ワールドワイド資産開示、凍結命令
2024年4月16日 宍戸健
COPA裁判に関連して、英国の高等裁判所(知的財産担当部署)のメラー裁判長は2024年4月12日、被告のクレイグ博士と関連する会社に対し、ワールドワイド資産開示および凍結命令を出した。今日はその背景と内容を解説します。
2024年2月4日から3月14日まで審理が行われていた、「クレイグ博士はサトシじゃない裁判 by COPA」(通称:COPA裁判、サトシトライアル)は審理23日目の最終日3月14日に、裁判長が以下の宣言を行った。
「第一に、ライト博士はビットコインホワイトペーパーの著者ではない。
第二に、ライト博士は2008年から2011年にかけてサトシ・ナカモト名前を使用したこと、または使用して活動した人物ではない。
第三に、ライト博士はビットコインシステムの創設者ではない。(宍戸健:データベース権の訴訟の根本にもなるため追記されている。)
そして第四に、ライト博士はビットコインソフトウェアの初期バージョンの著者ではありません。」
そして、「それ以上の詳細については、今から判決文を書くのでしばらく待ってください。」ていうことでした。え、理由説明なしでいきなり判決??私はインターネットライブ中継で傍聴していましたが、原告側、被告側とも「???」となってました。なにせ、審理の最終日にもういきなり判決だけ先に言うってなったのですから。(尚、メラー裁判長のこの発言当初は「以下4点が争点なのでこれから検討して判決文書くよ。」と解釈できたんですが、のちに「結論だけ先に言っておくよ。」という意味であったことが判明した。これに関して英国裁判所の闇についてはこちらを参照ください。)
(原文については以下を参照してください。)
というわけで、本日4月16日現在も関係者は正式判決文を待っていたわけですが、こんどは、COPA側が裁判長に「クレイグ博士が資産を英国国外に緊急に移して罰金を払わないかもしれないので彼の資産凍結をお願いします。」と申し立て、それがまたすぐ、メラー裁判長により認められ、4月12日付でクレイグ博士と関連会社についてすべての資産開示、凍結命令が出されました。凍結する金額は£1,089,000(約2億円)です。(しかし、資産はすべて詳細開示しないといくら持ってるかわからないので、とりあえず全資産凍結よろしく。という内容ww)
概要は以下です。
ワールドワイド資産開示および凍結命令
罰則規定
クレイグ・スティーブン・ライト氏がこの命令に従わない場合、あなたは法廷侮辱罪に問われる可能性があります。
法廷侮辱罪に問われた場合、禁固刑、罰金刑、または資産を差し押さえられる可能性があります。
本命令を知りながら、以下の行為を行う者はすべて処罰の対象となります。
この命令を知っていて、第三者がライト氏にこの命令の条件に違反するのを助ける、または許可するようなことをした場合には、その者は法廷侮辱罪に問われる可能性があります。また、投獄、罰金、資産の差し押さえを受ける可能性があります。
対象資産
この情報開示命令および凍結は、特に以下の資産を含むが、これに限定されない。
1.信託、財団、または類似の団体に基づく持分。
2.信託、財団、または類似の団体に基づく利益、裁量、その他いかなる方法によるかを問わない。
3.銀行口座に入金されている金銭。
4.当該口座に振り出された小切手で未清算のもの。
5.特に被告らの以下の資産:
a.以下の銀行口座にある金銭:
b.以下の銀行口座にある金銭:
c.BTC(ビットコイン)、BSV (ビットコイン・サトシ・ビジョン)として知られる暗号通貨:
d.ライト博士の所有不動産(オーストラリア、バグヌーにあるライト博士の所有物)
尚、被申立人らのイングランドおよびウェールズにおける資産の総額が£1,089,000 を超える場合、被申立人らこれらの資産をイングランドおよびウェールズから移動することができる。または処分または処理することができる。
本令状の日付の午前0時1分時点における全世界の各自の資産のうち、£10,000を超えるすべての資産を、自己名義であるか否か、単独所有であるか共同所有であるか否かを問わず、原告の代理人に知らせること。また、そのようなすべての資産の価値、場所および詳細を明記すること。
上記において、以下の資産クラスの価値、所在地、詳細とは、以下の 資産クラスを指すものとする。
1.銀行口座:口座名義、口座番号(ソートコードを含む)、口座のある銀行の支店、 口座の所在地、および口座の詳細。
2.不動産:その不動産の住所と推定価格。
3.動産「個人所有物」:動産の性質と推定価額、およびその動産が所在する住所または所在地。住所または所在地。
疑義を避けるため、「個人所有物」には暗号通貨の保有にも適用され、その場所にはウォレットアドレス、取引所、またはそれに相当する場所が含まれる。
会社の株式:会社の名前と設立管轄地、株式の数と種類。
会社の株式:会社の名称と設立管轄地、保有株式の数と種類。さらに、その会社がさらに、その会社が取引を行っている場合は、その会社の事業内容と株式のおおよその価値。
株式のおおよその価値。非商業会社で、1万ユーロを超える資産を1つ以上保有している場合は、その資産額も記載する。
1万ユーロを超える資産を保有している場合は、その価値、所在地、詳細。
商社または非商社を(直接・間接を問わず)保有する企業連鎖の頂点にある株式、
ーーなどなど延々と続きます。
凍結命令の効力の解除
本命令は以下の場合に効力を失う。
a. ロンドン時間2024年4月18日(Thu)午後4時までに被告は原告に£1,089,000 を法廷に支払うことで担保を提供し、法廷の命令に従って保管する。この場合、本命令は清算された資金が受領された営業日に効力を失う。
b. 申請人の法定代理人と合意した別の方法で、その金額の担保を提供した場合、効力を失う。
c. a.の支払いが期日に遅れた場合、翌日の営業日午前10:00までに対象資産の情報を提出しなければならない。
というわけで、ご存じの通り裁判所の文章なのでやたら説明が長くて、細かいです。原文とその完全翻訳文を参照したい方は以下をご覧ください。
しかし、判決文が正式に出される前にとりあえず全資産開示命令、凍結命令って良いんですかね。あ、これようするに、クレイグ博士の現金資産とか不動産とかの情報はどうでもいいんでしょうが、ようは博士がコントロールしてるビットコインのアドレスが知りたいんだと思いました。しかし、この命令書を読むとまるで、COPAの弁護士が文章を書いてるようですww。
そして、アドレスがわかったら、今度は「クレイグ博士はサトシから盗んだ〜。」またはもっと過激に「クレイグ博士はサトシを殺したぁ〜。」ので、「緊急パッチソフトを作ってマイナーに配布し、全てのBTCを送信できないようにフリーズします。」 by CoreDevとか言ってくるんじゃないかと想像します。
しかしながら、支払い担保金額が約2億円なので、私はクレイグ博士は期日までに納めると思いますが、あえて、金額を納めずに「裁判所の命令によって資産状況を開示する。」という方法もあるのかな、とは少し思います。そうなると、当然ながらGenesis Blockのアドレスも含まれるわけです。となると、「なんでクレイグ博士はサトシじゃないのに、膨大な金額のサトシコインとGenesis Blockのコインも持ってるのか。」と関係者は思うかも知れません。(でもまぁ、ここまで洗脳されてたら「やっぱりサトシから盗んだのかぁ。」by 洗脳されたクリプト民 とか言って納得しそうですけどね。もううちらとは完全に別世界に生きる民ですね。)
というわけで、「でも、そうなったら面白いなぁ〜」、と言ってるGavinさんのクリップを置いておきます。
最後に「進撃の巨人」から。
「ひとまずあんたは賭けに勝った。でも、あたしが賭けたのはここからだから!」(アニ・レオンハート、進撃の巨人23話より。」
それでは本日はここまでです。
(尚、サムネールの姫路城は本件になんの関連もありません。かっこよかったので。)
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