「最後にして最大の希望」だったCOP26閉幕。議長が悔し涙、「戯言」(blah blah blah)が流行語に?
最後まで紛糾し、会期を延長して、妥協の産物をひねり出す…。いつも通りの光景でした。気候変動に関する国際会議(COP26)が閉幕しました。シャルマ議長は開会式で「最後にして最大の希望」と述べ、参加国・地域の奮起を促し、イギリスのジョンソン首相は「終末時計はあと1分しかない」と危機感を訴えていましたが、これといった成果もないままでしたね。
私はさまざまな国際会議を現場で取材したことがあり、関係者の不眠の努力には敬意を表しますが、こと地球環境問題に関しては、「プロセス」をたたえても無意味で、「結果」を伴わないと、地球の未来や人類の将来が奪われかねないため、厳しく成果を問いたいと思います。
最終的な合意文書としては、石炭の使用を段階的に「廃止」にするつもりだったものの、インドも中国も反発。段階的に「削減」という表現に落ち着いてしまいました。これに対し、シャルマ議長は「この終わり方について、謝る」と涙ながらに謝罪した場面が印象的でした。
日本もある意味、このずさんな結果の共犯者でしょう。2030年のエネルギー計画では、石炭火力を19%残しているからです。確かに、日本の石炭火力の技術は高い効率性を持ち、フェードアウトするにしても、あと9年は短すぎます。再生可能エネルギーも各地で設置トラブルを抱えているだけに、エネルギーの安定供給や多様性、バランスなどを考慮すると、石炭火力の一斉廃止は、悪影響が避けられません。
COP26の成果と呼べるほどのものは一つあります。これまでパリ協定では「気温上昇を産業革命前に比べて、2℃より十分低く保ち、できれば1.5℃に抑える」だったものが、「1.5℃に抑える」が世界目標に格上げされたようです。ジョンソン首相が、気温上昇が2℃進むと食料供給が危うくなり、3℃進むと山火事やサイクロンが増え、4℃進めば「すべての都市に別れを告げることになる」と述べたように、2℃ではリスクが高すぎたのです。
でも、今回のCOP26の評価については、各国が一斉に「失望」との意見表明をしました。会期中にはスウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥンベリさんが「COP26はPRイベント、無駄なおしゃべり」と批判していました。中には、「no more blah blah blah」(戯言はもういい)とデモ隊をあおっていましたが、欧州ではそんな言葉がほんのり流行っているようです。ジョンソン首相も演説の中で使っていましたね。
次回2022年のCOP27の開催国はエジプト、そしてCOP28はアラブ首長国連邦(UAE)です。今回のCOP26は新型コロナ禍の関係で、隔離生活により大学の授業を3週分休まなくてはならないことも考えて、現地に赴くことはできませんでしたが、次はぜひ、生の会議を味わいたいと考えています。