
SCM用語:関税(Tariff)
関税(Tariff)とは、海外から輸入する貨物に対して課する税金のことです。輸入品の価格に対して税率をかけたり、重量・数量当たりの税が規定されていたりします。
関税の目的は、
①国の財源の確保
②国内産業の保護
③貿易収支の黒字化
④特定政策の実施
などがあります。
それぞれ具体的にみていくと
①国の財源の確保
発展途上国では、関税収入が政府収入全体の大部分を占める場合があるほどで、国の財源としても輸入関税は大きい要素になります。関税は、安定した財源になることと、徴収しやすい税であるという点でも、重要な財源です。
②国内産業の保護
自国では値段が高いものが、輸入だと安く手に入る場合、その国の消費が輸入品ばかりを購入することになり、結果自国の生産者がいなくなってしまうことが想定されます。
食料自給率が下がったり、国のインフラを担う産業が衰退してしまうと、輸入国の不作や政治的な対立があった時に輸入ができなくなってしまうと、自国内で復旧させることが難しくなります。
単純に自国の生産者の仕事を保証することだけでなく、安全保障という面でも国内産業の保護は重要な政策といえます。
③貿易収支の黒字化
長期間、貿易収支が赤字幅が大きい状態になると、通貨が流出しますので、国際発行や借入を増やす必要がありますが、それも海外に依存する形で行う必要がでてきます。
そうなると、通貨価値の下落や外貨準備の減少を通して、国際的な信用力の低下を招きます。これにより、さらに投資の減少や金利の上昇を招き、経済成長を鈍化させ、国内企業の衰退がさらに輸入の増加を招くという悪循環に陥る可能性があります。
貿易収支を黒字化させることは、安定した発展のためには重要な要素です。
④特定政策の実施
輸入をコントロールすることにより、重点的に強化したい国内産業の支援を行うことができます。また、食料自給率の向上・安全保障の観点からも重点産業に対する関税による保護・支援は有効に働く場合があります。
日本では、輸入品に対して関税が課される場合がありますが、多くの品目で低率または無税となっています。特に、自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)を締結した国との間では、関税率が大幅に引き下げられることが一般的です。
具体的には、日本の関税は商品分類に基づいて「関税率表」に基づいて課税されます。輸入品の種類や原産地、協定の有無に応じて適用される税率が異なります。
