#118 「ある男」
直近で日本アカデミー賞のあらゆる部門を取りまくった「ある男」ですが、受賞はとてもうれしかったです。というのも僕は作家の平野啓一郎さんの作品がとても好きで、小説も映画も見ていました。
この作品の概要を一言で話すと、「自分の戸籍や生い立ち、過去の犯罪経歴などなど」をすべて捨て(他の人と交換)、別の人間として生まれ変わり、人生を過ごす人間の話です。
例えば、「犯罪歴を持っている」「伝統ある企業の息子」「在日3世で差別をうけてきた」「人殺しの親元で過ごした」などを持った人間たちが集まり、戸籍を交換し、別人として生活をするのです。
「時に自分以外の何者かになりたくなる」という気持ちは非常によくわかります。弁護士の主人公はバーでマスターと会話する時に、弁護士であることを隠し、「土木現場で働き家族4人で生活している」と嘘をついて話をしているシーンが映画でも印象深く描かれていました。
自分自身過去に引け目はないですが、たまに過去の人間関係やしがらみがあるがゆえに、自分のやりたい事ができなかったり、行動に躊躇してしまうと時が結構あります。「何者でもない別人になることで、踏み出せる一歩もあるな」と感じるわけです。
Twiterとかで別名を名乗り、何者でもない人になることで、好きな活動をする人とかはまさにそれかなと思います。
自分も今後は音楽ライブや初対面の人と絡むときは「経済を学ぶ大学院生」として生きて行こうと思います。