サルコペニア肥満
サルコペニアとは今から35年前にはじめて定義された言葉で、次の状態を指します。
"加齢もしくはなにかの病気が原因となり、筋肉量(骨格筋)が低下する→筋力や身体機能(歩行や立ち座りのスピードなど)が低下する"
予防ためには体重あたり1g程度のタンパク質(60kgなら60g)を毎日摂取することが望ましいと言われています。
運動の効果も言われていますが、それより先に栄養の側面が重要視されていることは意識する価値があると思います。
近年これに肥満、特に内臓脂肪が多いタイプの肥満が同時に存在するサルコペニア肥満が注目されています。サルコペニア肥満は、肥満単独よりもさらに心臓や血管の病気発症のリスクを上げたり、サルコペニア単独より身体機能が低下しやすいと考えられています。つまり加齢に伴い痩せていってしまうより、加齢に伴い少し太ったかなという見た目でも実は中身が内臓脂肪に置き換わり、筋肉量が落ちていると最も健康面でまずいということになります。
必要な筋肉がなく、かつ内蔵についている脂肪が多いというイメージから当たり前にも思えますが、改めて言われるとなかなか刺さるものがあります。
同じ生活をしていたとしても、加齢に伴い筋肉が落ちて、太りやすい体質になっていくというのは自然なことにも思えるだけに。。
対策として挙げられるのは摂取する総カロリー量は上げず(肥満が高度ならむしろ少し減らす)、タンパク質を多く摂る、特に通常の肥満ではむしろ悪者と言われる分岐鎖アミノ酸を多く含む形で摂取すると良いと提言されています(Jpn J Rehabil Med. 2021; 58:627-632)。筋肉に負荷のかかる"レジスタンストレーニング"(いわゆる筋トレの類)も有効です。
結局のところ良く耳にする結論なのですが、体重の維持だけ意識をしておくのではまずい状況が割と頻繁にあるのだということを再認識する考えとして意義のあるものだと感じました。