旅RUNキュレーションVol.40(東京マラソン2020テレビ観戦)

今日は東京マラソン。
新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大防止の視点から、2007年の開催以来初めてのエリートの部のみの開催で、そのほかの部は中止となり、いわゆる市民ランナーは出場できない。東京マラソン財団や陸連からは沿道での応援を自粛するようにというアナウンスが出ている、異例とも言える大会開催。

ということでテレビ観戦。
スタートゲートはほとんど選手がおらず、例年の4万人近いランナーの集団を見慣れている側としては一種異様というか、寂しい感じは否めない。

僕のレース予想は「日本記録はさすがに出ない。日本人選手トップは大迫傑選手で、東京五輪出場を事実上決める」というもの。今日は天気が良く気温がやや上がりそう。去年の寒い東京マラソンとは一変。大迫選手は寒いレースにあまり強くないと見ているため、今年の環境は彼に味方するという見解。

そんなレース結果は中継や報道のとおりだがちょいと記載。
序盤、井上大仁選手と大迫傑選手が第一集団のペーサーに着く。設楽悠太選手など他の日本人は第二集団のペーサーに着く展開。設楽選手の第二集団はちょっと意外だったかも。
井上選手も大迫選手も序盤の給水でスペシャルドリンクを取り逃がす場面が複数回みられ、やや気になるところ。特に大迫選手はドリンクを探して足が止まってしまった場面もあり。
25km付近で大迫選手がスピードを落としてしまい「これは日本人トップは井上選手か?そしてやっぱり日本新記録は出るのか?」という印象を覚えてしまう。
だが、30km以降がすごかった。32km地点くらいで大迫選手が盛り返す、井上選手の顔をチラッと見て一気に前に出る。
井上選手はその前後くらいで表情が苦しそうになり、後退をはじめてしまう。
大迫選手は盛り返した。マラソンはフィジカルの勝負であると同時に知的なゲームでもある。どこで溜めてどこで勝負に出るか。マラソンの面白さをまた見てしまった。
大迫選手は終盤ややペースを落とすも、自身の持つ日本記録更新には十分なペース。
トップのレゲゼからは遅れるものの、2時間5分29秒で日本新記録達成。

この日本で、東京で、またもや日本新記録達成の瞬間を見ることができたレースだった。

大迫選手が日本新記録でゴールした途端、涙が止まらなくなった。

COVID-19が巻き起こしている世間の自粛ムード。これはマラソンにも辛くぶち当たり、東京マラソンに出る予定だった市民ランナーの夢は叶わなかった。僕らのような他の大会に出る予定だったランナーたちもまた、同じような目に遭い晴れ舞台への出場は打ち砕かれた。
日々、生活の時間を削ってランニングの練習を重ね、目標を定めていたそれぞれのマラソン大会。それが急な外的要因で中止になったことへのショック。しかも、インターネットなどを見ると、マラソン界・ランナーへの風当たりのキツさを目にすることになってしまった。個別のコメントは記載しないが、いろんな口汚い言われ方や、現状を必死に憂うランナーを蔑むコメントも目にした。悔しかったけど、僕らはマラソン大会で公道を利用させてもらっている身。やっぱり最後はもう我慢するしかなかった。(とはいえ、さすがに我慢できないこともあり、1週間前くらいから批判的な意見は目にしないよう、そういったユーザの声は見えないようミュート設定にしている。こういうのも本当は賛否両論の意見を浴びたいのだけど。意見ではなく悪口レベルなのは処置無しとして切り捨てた。)

また、昨日の記事で僕は沿道での行動自粛について書いた。本当のこと言うと、こんなこと書きたくはなかった。マラソンは走るのも楽しいし、選手を応援するのも楽しい。応援するなら現場に行って選手の聞こえるところで声をかけたい。そんなのは当たり前の気持ち。何が悲しくて「沿道に出ず、テレビで応援しろ」なんて言わなければならないのか。
これからもずっとマラソンが続くように、という思いで書いたわけだが、今日この日に人生をかけている選手だっているわけで。本当は不本意で仕方ない気持ちだった。

そんな想いの中で開催されたのが、東京マラソン2020エリートの部。
日本人が、大迫が、これまでの努力を発揮して日本記録の結果を見せてくれた。
なんだか、この騒ぎでの閉塞感、悔しさ、不本意な気持ちを打ち砕いてくれる希望のように見えてしまって、一気に溢れ出てしまったのかもしれない。ここまで感動するのは個人的には異例のことだった。

ところで沿道の観客の様子もテレビには映っていた。
やはりこれだけのレース。誰もいないってことはなく、沿道で応援する人もそれなりにいるようだった。MGCのときよりかはずっと少ないと感じており、財団・陸連の呼びかけは一定の効果はあったと考えている。(ただ、テレビCMを打つとかもう少し事前のアナウンスによる周知は必要だったかなとも思う。大会規模縮小でそんな余裕はなかったのだろうが。)
前述のとおり、現地で応援したい気持ちはわかる。よって今日沿道で応援した人たちを批判するつもりはない。選手を応援してくれてありがとうございました。
後はこれがまた批判のタネにならないことを願うのみ。日本新記録やアルファーフライのニュースがうまくかき消してくれると良いのだが。

ということで、東京マラソン2020も終わった。
ありがとう大迫選手。そして今日東京を走ってくれた全てのランナーの皆さん。
東京マラソン一般の部が中止になって以降、世の中の自粛ムードも強まってしまい、日本ではほとんどのエンターテイメントが楽しめなくなってしまった。そんな中での希望とも言える大会でした。
男子のオリンピック出場最後の枠は大迫選手で決まりかな。来週もMGCファイナルチャレンジは続くけど、東京の高速コースではないとさすがにさらなる日本記録更新は難しいと展望する。
むしろ来週は名古屋ウィメンズマラソン。こちらもMGCファイナルチャレンジ最終レース。松田選手がこのまま逃げ切るか、岩出選手や一山選手が取りに行くか。
日本全体が自粛ムードの中、来週も楽しみです。実はマラソン好きな人はまだ恵まれてるのかもしれない。

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個人的なオススメはゼッケンスナップ。アシックスのゼッケンスナップは取れにくくてオススメで、東京マラソン2020のロゴが入っているという理由だけで5個入り220円(税込)はお得。
ちょうど最近、アシックスのギアを揃えたいなって気持ちでもあったので、いろいろ買ってしまった。東京マラソン2020に当たってもいないのに、それっぽい装いをする日が来そうです。


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