っているため、虚偽のである。
サトシ・ナカモトであることを証明する署名を適切に提示できていないことが批判する。本物のサトシならば容易に署名を提示できるはずだが、そうしていないため嘘をついている。
ガヴィン・アンドレセンとの署名検証の際に、中間者攻撃が行われた可能性が示唆されている。ライトが不正な方法で検証を通過させた疑いがある。
サトシ・ナカモトのPGPキーやビットコインの初期取引について、ライトが過去に虚偽の主張をしていたことが指摘されている。事実と異なる発言を繰り返しているため、虚偽の証言とみなされる。
ライトがサトシ・ナカモトとの関係性や影響関係を主張していたが、その根拠がないことが示されている。根拠のない虚偽の主張をしていた。
ライトがビットコインのコードの仕組みについての理解が不十分であることが批判されている。本当にコードを書いた人物なら、もっと深い理解があるはずだが、そうでないため嘘をついている。
ライトが提出した証拠文書が改ざんされた可能性が高いことが示唆されている。証拠の改ざんは虚偽の証言を裏付けるための行為と見なされる。
ライトの学歴や専門性は、サトシ・ナカモトを名乗るには不十分であることが指摘されている。適切な経歴がないことから、サトシ・ナカモトであるという主張自体が虚偽である。
他にも今までサトシ・ナカモトを名乗る人物がいたことから、ライトの主張に特別な信憑性はないと批判されている。ライトだけでなく、他の人物の主張も虚偽である可能性があることを示唆している。
ビットコインコアの開発者らがライトの主張を認めておらず、さらなる虚偽の証言を阻止しようとしている。開発者らの反発は、ライトの主張が虚偽であることを裏付けている。
2.COPAそのものが昨日のCOPA弁護士(Hough氏)の論点をTweetしていたので参考までにそれを翻訳します。
ビットコインホワイトペーパー。ビットコインホワイトペーパーはOpenOfficeで作成されたが、クレイグ・ライトはLaTeXで作成されたと主張し、虚偽の文書で根拠づけようとしたが失敗した。本物のサトシならOpenOfficeで作成されたことを知っているはずだ。
アダム・バックとのやり取り。サトシはアダム・バックがビットコインのコンセプトを受け入れ、失敗すると言ったわけではないことを知っているはずだ。ライトはそうでないと主張したが、バックの自身のEメールで虚偽が示された。
ウェイ・ダイの業績がサトシに与えた影響。サトシはアダム・バックとのEメールから、ウェイ・ダイのb-moneyを2008年8月に初めて知ったことが分かる。ライトは1990年代後半からウェイ・ダイの仕事に魅了されていたと主張したが虚偽だった。
サトシのPGPキー。サトシなら、PGPキーは2011年以前に作成・公開・使用されていたこと、主な機能は署名鍵であること、Vistomailアカウントに限定されていないことを知っているはずだ。ライトの一貫性のないPGPキーに関する説明は、自分が作成者でないことを示している。
ビットコインのコード。サトシならば自分が書いたコード、CheckBlockの機能、2013年にはCheckBlockHeaderという関数はなかったこと、符号なし整数とは何かを知っているはずだ。しかしライトはこれらを理解していないことが判明した。
Upload.ae。サトシならホワイトペーパーが公開されたサイトは、ライトが言うようにメルボルンで自分が運営していたサブサーバーではなく、ドバイで運営されていた無料ファイルホスティングサービスだったことを知っているはずだ。
パッチチューズデー。サトシならビットコインシステムが2009年1月の火曜日(パッチ火曜日)にマイクロソフトのパッチで落ちたなどということはなかったと知っているはずだ。ライトのパッチ火曜日に関する虚偽の数々の物語は、彼がサトシでないことを裏付けている。
マイニングの要件。サトシならビットコインの初期運用に70台以上のコンピューターや、電気代で月11,000ドルかかることはなかったと知っているはずだ。ライトの2009年のマイニング活動の説明は、彼がサトシでなく当時マイニングしていなかったことを示している。
ビットコイン取引。サトシならZooko Wilcox-O'Hearnにビットコインを送ったことはないと知っているはずだ。また、Nick Bohmなど公にされている数人以外にビットコインを送った人物の名前を正確に言えるはずだが、ライトはできなかった。
ジェネシスブロック。サトシなら、ジェネシスブロックのCoinbaseトランザクションに関連づけられた公開鍵がないというような重大で明白な間違いを犯さない。しかしライトはそのような間違いを犯した。
サトシの暗号通貨の投稿。サトシなら、2010年7月の暗号通貨の投稿はサトシ自身によるものであり、マルティ・マルミによるものではないことを知っているはずだ。ライトは明確な反証があるのに、そうでないと主張し続けた。
GitHubへの移行。サトシなら、2010年から2011年にかけてGavin Andresenがソースフォージの代わりにGitHubを使用することに何の異議も唱えなかったことを知っているはずだ。またVladimir van der LaanがGitHubへの移行に関与したという証拠はなかったことも知っているはずだ。ライトはこれらの点で虚偽の説明をした。
まぁ、昨日も今日も、ずっとおんなじこと言ってますね。
3.クレイグ博士側グラビナー弁護士の最終弁論。1時間くらいでしたが、10項目にまとめました。
ライトの学歴として、コンピューターサイエンス、経済学、ゲーム理論、統計学、法律の分野で学位を持っており、ビットコインシステムを作るのに十分な資格があったと主張している。また、1990年代からキャッシュシステムに深く関わっていたと述べている。
ライトの関与を裏付ける証人として、アーチボールド、ブリッジス、ジェンキンス、マシューズ、パンが証言したと指摘した。
ライトが4,000件を超える特許を申請しており、これらがビットコインとの関連性を強く示唆していると主張した。
アンドレセンの署名検証の際に不正が働いたとCOPAが主張しているが、不正があったことは明確に主張も立証もされていないと反論した。
マデンの専門性について、VMware、Citrix、SANに関する正式な専門知識がないと指摘し、また、マデンの報告書作成にCOPAの弁護士が深く関与していたことから、独立性に欠けると主張した。よって証拠調べ書類から除外する必要があるとした。
ジェンキンスが「ホワイトペーパーを受け取った」と証言したことについて、COPAが「見せられた」と「送られた」の違いを意図的に無視していると非難した。
ハーンとの会談でマシューズが機密保持を理由に十分な情報を伝えられなかった理由を説明し、ハーンが理解不足だからではないと主張した。
ライトを支持する証人が出頭を渋る理由として、ビットコイン業界においてトロール行為などの嫌がらせが横行していることを挙げた。
GitHubの利用については、ライトがコードリポジトリとしての利用は拒否したが、バグ追跡のみの利用は容認していたと説明した。
2009年に既にあるはずのない豪Quill社のプランナーメモ用紙の存在を示す文書を発見したことで、COPAの主張を覆す証拠があると主張した。
解説:以下はクレイグ博士が2008年にまだ会計事務所BDOに勤めていたときに(退職する直前)、同事務所パートナーのアラン・グランジャー氏にビットコインについて説明するときの打ち合わせ予約メモ。日付は2008年8月7日となっている。これについて、COPA側はこのフォーマットのQuill社のメモ用紙は2012年まで発売されてないと反論していた。
しかしWayBack Machineで2009年には少なくとも販売(写真はキャプチャーされてないが、製品番号QU01916)はされており、COPAの主張は間違っているとした。
本日は以上です。
参考資料:
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