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SCM用語:サプライヤー選定

サプライヤー選定(Supplier Selection)とは、単純にどこのサプライヤーから調達するかを決めることですが、SCMにおいては非常に重要な意味を持ちます。

まずどこのサプライヤーから調達するかについて、地理的に考える必要があります。
カントリーリスクを考えると国内で調達することの方がサプライヤーの方でリスクを背負ってくれるので安心ですが、その分コストが高くつきます。また、競争優位を考えたときには、国内の競合にも同じ原料が流れていると考えると、差別化の要因になりません。
一方で、海外のサプライヤーやメーカー・パッカーから購入するとなると、契約単位が大きくなりますし、輸送ボリュームも大きくしなければ輸送間接コストが割高になりますので、在庫のリスク・貿易のリスクを負うことになります。一方で、成功すると単価の引き下げができ、他社にできない調達ができるので差別化の要因になります。そして、原産国と直接コミュニケーションを取ることにより、いち早く情報をつかむことができます。

地理的にどこのサプライヤーから調達するかということの次に、どういう契約・条件でサプライヤーを選定するかという問題があります。もし安定調達を考えて複数社からの購買にすると、量が分散するので価格が高くなることがあります。
一方で、ジャストインタイム経営のように、無駄な在庫を持たないことを追及する経営方針もあり、その条件をクリアできるサプライヤーのみと取引することもできます。

近年では、SDGsの面から、環境や労働条件などを配慮してサプライヤーを選定することが求められうようになってきています。この面を無視して、価格や条件だけでサプライヤーを選定していると、サプライヤーの問題が発覚した時に、自社も社会的責任を問われることになりかねません。
SCMは、中長期のリスクも鑑みて、事業継続性の観点からもサプライヤー選定を行う必要があります。

これらは、クオリティとコストと納期をどう考えるかというトレード・オフの問題で、正解はありません。経営戦略としてどう定めるかという意思決定の問題です。
リスクとメリットをよく見定めながら、戦略面と整合性を取り、バランスよく組み合わせる必要があります。

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