第21回定例部会を開催しました!「現場コミュニケーションのワンストップソリューション」
はじめに
みなさん、こんにちは。
「建設DX研究所」では、毎月1度、オフラインの定例部会を実施しています。
10月24日に、第21回となる定例部会を開催しましたので、その様子をダイジェストでお届けします。
今回は、建設DX研究所メンバーのセーフィー社からの紹介で、交流会イベントとして開催した第20回定例部会にもお越しいただいた株式会社BONXより、代表取締役の宮坂様にご登壇いただきました。
イヤホンとアプリケーションを組み合わせたサービス「BONX WORK」によって、建設業界ならではの現場コミュニケーションにおける課題を解決していく取組みについてお話いただきました。
宮坂氏は学生時代からのスノーボード歴が長いそうで、滑走仲間と滑走中にコミュニケーションがとれないかという着眼点から、BONX社のソリューションがスタートした、という興味深いお話からスタートしていただきました。
現場のコミュニケーションを効率化
BONX社は、イヤホンとアプリケーションを組み合わせ、建設業をはじめとした様々な環境で高品質なコミュニケーションを可能にするサービスを展開されています。イヤホンのデザイン性も高いことから、高級ブランド店での従業員間のコミュニケーションツールとしても採用されているそうです。
様々な業界に展開される中、建設業界も重要なドメインの1つと位置づけられていらっしゃいます。国交省が推進するNETIS※にも登録されていて、騒音の中でも確実な音声伝達を実現する技術を現場に最適化させることで、すでに土木工事現場での利用事例もあるそうです。NETIS登録も契機に、今後も事例が積み上げられていくことが期待されています。
豊富なイヤホン製品のラインナップ
BONX社のイヤホンは基本的に付属のボタンをワンタップすることで会話をスタートさせることができます。建設現場では朝礼後に一斉にBONX WORKへの接続をONにするところも多いそう。これにより、話しかけたときに返事が来ないという事態も避けられるとのこと。通話はスマホで行っており、このスマホとイヤホンを接続することで機能してるそうです。イヤホンを通してBONX WORKに接続している間はスマホを一切触らずに操作することが可能だそうです。
常時接続に対応したバッテリーも備えており、イヤホンの種類によって10~17時間持続し、充電も45分程度で約7~8割充電されるそうです。また、周囲の音を聞き取りながら使用可能なオープンイヤー型イヤホンは、重機オペレーションなど実際の周囲の音も聞こえる必要のあるシーンで活用されているとのことです。豊富なイヤホンの選択肢で現場に即した活用を可能にしています。
実際に大規模現場では、30~40台を一括導入するケースも多いとのことです。
建設現場に最適化されたBONX社のソリューション
さらに、BONX社はハード機器であるイヤホン機器と組み合わせ、ソフトウェアとしてコミュニケーションアプリも展開されています。現場でのコミュニケーションをより効率的・効果的に行うことができ、建設現場にも特にフィットしているようです。具体的に以下のポイントをお話いただきました。
①通常の環境よりさらに過酷な騒音環境にも適応
工事現場のような騒音環境では、一般的な通話デバイスでは音声が届きにくいという課題があります。これに対しBONX WORKでは、NTT研究所の音声技術部門であるNTTソノリティと協業し、その独自の音声技術を採用。実際に、ある大手ゼネコンの現場では94~95デシベルの騒音の中でもクリアな音声が確認されているそうです。これにより、安全性や作業効率の向上が図られているそうです。
②柔軟なルーム分けと常時接続でコミュニケーションを簡略化
BONX WORKの特徴の一つが、グループ内で常時接続が可能な点とのこと。ルームを分けることで、工事長クラスの方々がそれらのルームに出入りして管理するイメージで、複数のプロジェクトを同時に管理できるとのこと。従来のトランシーバーとは異なり、プライベートなトークも可能だそうです。また、ルームを出入りする際には煩雑なチャンネル切り替えの必要もなく、BONX WORKのイヤホンについているボタンを押すだけで切り替えも可能だそうです。
③テナントまたぎ、PC版も整備
複数の現場にまたいで管理するシーンに合わせて、複数現場のメンバーも同一ルームで会話することを可能にする機能も備えているそうです。
また、元請企業は社内PCで管理を行うこともあるため、スマホ版のみならず、PC版でのサービス提供も開始してるそうです。
④ライブ配信機能
会話に合わせて現場の状況も共有できるよう、スマホのカメラと連動したライブ配信の機能も備えているとのことです。遠隔地にいる相手にも状況を伝えることで指示を仰ぎやすくなるそうです。
建設現場での活用が進むことでのメリット
大手ゼネコンでは都内高所の場合トランシーバが混線してしまうという問題があるところ、BONX WORKではそういった混線は無いためスムーズなコミュニケーションにつながったとの声や、移動時間が月約7時間削減できたという事例もあるとのこと。連絡手段の切り替えにより「電話に出ない」、「現場に聞きに行く」という従来の課題が解消でき、これだけの時間を削減できたという効果は大きいのではないでしょうか。
また、同様に別の大手ゼネコンでは、騒音がひどい環境でもスムーズにコミュニケーションがとれることを効果として実感されたほか、下請け構造の中で指示が行われる環境において人伝いではなく直接指示がだせるため情報共有のミスが減ったり、情報共有のスピードが上がったとの声もあるそうです。
ゼネコンだけでなく戸建て住宅のような小規模現場でも現場と事務所が離れているといった場合に活用されているとのことでした。
効率だけではなく安全性にも特化したユニークな機能も
近年、地震や集中豪雨などの災害が増加するなか、災害時に相手方のBONXが起動していなくても上長側が部下に一斉に呼びかけることができる、といった緊急呼び出し機能もあるとのこと。災害時には通常の電話がつながらないことも多いため、相手の安否をすぐに確認することができるのはシンプルですが有効な機能の一つではないかと思います。
また、セーフィー社のカメラシステムとの連携により、音声で現場に危険を知らせる仕組みも検討されているそうです。
さらにプライベートトーク以外は録音・文字起こしが可能なため、重要な会話は録音ログで振り返ることもできるそうです。この機能はKY活動的な観点でも活用ができそうだと感じました。
活用する企業としては危険が伴う建設現場で、こういった面からもBCP(事業継続計画)対策に寄与する取り組みができそうです。
2024年11月、NTTソノリティ株式会社の子会社に
NTTソノリティ株式会社との連携により、AI技術を活用したソリューションを展開していくことを見込んでいるそうです。また、 会話解析や音声入力による記録作成、リアルタイム通訳などのソリューションは、デスクレスワーカーの業務効率化に大きく貢献することが期待されます。
子会社化と併せてNEXCO東日本高速道路株式会社とセーフィー株式会社も新規投資家として参画することから、高速道路という巨大インフラの維持管理への活用や、映像と組み合わせた安全管理への活用も進められていく予定とのことです。
おわりに
いかがでしたでしょうか。BONX社のソリューションは、建設現場での効率的なコミュニケーションを可能にするだけでなく、作業環境の安全性を大きく向上させることができると感じました。高所のような危険な現場も多くある中でトランシーバでの通信切り替え作業を行っていることを想像すると、BONX WORKによりハンズフリーでスムーズに会話できるようになることは大きな革新だと思いました。
また、定例部会の最後には建設現場におけるインカムツールはまだ新しいことから、今後普及を進めていくためにあるべき政策のイメージなどについても議論することができました。
様々な業界にサービスを展開されているBONX社ですが、「建設業界の未来を支えるテクノロジー」として、今後も建設業界のニーズに応じた革新的なソリューションを提供されることが期待されます。
建設DX研究所では、今後もこうした勉強会・定例部会を定期的に開催していくほか、情報発信・政策提言等の活動も実施していきます。 建設DX推進のためには、現状の建設DX研究所メンバーのみではなく、最先端の技術に精通する建設テックベンチャーをはじめ、数多くの事業者の力・横の連携が不可欠だと考えています。 建設DX研究所の活動・定例部会などにご興味をお持ちいただける方は、ぜひプレスリリースを御覧いただき、お気軽にお問合せいただけると嬉しいです。