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12-45mm vs. 30mmマクロ|フィルムスキャンでの比較

前回の記事に引き続き30mm F3.5 Macroの話です。今回はフィルムスキャンをした時の画質を12-45mm F4.0 PROと比較していきます。

前回の記事はこちら。


比較条件

30mmマクロを購入した一番の目的である35mmフィルムのスキャンで今回は比較します。比較に関する主な条件は以下の通りです。シャープネスなど調整しているものについては全スキャン写真で同じ設定にしています。1点、12-45mmと30mmマクロでスキャン結果の露出が若干違ったので大体同じになるように30mmマクロの方を1/4段持ち上げています。

  • フィルム写真撮影・現像

    • カメラ:Leica IIIg

    • レンズ:HELIAR 40mm F2.8 Aspherical

    • フィルム:UltraMax 400

    • フィルム現像:MARIX C-41 Development Kit

  • フィルムスキャン

    • フィルムホルダー・光源:DigitaLIZA+

    • カメラ:PEN-F

    • 撮影方式:ハイレゾショット

    • 撮影パラメータ:F5.6, 1/25 sec., ISO 200

    • ネガ反転:Negative Lab Pro

比較1:12-45mm vs. 30mmマクロ

本比較では、12-45mmと30mmマクロでのスキャン結果を比較します。この比較では、30mmマクロはもっと寄って等倍撮影できるということは一旦置いておいて、近接撮影で純粋に条件を揃えた時の解像性能を比較することを目的としています。

12-45mmは焦点距離を30mmにした状態で撮影しました。それでも30mmマクロと若干画角が異なります。12-45mmの方がやや広めの画角なので少し不利な設定になっていますが、結果に影響するほどのものではないと思います。

撮影距離は両レンズともに、12-45mmの最短撮影距離から僅かに手前くらいに設定しており、以下で掲載する写真は撮影したフィルム写真の全体のみカバーするようにクロップしています。スキャンした写真の画素数としては約2500万画素になります。

処理前の写真

写真全体

12-45mm F4.0 PRO (30mm)
30mm F3.5 Macro

まずスキャンした写真の全体がこちらになります。noteにアップロードしている画質であっても、この時点で差が出ていることがわかるかと思います。30mmマクロの方がはっきりと良いですね。マクロレンズというのは伊達ではないことがわかりました… 以下ではもう少し細かく見ていきますが、特に結論は変わりません。

中央クロップ

12-45mm F4.0 PRO (30mm)
30mm F3.5 Macro

こちらでは写真中央付近をクロップしています。一見するだけで明らかに30mmマクロの方がよく写っていることがわかります。12-45mmの方はピンボケしているようにすら見えます。ただ、以前別のタイミングでスキャンした結果を見ても大差はなかったのでレンズの性能的にこんなものなんでしょう。うろ覚えですがスキャン時は次に掲載するクロップ位置あたりでピントを合わせていたと思うので、レンズに像面歪曲があり近接撮影だとそれが目立っているのかもしれません。

周辺クロップ

12-45mm F4.0 PRO (30mm)
30mm F3.5 Macro

周辺といいつつ割と縁に近いのですが、看板の文字などが見やすかったのでこの位置のクロップを見ていきます。記憶ではこの辺りの文字を見ながらスキャン時にピントを合わせていたはずです。

中央クロップの時よりも12-45mmの描写が良さそうです。やはりスキャン時にここでピントを合わせていたからちゃんと写っており、それ以外の部分では像面歪曲の影響などがあったりするのかなと想像しています。

ただそれでも30mmマクロの方がシャープに写っていますね。安定した描写です。

縁クロップ

12-45mm F4.0 PRO (30mm)
30mm F3.5 Macro

写真の左辺付近のクロップです。12-45mmの描写は縁に近づくにどんどん悪くなっていっているのがわかります。縁といってもかなりクロップしているので実際は周辺領域くらいの位置ではあるのですが… それに対して30mmマクロは本当に安定しています。縁ギリギリの箇所だと若干甘く見えますが、これは多分HELIAR 40mmの方の描写が甘くなっている可能性が高いような…

まとめ

はっきりと30mmマクロの勝利でした。購入前の予想ではこの条件の比較だと大差はないか、なんなら12-45mmの方が良い可能性すらあると思っていたのですが、とんでもない勘違いでした… マクロレンズと名前がついているのは伊達ではありませんね。近接撮影での描写は圧倒的でした。

比較2:ハーフマクロ vs. 等倍マクロ

続いての比較は30mmマクロで最大限に寄って撮影した状態での比較です。元々比較1では大きな差がなくて、こちらの比較だとどうでしょうという流れを想定していたのですが、比較1の時点で30mmマクロの圧倒的な勝利だったので、こちらはおまけです。

比較1ではハーフマクロの12-45mmに合わせて30mmマクロでも撮影していましたが、今回は30mmマクロで横幅がギリギリになるくらいまで寄って撮影してみました。実際フィルムをスキャンするときはこの状態で撮影すると思います。クロップ後の画素数は約7000万画素です。35mmフィルムの写真としては過剰な画素数な気はします…

処理前の写真

以下では、こちらの比較用に新しく撮影したものを「等倍」、比較1で掲載したものを「ハーフ」と記載します。変な命名ではありますがご容赦ください…

写真全体

等倍

写真全体だと並べてもわからないくらいの差しかなかったので参考程度に等倍まで寄ったものを載せておきます。

中央クロップ

ハーフ
等倍

noteの画質だとかなりわかりにくいですが、等倍の方がもう少し細部まで解像しています。

周辺クロップ

ハーフ
等倍

これも中央と同様です。

縁クロップ

ハーフ
等倍

ここだけ少し違って、縁の方だと若干ハーフの方が良いように見えます。なんで?? という感じですが、可能性としては、等倍だと30mmマクロの画角の周辺域までしっかり使うことになるので、画角の中央付近だけ使っているハーフの方が良いとかがあるかも。ある程度クロップしたところで画素数は十分なので、ちょっと広めに写してクロップするくらいがちょうど良いかもしれません。パーフォレーションが全て入るくらいとか。

まとめ

当然ですが、基本的にはちゃんと寄った方が良いですねという結論です。ただ画角の周辺一杯一杯まで使わない方が良い可能性はありそうです。まあそんなに大した差はないので適当で良いような気もします。それ以上にちゃんとフィルムに対してカメラが平行になるようにきっちりセットするとか、ちゃんとピントを合わせるとか、そういうところの方が大事そう。

おわりに

ということで、12-45mm F4.0 PROと30mm F3.5 Macroを比較してみた話でした。結果としては30mmマクロの方が明確に良かったので、買って正解でした。12-45mmも良いレンズではありますが一旦お別れかな。大きく異なる条件で評価しているネットレビューを鵜呑みにして決めつけないで良かったと心から思います。自分で試すのはとても大事。これまでのフィルムもスキャンし直したくなりますが、大変なのでそれはまたいずれ…

フィルムスキャンはフルサイズとかの方が良かったりするのかなと気になっていたこともありましたが、今回のPEN-F + 30mm F3.5での結果はかなり満足できるものでした。少なくとも解像性能的にこれ以上は必要なさそう。ただデジカメのノイズのせいで変に粒状感が増していることはありそうなので、その辺りはもう少し良くできないか設定を詰めてみたいところ。

しかし改めてマクロレンズでスキャンしてみると、HELIAR 40mmの描写力の凄さがよくわかりました。めちゃくちゃ小さいのにキレキレ。これからも使っていくのが楽しみです。




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