#12 僕のアルバイト遍歴①
もし大学生で、何すればいいかわからない。という人がいたとすれば、僕は即答でアルバイトをお勧めしたい。幸いなことに日本は雇用が充実していて、その気になればアルバイトの職を簡単に付けられる。これは圧倒的に労働人口が減少していることに起因する。
僕は高校時代アルバイトができない環境であったため、大学に入ってからアルバイトを始めた。中高お世話になったテニススクールでコーチを始め、そこから母校のコーチ、英会話スクールの事務、バラエティ制作会社の文字起こし、イベント会場整備、ファストフード店、飲食店。たくさんのアルバイトを大学に入って経験した。そこでの学びや出会いは自分の中でもかなり大きなものとなっている。
今回は、大学二年生の時にやっていたサブウェイでの話です。サブウェイはサンドウィッチ専門店で、当時僕がバイトしていた吉祥寺店は近くに大学があった関係で、かわいい女子大生が多く、年齢も近い人が多かった。
諸々雇用契約などを済ませた数日後、店長から閉店後の21時に店に新人たちが集められ、そこで店長やバイトとの顔合わせ。帰り道、その日に顔合わせた同期三人で、「これから頑張りましょうね!」なんて話しながら駅まで帰っていったあの日が懐かしいな。
数日後、初出勤を迎えた。その日僕は朝からだったので開店の役回り。しかし店のカギを開けられない。店長に聞いたら、「Sさんが来てくれるからいろいろ聞いて。」と言ってたので待っていると、Sさんが一向に来ない。9時開店なのにもうあと10分で店を開けなければならない時間帯。そうすると、Sさんがノーメイクで到着。
「長野君。ごめんね!」
Sさんは同い年の大学生で、めちゃくちゃ美貌。彼女は急いで店を開け、何もわからない僕にやさしく作業を教えてくれる。幸いなことにその日は人があまり来なかったので、時々
「どこの大学通ってるの?」
「彼女いるの?」
とSさんは話しかけてくれた。
ある日、Sさんからラインで、
「今日の夜飲みに行かない?」
と誘われたことがあった。僕は家でテレビを見ていたので普通に行けた。誘いを受けたときはめちゃくちゃ嬉しかった。だけど断った。なぜかわからないけど、自分のことをあまり知られたくないと思ってしまった。
今考えると、僕はSさんのことが好きだだったのかもしれない。
好きな人を目の前にすると、自分を隠したくなる。自分がダサいという事実は自分が一番知っているからだ。それをさらすことは嫌われることに相当する。結局そこのバイトは、バイトリーダーを僕のくそみたいな理論でブチ切れさせて、僕が早々に辞めてしまったため、その彼女とは音信不通となった。
あの時飲みに行っとけばな。という後悔はあるが、どうせ行っても自分のヤバさに会話して40分くらいで気づかれて、何もかも終了になる未来を回避したと思えば、まあオールオッケイ。
今頃イケメン彼氏と楽しい大学生活を送っているといいな。