ナッツアレルギー
様々な食品でアレルギー症状が起きうることは一昔前からよく知られていると思います。
圧倒的に頻度が高いのは鶏卵と牛乳で、この2つで食物アレルギーの50%強を占めます。
日常的に食べることの多い食材であることもあり、経口免疫療法という、ごく少量ずつ症状が出ないか注意しながら摂取し、摂取してもアレルギー症状が出なくなるための"慣らし"の治療がなされることもあります。
一方で、近年この2つに次ぐ頻度で見られるようになっているのがナッツ類です(令和3年度食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業報告書)。
ナッツ類の中で、食品表示基準で記載が義務付けられているものは、クルミ、ピーナッツのみであることも注意が必要です。さらに、日常的に摂取するかといわれると、明らかに鶏卵・牛乳よりは頻度が劣るため、ピーナッツでさえ、上記のような経口免疫療法も活かせない(触れない期間があり、元に戻ってしまう)可能性が高いことも見逃せません(Lancet. 2019;394:1437-1449)。
今回は近年増加傾向にあり、要注意であるナッツアレルギーについて書きたいと思います。
アレルギーの起きる頻度の高いナッツ
圧倒的にクルミによる食物アレルギーが多いです。ナッツ類全体の半数以上とされています(令和3年度食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業報告書)。
また、クルミが含む原因タンパク質がピーカンナッツに含まれるそれとかなり近い物質なため、同じ方で両者ともアレルギーが起きる可能性が高いことに注意が必要です。
それ以外にはナッツには正確には入らないピーナッツ、次いでカシューナッツ、マカダミアナッツ、アーモンドあたりが多く見られるものです。この中でカシューナッツはピスタチオとアレルギーの発症が重なることが多いとされており、クルミ⇔ピーカンナッツの場合と併せて注意が必要です。
ナッツアレルギーの検査
ピーナッツとクルミに対するアレルギーの有無は血液を用いた主要食物アレルギー検査の項目に含まれていることがありますが、カシューナッツ、アーモンドはそれを単独のターゲットとして調べる必要があります(これも血液を用いて)(https://www.medience.co.jp/clinical/allergy/itemlist.html)。それ以外はさらに特化した検査会社に依頼したりとなるため、予めアレルギーの原因を想定できるかが非常に重要になります。
日常的に気をつけること
ここまでの部分を短く記載しますと
・ナッツアレルギーの頻度が増えており、3位になった
・なかでもクルミが最多、その場合ピーカンナッツもアレルギーの原因になる可能性が高い
・現状ナッツに慣らして食べられるようにするのは難しい
・血液検査で一部のナッツが原因かは調べることができるが、ピーナッツとクルミ以外は個別に調べることになる
個人的な見解ですが、上記のような現状からは、何かしらのアレルギー症状がみられたとき、原因の一つとしてナッツ類を想定しておくことだと思います。そうすることで、摂取したことと、症状が出たことが結びつけられる可能性が上がり、ひいては診断のための検査に繋げられる確率も上がります。ナッツ類は美味しいですが、避けて食生活を楽しむことも十分可能だと思いますので、摂取を避けるという対策も比較的しやすい。ナッツアレルギーについての知識は持っておいて損は無いと思います。